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子育て

悩ましい近所の「放置子」とその対処法とは?

悩ましい近所の「放置子」とその対処法とは?

最近、ニュースやネットなどでも話題になっている「放置子」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「放置子」とは、放置されている子どものことで、親が共働きなどで家におらず、その間、子どもが好き勝手に遊んでいるような状態を言います。

子育てや教育に熱心な親に育てられている子どもと、育児放棄まではいかないものの、放置されている子どもとの差がはっきり分かれてきている昨今、もし放置子を見たら、また家に遊びに来たら、どう対応しますか?

これからやってくる夏休みはわが子も一人で遊ぶ時間が増えがちです。案外、放置子は身近にいると聞きます。ここで一度、家庭のルールや対応を考えておくといいかもしれません。

日経DUAL記事

ママたちは、「放置子」対応にやはり戸惑っている

実際には、放置子に対して、ママたちはどう感じているのでしょうか。声を拾い集めてみました。

・わが子に「あの子と遊んじゃダメ」とは言い辛く、優しくすると休みの日まで「遊ぼう」とピンポンしてきて家の前で待っていたり、家の中に入ってくることもあり、困ったことがある。
・最初はかわいそうに思い、家に入れてお茶を出したりしてあげたら、それから毎日、休日も朝から来るようになった。
・何度かお昼を食べさせた子がいるけれど、ママには伝わっておらず驚いた。
・夕食時になってもなかなか帰らないので、何と言うべきか困った。
・勝手に冷蔵庫を開けて、ジュースを飲んでいたのでビックリした。
  など。

放置子に関しては、かわいそうに思ったり、気になったりしても、実際に関わると困惑しているママが多いようですね。では、どのように対応していけばよいのでしょうか。

遊ぶ時のルールを決めて、約束をする

親に放置されている子を見るとかわいそうに感じたりするものの、休日も早朝から遊びに来られて、夕方遅くまで帰ろうとしない、家の中にあるモノを無断で飲食する、では困惑するのも当然です。

そのような時は、自宅で遊ぶ時のルールを決めるとよいでしょう。

例えば、
・夕方遊ぶのは〇時まで
・休日の午前中はお友達とは遊ばない
・家の中のモノを無断で飲まない、食べない
・大人のスペース(キッチンや寝室など)に立ち入らない

など、それぞれの家庭にあった遊ぶ時のルールを決め、まずはわが子と守ることを約束します。そして遊びに来るお友達にもそのルールを伝えましょう。またお天気のいい日は、外で遊ぶことを促すのもいいですね。

放置子に関して2つのNG言動

NG言動① 子どもに「あの子と遊んじゃあダメ」と言う

「あの子と遊んじゃあダメ」とわが子に言いたくなる親もいるでしょう。ですが幼稚園、小学校低学年では理由がよく分からず「なぜ?」と思うこともあります。

実際に子ども同士気が合うので、遊ぼうとするのですから、そこへ親が友達についてネガティブなことを言ったり、友達関係を操作しようとすれば、子どもは親の言葉に反発し、親子間に溝ができる恐れもあります。

NG言動②、その子の親に注意を促しにいく

「親はこの現状を知っているのだろうか…」とその親に注意を促しに行きたくなることもあるでしょう。ですが放置子の親は、自分が放置している、とは思っていませんし、それが悪いことだとも思っていないでしょう。

きっと余計なお会世話、と感じられ、思わぬトラブルに発展しかねません。ですので、直接言いに行くのはよくないでしょう。

「放置子」の背景には諸々な問題が…。できる範囲で支援する

放置されている子にも、わが子と同じように、ルールを守らせ、注意すべき時は毅然と注意しましょう。それは自分の子どものためにもなります。ただし褒めることがあれば、当然褒めてあげましょう

放置子の問題は、その子の家庭環境、親の考え方、価値観など、さまざまな背景が絡まって起こっています。ですので、一概に対応法を言えませんが、次のような対応法があることを覚えておいてください。

例えば、学校や幼稚園の先生に、「最近気になること」として相談をしてみましょう。そこから解決の糸口がみつかるかもしれません。それでも状況に変化がなければ、児童相談所や市の窓口に相談しに行ってもよいでしょう。

最近は「子ども食堂」などの取り組みも増えてきており、このような放置子が食事を摂り、過ごせる居場所が徐々に出来てきています。

放置子は、育児放棄やネグレクトとは違うものの、中には、自宅に友達が上がり込んで溜まり場になるのを懸念し、両親が外出中、自宅のカギを閉めた状態で放置されている子どももいるようです。

もし、「あの時、どこかに相談していれば…」というような事件事故が発生することがあれば、とても後悔するでしょう。そうなることがないように、ぜひ行動に起こしてください。

親の分け隔てのない関わりや、支援の手は、わが子が困っている友達を見た時の対応、問題を感じた時の解決法などに、必ずいい影響を与えます。放置されている子どもを見れば、出来る範囲で支援してあげましょう。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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