重症化すると死に至るケースも!? 子どもの夏風邪のサインとその対処法

重症化すると死に至るケースも!? 子どもの夏風邪のサインとその対処法

梅雨の時期は気圧の変化で血圧が下がったり自律神経が乱れ、大人はもちろん子どもも「なんとなく調子が悪い」が増えてくる時期。さらに梅雨が明ければ、夏風邪に感染症、熱中症にも要注意な猛暑がやってきます。

そんな今の季節の不調サインとそれらの対処法を、有明こどもクリニック院長の小暮先生にお聞きします!

有明こどもクリニック院長 小暮裕之先生
湾岸地域の小児医療不足を解消すべく有明と豊洲院にクリニックを開設(小児科・小児皮膚科・アレルーギー科・内科)。ママや子どもたちが安心して生活できる地域に根付いた小児クリニックがモットー。豊洲院では病児保育の併設予定も。
http://child-clinic.or.jp/concept.html

 

日経DUAL記事

3大夏風邪は接触感染で移ります!

_普通の風邪と夏風邪はどう違いますか?

「夏風邪は他の時期と異なり全般的に発疹がでるものが多いです。また3大夏風邪と言われるものに『手足口病』、『ヘルパンギーナ』、『アデノウィルス(プール熱)』がありますが、その中でも手足口病は発疹が出る夏風邪の中の代表的な感染症になります

一見あせもと見分けがつきにくい発疹ですが、あせもは触ると皮膚がザラザラしていて、発疹はすべすべしています。ですが、あくまで風邪なのでそこまでの特効薬はなく、ほっておいたからといって重症化するのはレアケース。

ただ、これらは飛沫ではなく接触感染で移りますので、幼稚園や保育園に通っている場合は、集団感染を防ぐために病院へ行くことが大事です」

_とはいえ、川崎の幼稚園児が夏風邪から死に至った2例のケースもありました。親としてはどんなことに気をつけたらいいでしょうか?

「川崎のケースは、発熱嘔吐に加え、胸が痛いという症状があったとされていますね。夏場で死に至るような風邪は心筋炎の疑いが大きいです。3大夏風邪である腸(エンテロ)のウィルスの中には、稀に心臓に悪さをする場合があるんです。

夏風邪のウィルスは、体内に3~4週間潜伏し、便と一緒に排出されていきます。夏場でも手洗いうがいはしっかりとしましょう」

受診の目安は「食べる、寝る、遊ぶ」に支障があるかどうか

_では、夏風邪で受診する目安はありますか?

「目安としては『食べる、寝る、遊ぶ』という子どもの日常生活にとって大切な3つのことが十分にできているか。うちのクリニックでは問診票にこれらのチェック項目を設けているんですが、医師が子どもの症状を診断する上でとても重要なんです。

この3つのどれかができない場合は、悪い病気が潜んでいるサインかもしれません。熱があるけど元気で食欲もあるときは大丈夫なことが多いですが、子どもは数時間単位で症状が急変することもあります。

朝病院で大丈夫と言われたから夜までずっと大丈夫、とは限りません。さらに、未就学児の場合は、どこが痛いと自分で的確に言うのが難しいので、おかしいなと思ったら繰り返し何度でも受診を」

子どもの呼吸のリズムが体のSOSのサインに!

_親が知っておくべき子どもの体調変化のサインはありますか?

「これも夏風邪に限らないことですが、全身の状態が問題なくても呼吸が乱れている場合は、何かしらの体へのストレスや異常が隠れているケースがあります。医師が子どもの胸に聴診器を当てるのはそのためです。

親が見て子どもの呼吸がいつもよりはぁはぁしてる場合は、何かの不調サインかもしれません。自宅でも、普段から胸の音を聞いて呼吸のリズムをチェックしてみてください。

呼吸のリズムは起きているときと寝ているとき、年齢によっても正常値が違うので厳密に測定するのは難しいですが、ママの『なんとなく違うな』、という気づきも大事です」

夏の外出は環境省のWBGTを指標にした熱中症対策を!

_夏の紫外線対策で注意すべきことはありますか?

「実は死に至る熱中症は高齢者が多いので、子どもの場合はあまり怖がり過ぎず油断しないようにしましょう。熱中症を怖がり過ぎて夏の外遊びをしないと体力が落ちてしまいますから。

そんなときに指標にしてほしいのが、環境省が熱中症予防サイトで毎日発表している「WBGT」という暑さ指数ですhttp://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php)。

湿度、気温、熱環境などで算出しているものなのですが、外出や運動をする目安になるので、天気予報と合わせてお出かけの判断材料のひとつに加えてみてください(WBGTは時間によっても異なります)。

夏は自宅にいても熱中症になることがあるので、十分気を付けましょう」

_体のSOSサインと対処法を教えてください!

「熱中症時には発熱、おう吐、頭痛やけいれん、めまい、動悸などの症状が挙げられます。軽度の熱中症は涼しいところで水分塩分をとって安静にすれば治りますが、汗をかかない(最重症)、ぼーっとしてくる(脳がダメージを受けている証拠)場合は速やかに病院で受診をしましょう。

熱中症時に取りたい水分の理想は、スポーツドリンクは糖分が多すぎて体に吸収されにくいので、体への吸収はOS-1(経口補水液)がベスト。自宅でも砂糖と塩で簡単に作れるので知っておくといいでしょう。WBGTと合わせて今のうちからしっかりと熱中症対策を!」

夏の不調のSOS、いかがでしたか? 親は子どもをよく見て、しっかりと予防したいものですね。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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