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夏休みは非日常体験で非認知能力を伸ばそう!

夏休みは非日常体験で非認知能力を伸ばそう!

7月も半ばになると、目の前に迫った夏休みに、子どもはワクワクしていることと思います。普段の生活とは違う長期の休みをぜひ、有意義に過ごしたいものです。

この時期に、苦手科目の学習などの認知されるスキルを見直し高めることは大切です。ですが同時に、子どもの将来の生きる力、人生の成功を左右すると言われている非認知能力を育み、高めることは更に重要と言えるでしょう。

夏休みはその絶好のチャンスです。ぜひ、子どもに非認知能力を高める体験をさせてあげましょう。では具体的にはどのように子どもに関わればよいのでしょうか。

日経DUAL記事

キャンプは非認知能力を高める絶好のチャンス

非認知能力とは、人としての生きる力、頑張る力、回復力、コミュニケーション能力、協調性、自制心や抑制力、感情をコントロールする力、発想力や創造性など、目に見えない能力を言います。

それらの力を育むひとつの方法として、家族や仲間と力を合わせて何かを達成することをおススメします。

例えば「キャンプ」。これは、非認知能力が高められる場面が多くあります。

キャンプでは、食事をするために、お米や野菜を洗う水を調達することからしなければなりません。普段の蛇口をひねればキレイな水が得られる生活とは違って、手間がかかるでしょう。そこには不便さに対する我慢や忍耐力が養われます。

またテントの中は狭い空間です。お互いに譲り合ったり、少しでも広く使うために荷物の整理整頓などの工夫もするでしょう。キャンプ体験は、普段の生活の便利さに気づくと同時に、不便さに対する我慢や耐える力、また家族と力を合せる協調性やコミュニケーション能力が必要なのです。

非日常な外遊びで自主性が高まり、発想力、想像力が豊かに!

キャンプには、ゲームなども持ち込まないようにしましょう。日常に溶け込んでいるテレビやゲーム、それらのない生活は、子どもに「遊び」を創造する力を育みます。

子どもは自然と触れ合ったり、工夫し遊ぶことを考えるでしょう。土や砂を使って造形をしたり、草花や虫を観察したり、川の流れの中に魚を追ったり、木々の葉の擦れ合う音に新しい気づきがあるかもしれません。太陽が沈む様子、夜空の星、日頃気にも留めないことに感動を覚えるかもしれません。それらは自主性を高め、そこから学びの興味を深めることもあるでしょう。

五感もフルに使い、感性が豊かになっていくことは、想像力や発想力を高めることに繋がり、また感性の豊かさは、相手の気持ちへの理解や、思いやりの気持ちを育むことも助けます。

自分たちが力を合せ、作った食事を食べ、組み立て張ったテントの中で寝ることは達成感も得られるでしょう。

ポイントは、家族や仲間と力を合せて、苦労や不便を乗り越える、というところです。それはもちろんキャンプだけではなく、登山もいいですね。家族や仲間と一緒に助け合い励まし合って、登頂した時は、大きな達成感や自信につながります。

事前のスケジュール立てで意欲が高まり、自信も湧く!

そして、それらを事前にイベントのスケジュールを立て、計画、準備することも非認知能力を育むことを促します。

事前に目的地までの交通手段を調べたり、宿泊地の様子、到着後の行動、食事、持ち物、それらを自分で計画することによって目標を達成しようとする意欲が強くなり、達成後の感動や自信が高まります。

事前の準備や計画は、親がアドバイスをしながら、子どもに立てさせると、より一層そのイベントを楽しみにし、非認知能力を育むことに有効でしょう。

体験後に「興味ある難解」を探求すると、意欲、思考力がさらにUPする!

帰宅後、キャンプで体験したことの中で、不思議に感じたこと、特に興味あったことなどを振り返り、まずはノートに書き出してみましょう。

「川に泳ぐ魚を見つけ感動した」から「川の水の流れ」「川に住む魚の生態」などへの興味。「夜空の星が美しかった」から「星の数」「夜空の広さ」などの疑問。その後、年齢に応じ、絵日記に記してみたり、自由研究のテーマとして取り組み、まとめることにより、その解決に向けての学びの意欲が高められるでしょう。

また面白い形の小石、珍しい木の実を拾い集め、それらで工作や造形をすることで、創作力や創造性が培われるでしょう。

次回のキャンプに向けての更なる目標を決め、達成方法を考えるのもよいですね。例えば来年、テントを一人で張れるようになりたい、新しいキャンプ料理に挑戦する、魚を釣りたい、珍しい草花を探すなど、小さなことでよいのです。

更なる課題や目標を考え決めるということが、思考力、判断力、そして目標達成の工夫や努力する力の向上につながっていくでしょう。

そして、それらをアウトプットすることで、表現力、コミュニケーション能力も養われます。家族の前で日記を読んだり、学級で夏休みの思い出を発表する場があればプレゼンする、自由研究をどこか作品応募するなど、発表の場を親子で考えるといいですね。

不便さを味わうことで信頼感や絆が生まれる

夏休みは自由に使える時間がたくさんありますから、時間を必要とする日頃できない体験ができるとき。昨今、どんどん生活が便利になり、便利なグッズや効率化を図るアイテムが増えてきている中、あえて不便、不自由、困難な状況を体験してみることで、得られるものもあるでしょう。

そして家族や仲間と協力し合う、助け合うことで、信頼感や絆が強まります。それらはすべて、子どもの非認知能力を育むことに繋がっていくでしょう。今年の夏はぜひ、家族で計画してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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