「自己肯定感」と「自信」は違う!子どもの自己肯定感を育む親の関わり方

「自己肯定感」と「自信」は違う!子どもの自己肯定感を育む親の関わり方

最近「自己肯定感」という言葉をよく見聞きするようになりました。

「自己肯定感が高い子どもは、集中力がある」「意欲的である」「強い精神力を持っている」など、一度は耳にしたことがあると思います。どれも前向きな感情で、子どもに身につけさせたいものばかりですね。

では、この「自己肯定感」とはどのようなものでしょうか?なんとなく分かるけれど、「自信」との違いを理解しにくい人もいるのではないでしょうか。

自己肯定感と自信の違いや、子どもの自己肯定感を高める親の関わり方をお伝えします。

自己肯定感とは「自分は大切な存在」と思える気持ち

「自己肯定感とは、自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉」とあります。(実用日本語表現辞典)

もう少し分かりやすく言うと、自分のありのままを認める感情で「自分は大切な存在なんだ」「ワタシはワタシでいいんだ」「ありのままでいいんだ」「自分は愛されている」と思えるような感情です。

人が生きていくうえで、とても大切なもので、草木に例えると、根っこの部分のようなものです。目には見えませんが、しっかり地中に根をはり巡らせている樹木は大きくたくましく育ちます。

自己肯定感もこれに似ていて、この感情が育まれていると、人は自分らしくしっかり生きていくことができるでしょう。

「自己肯定感」と「自信」との違い

「自己肯定感」とよく混同されるのが「自信」です。「ワタシはワタシでいいんだ」「自分は愛されている」ということは「自分自身への自信」とも捉えることができそうです。ですが、自信と自己肯定感とは違います。

例えば、ひとつのスポーツに長けていて、その技術や能力が高い子どもは、そのスポーツを通し、成功体験を重ね自信をつけていきます。褒められたり、高評価を得られると、自信は高まりますね。そして意欲も高まり、練習や稽古にも力が入り、更に上達しますます自信が高まります。

ですが、一旦ケガをしてそのスポーツができなくなったり、スランプに陥ったりすると、そこから一気に挫折してしまうこともあるでしょう。なぜなら、自信とは「自分の能力を信じることや、考え方や行動に対して信じて疑わないこと」「能力に頼った自分の価値」だからです。

ですが「自己肯定感」は違います。ありのままの自分自身を肯定する感情で、いわば「自信」の土台のようなものです。

たとえば、得意であったスポーツが何らかの理由でできなくなっても、その現実を受け入れます。自己肯定感が高いと、今の自分にできることを探し求め、また人生を切り拓き生きていく努力をするでしょう。

「自己肯定感」は「優越感」「正当化」とも異なる

自己肯定感が高い人は、自分と他人とを比べた評価はしません。ですので、人と比べて自分の方が優れている、というような優越感を持つこともないでしょう。また自分を無理に正当化することもありません。自分の過ちや弱さをきちんと認められます

能力に頼った自信や、他人と比べての優越感や、無理な自己正当化は、それが崩れた時、一気にすべてが崩れ落ちます。自己肯定感とは、自己そのものの価値や存在を認めるもので、どのような状況になっても、ありのままの自分を受け入れられるものです。

自己肯定感を育む親の関わり方

では、その自己肯定感を子どもの心に育ませるには、どのように親は関わればよいのでしょうか。次に特に大切な3つをご紹介します。

その1 傾聴する

「聞いて、聞いて!」と子どもはママにお話しをすることが大好きです。嬉しいこと、悲しいこと、友達とのこと、感動したこと等、どのような話でもしっかり聴いてあげてください。

とは言っても子育て中の親は、いつも忙しく、慌ただしいもの。つい、「後で!」と言ったり、家事をしながら聞くこともあるでしょう。それもときには仕方ありませんが、できれば片手間ではなく、手を止めて向き合って聴いてあげることが大切です。

その2 共感する

「悲しい」「悔しい」「嬉しい」と子どもが言ったら「悲しいのね」「それは、悔しいよね」「ホント!嬉しいね!」と子どもの気持ちに共感をしましょう。子どもに「ママは、ワタシのことを分かってくれている」という実感を持たせるようにしましょう。

その3 甘えを受け止める

「ママ、抱っこ」「これ手伝って」子どもが膝の上に乗ってきたり、背中にくっついてきたり、甘えてくることがあるでしょう。また自分でできていることでも急に、手伝って欲しいと言ってくることもあるでしょう。

そのような時、「いつまでも甘えないの!」や「自分でできるでしょ!」と言わず、十分その甘えを受け止めてあげてください。

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「自己肯定感」心の根っこを大地にはり巡らせよう

子どもを褒めることはとても良いことです。ですが、「テスト満点でエライわね」「走るのが速くてスゴイね」というような褒め方は、その能力のみが、その子どもの価値として捉えかねられません。

もし褒めるのでしたら、「テストに向けて努力した○○ちゃんはエライね」「いつも一生懸命、練習をしているあなたは素晴らしい」と、努力した過程を褒めてあげましょう

同時に、「勉強ができなくても、スポーツが苦手でも、どのようなあなたもママは大好き!」という気持ちも忘れず伝えてあげてください。そして時には、「大好き」とギュウと抱きしめたり「ありがとう!ママのところに生まれてきてくれて」と無条件で肯定し、褒めてあげましょう。

「自己肯定感」きちんと理解し、心の根っこをしっかり大地にはり巡らせてあげてください。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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