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入学式もなし!? フランスに「小1の壁」がない理由

入学式もなし!? フランスに「小1の壁」がない理由

これまでにイギリス~フランス~オランダと3か国を渡り歩いて17年。日本との違いに驚いたことは数え切れないほどあります。
今回は、その中でも、働くママの共通の悩みである「学校行事」と「小1の壁」にフォーカスを当て、日本との違いをクローズアップしていきます。

常識の違い①:お祝いの儀式はいっさいなし!

忘れもしない、我が子のフランスでの幼稚園初日。廊下に貼られたクラス分けリストを確認し、これからお世話になる教室へ。入り口のドアには先生が立っていました。
母子ともにドキドキしながら教室の中へ入ろうとすると、なんと親はそこまで!

「A toute heure. 後ほど夕方に!」と言われ、子どもたちだけが教室に入っていきました。そして、教室の入り口にてお役御免となった親たちは、それぞれの自宅や仕事場へ。

そう、フランスは3歳の入園初日から給食つきのフルタイム。いきなり朝8時半~16時半までの長い園生活がスタートします。入学式どころか、顔合わせすらありません。なんとあっさりとしていることか……。

このあっさり感はその後も続きます。日本には“連絡帳”という存在がありますが、フランスにはありません。保護者会で授業についてざっくりとした説明があるだけで、それ以外は、日々、子どもから聞く情報のみ。

運動会や授業参観などもないので、学校で何をしているのかが分からぬまま日々が過ぎていきます。
そして学年最後の日。終業式もないまま、「Bonne vacances! 良い夏休みを~」と言葉をかけ合い、あっさりと1年が終了します。

ヨーロッパの中でもフランスは特にあっさりしているようですが、節目の儀式がないことはヨーロッパ共通の常識のようです。入学式、卒業式、そして、始業式、終業式もないのです。

常識の違い②:働く親向けの学校システム

親がからむ行事の時間設定も日本とは違います。「保護者会は来週の火曜の18時半から」「金曜の送迎時に朝食会をクラスにて」のように、仕事の前後に参加できる設定になっています。
共働き家庭が大半を占めるフランスでは、それを前提に学校システムが回っているのです。

日々の放課後も然り。学校が終わると、子どもたちはそのまま校内の学童に行くか、またはエチュードと呼ばれる課外授業で先生に宿題を見てもらったりします。
どちらも一般的に18~19時ごろまで預かってくれるところが多いようです。

そして長期休暇中、子どもたちはサントル・ド・ロワジールで過ごします。これは、休暇期間中の空いた校舎を活用し、専門スタッフが子どもたちを終日預かってくれる仕組みです。勉強は見てくれませんが、校内で遊んだり、博物館や動物園などに繰り出したりと遊び中心の1日を提供してくれます。非常に安価に設定されているので、多くの家庭が利用しています。

日本式とヨーロッパ式、結局どっちがいい?

ここまでお読みいただき、どう感じましたか? 初日から給食つきでフルタイム、しかも放課後や休暇中の預け先もしっかりしている。この点は、働くママにとって何よりありがたいポイントでしょう。
ただ、これだけで「小1の壁」が解消されているわけではなく、週35時間労働制やヌヌと呼ばれるベビーシッターの存在も大きいと言えます。
子どもの受け皿の充実と親の働き方の改善、この双方により、小1の壁を解消しているのです。日本が今後、目指すべき形があるように感じます。

一方、学校行事に関してはどうでしょう。働くママからすれば、「行事は少ないに限る」と思うかもしれません。
たしかに、イベントがなければ授業時間が割かれることもないので、子どもたちは純粋に授業に集中できますし、保護者もその日のための準備(洋服、お弁当、休暇申請など)に追われずに済みます。
まさに、学校=学び舎です。

しかし、実際に身を置いてみると、学校に関わることが少なすぎるのも、親として寂しいものです。我が子の成長の節目を肌で実感できる入学式や卒業式もない。
真剣なまなざしに触れられる運動会や音楽発表会もない。よって、初々しい晴れ舞台に泣き、ピアニカの音色に泣き、蛍の光でむせび泣く、ということも当然ありません……。

おたがい隣の芝は青く見えるものですが、我が子の成長を見て、”泣ける機会“があるのは、ない側からすれば羨ましいもの。
子どもが一日の大半を過ごす学校の様子に首を突っ込む機会が少ないのは、それはそれで寂しいものです。
行事は、多すぎず、少なすぎず、しかも節目となるお祝いの儀式だけはしっかりと、が頃合いなのかもしれません。

著者プロフィール

ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰。
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:http://megumi-sato.com/

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