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子育て

子どもが注意欠陥・多動性障害(ADHD)かも?症状・特徴による見分け方

子どもが注意欠陥・多動性障害(ADHD)かも?症状・特徴による見分け方

「うちの子、なんて落ち着きがないのかしら…」

人の話をじっと聞いていられない、集中力がない、これってもしかしたら、発達障害?と不安を抱く親御さんもおられるのではないでしょうか?

特に活発な男の子の場合、「多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする注意欠陥・多動性障害」との境界線が分かりにくいと感じるかもしれませんね。

その一般的な見分け方と、そのような子どもへの対応法について考えてみましょう。

「注意欠陥・多動性障害(AD/HD)」と「落ち着きのない子」との客観的な3つの違い

1.興味を持つものには集中できる子と、常にソワソワしている子

子どもは好奇心が旺盛で、興味深いものが目の前にあると、じっとしていられず、はしゃいだり、待てなかったりすることが多いでしょう。ですが、自分の興味あることをやり出すと、熱中して取り組むことができます。

これに対して、多動症の場合は、常にソワソワしたり、興味あることや好きなことに取り組んでもすぐに飽きてしまうことが多いでしょう。

また、普通に落ち着きのない子は、小学校入学後、「授業中は椅子に座っていなければならない」と教えられれば、我慢しながらも、立ち歩きたい欲求は抑えることができます。

一方、多動症の子どもの場合、「座っていなければならない」と思っていても、自分でコントロールできず、離席してしまいます。

2.自分が大切と判断したものは覚えられる子と、分かっていても覚えられない子

落ち着きない子は、自分に必要な話や自分が「大事」と判断したことは覚えていますが、多動症の子は、覚えておこうと思ってもそれが困難であることが多いです。

3.やがて周囲の状況を察知できる子と、いつまで経っても空気の読めない子

幼い子どもが、興味のない退屈な場面で、ガサガサ落ち着きなく自分中心の世界で物事を判断するのは通常の発達です。いずれ成長とともに、周囲の状況を徐々に把握し、他者の立場も分かるようになってきます。

ですが多動症の子どもは、いつまで経っても周囲の状況を察知することができず、相手の気持ちを感じることは苦手です。

「注意欠陥・多動性障害」の特徴と正確な判断

「注意欠陥多動性障害」とは、先天性の脳機能障害とされ、脳の感情を司る機能に関係があると推測されていますが、ハッキリとした原因は解明されていないようです。

かつては、本人の落ち着きのなさや親のしつけに問題があり、本人や親に原因があるように思われていましたが、今はそうではありません。

子どもがこの「注意欠陥・多動性障害」にあたるのかどうかをハッキリ知りたい場合は、専門医を受診すれば医師による行動観察や心理発達検査、また血液や尿を採取しホルモンレベルまで調べ、さまざまな事を考慮し診断結果を出してくれます。

統計的には女子より男子の方が多いとされていますが、早期療育によりかなり改善し、他の子とあまり変わりなく日常生活をできるようになるケースが多くあります

落ち着きのない子の成長には、環境が大きく影響する

多動性の子ども=「もともとのエネルギーが高く何でも積極的に取り組む子」と考えれば、将来それがいい方向に向かうこともあるでしょう。親は、子どもが生活しやすくなるように工夫することが大切です。

例えば

  • 覚えることが苦手な場合、紙に書いておく。
  • 指示が理解しにくい場合、具体的な言葉で指示を出す。
  • 説明が伝わりにくい場合、イラストや図を使って説明する。
  • 片付けるのが苦手な場合、分類しやすいボックスを用意するなど。

できるだけのびのびした環境で育て、子どもがかんしゃくを起こしたり、激しい感情をぶつけてきたときは、まずは一旦その感情を受け入れましょう。その後、決して本人自身を否定するような言葉は使わず、分かりやすい言葉で注意しましょう。

また、本人が努力した場合は、褒めることも忘れないでくださいね。

将来大きく開花する可能性を信じ、子育てを!

親として大切なことは、その子の個性を理解し、子どもの全てを受け入れてあげることです。歴史に名を残す偉人、坂本龍馬やレオナルド・ダ・ヴィンチ、エジソン、リンカーンなどもこのADHDだったとされる説もあります。

衝動性は行動力となり、多動性は高いエネルギーとなり、不注意は、一種のひらめきを生むかもしれませんね。もし、我が子に落ち着きがなければ、悩むより将来の可能性を信じ、子育てをしてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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