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お誕生会の会場がゴッホ美術館!? 幼少時から芸術に触れさせるヨーロッパ流の子育て

お誕生会の会場がゴッホ美術館!? 幼少時から芸術に触れさせるヨーロッパ流の子育て

ヨーロッパの美術館を訪れると、よく見かける子どもたちのグループ。名画の前にちょこんと座り、学芸員の方の説明を聞いています。

小さい頃から真の芸術に触れることは、子どもたちの心にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

小さい頃から本物に触れるのがヨーロッパ流

筆者がこれまでに住んだことがある国々―フランス、イギリス、オランダ―には、素晴らしい美術館、博物館がたくさんあります。子どもへのアート教育が盛んなのも、自然な流れなのかもしれません。

たとえば、フランスでは校外学習でルーブル美術館、オルセー美術館、ベルサイユ宮殿というのはよくあること。世界的に知られる名画の前に座り込み、その絵についての説明を受けたり、実際にスケッチをしたり……。

学校の授業以外にも、アートに触れる機会は非常に多く、オランダにあるゴッホ美術館などでは、子どもの誕生会を開くこともできます

パーティーの中身はゴッホの作品の模写! ひとりひとりがイーゼルを立てて、好みのゴッホ作品を描いていきます。そして描いた絵は、その日のお土産に。なんとも粋な誕生会ですよね。

子どもたちの習い事や放課後のクラブなどでも、本物に触れる志向は変わりません。アート教室の先生が美術の専門家なのもよくあることです。

ちなみにこちらは個人参加OKの子ども向けのアトリエです。

ルーブル美術館の子ども向けアトリエ:Ateliers adultes et enfants
オルセー美術館の子ども向けアトリエ:L’atelier pour enfants

ネットで予約ができ、費用も7~12€と利用しやすい価格設定になっているのも、芸術が身近にある日常を感じさせます。

では、幼少時のアート教育は子どもたちにどのような影響を与えるのでしょうか?

アートが子どもにもたらすものは色彩感覚や芸術センスだけではない!

ミシガン州立大学の研究で、小さい頃のアート教育が、将来の成功に結びつきやすいことが分かっています。芸術に触れることで、独創性、創造性が磨かれるため、それがのちに社会人となって、花開くのだそうです。

それ以外にも芸術に触れることで伸びる力として、

  • クリエイティブな考え方
  • 観察し、分析し、解釈する能力
  • 感情を表現する力
  • 問題解決スキル
  • クリティカルシンキング
  • 協調性

などが挙げられています。

幼少期から芸術に触れると、絵がうまくなる、色彩感覚が磨かれる、一般的にはこんなイメージがありますよね。

でも実際には、子どもの芸術センスを高めるだけではない作用があることがこの研究からもよく分かります。とくに、思考スキルへの働きかけが大きいようです。

芸術が脳の活性化につながる

また、脳への作用という角度から見ても、アートは非常に興味深い位置づけです。

一般的に、学校の教育は左脳の強化に偏りがちで、学校の“主要教科”は左脳の管轄である言語、論理、計算、分析に重きを置くものばかり。一方のアートは感性、感覚をつかさどる右脳の管轄なので、学校の教科でいうと“副教科”に当たります。しかし、“副”といえど、その働きはおろそかにできません。

実際に“天才児”と呼ばれる子どもたちが、それぞれの得意分野の問題に取り組むときの脳を調べると、左右両方の脳を同時に連携させることが分かっています。脳を効果的に働かせるには、左脳だけではなく、右脳も強化すべきと言われているのです。

上に挙げた“思考スキルの向上”も、アートに触れることで、右脳が活性化されるということなのでしょう。

最近、注目されている「レッジョ・エミリア・アプローチ」と呼ばれる幼児教育は、このバランスに着目した教育法と言えそうです。

個を育てることに重きを置き、その一環としてアートを積極的に取り入れているのが特徴です。芸術の国・イタリア発祥というのもうなずけますね。

せっかくの日本の美的感覚、子どもにも機会を!

日本では美術館というと、“大人のための空間”という趣があります。それゆえ、子連れで美術館というと、「迷惑をかけるのでは」という心配が先に出てしまい、行くのを躊躇してしまいがちです。

でも、かのゴッホやモネが当時の浮世絵に傾倒していたように、日本の芸術も今回挙げた国々に負けない“美”があり、幼少教育の舞台はすでにあるのです。せっかくの芸術を大人だけで堪能していてはもったいないですよね。

とくに、ヨーロッパのような“校外学習“という形での利用は、今後拡大が望まれるところです。一枚の絵画も、その背景にあるストーリーを専門家から聞けば、知識が深まり、子どもたちにとっては大きな収穫になります。

また、ご家庭でも、アートの恩恵を意識してみてはいかがでしょうか。ついつい「お勉強」に力を入れてしまう毎日ですが、たまには鉛筆を置いてアートでバランスを取るのもおすすめです。

著者プロフィール

ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰。
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:http://megumi-sato.com/

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