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【幼児の先取り学習】メリット、デメリット、注意点とは?~子育て支援士&幼児教育のプロが解説~

【幼児の先取り学習】メリット、デメリット、注意点とは?~子育て支援士&幼児教育のプロが解説~

「幼児の先取り学習」と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。有名小学校のお受験のため、机に向かい数式を解いたり、文字を書いたりと思っている方が多いのではないでしょうか。

ひと昔前までは、「遊びたいのを我慢して、かわいそう」だとか、「先取りすれば、学校で授業を聞かなくなる」など、否定的な考えが多かったように思います。ですが、今は「先取り学習は、どんどんさせましょう」という考えを唱えている人もいます。

昨今、幼児の先取り学習には賛否両論あり、親としては悩むところですね。そこで、幼児の先取り学習のメリット・デメリットや具体的な取り組み方について、『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)の著者で子育て支援士である田宮由美さんにまとめていただきました。さらに、幼児教育のプロ、伸芽会の飯田先生にお聞きした、幼児期の先取り学習の注意点も必見です!

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先取り学習のデメリット

〇学校での授業を聞かない

学校での授業を真剣に聞こうとしなかったり、また先生が説明している時に「知ってる!」と言って先生に嫌がられたり、授業を妨害する子と思われることがあるでしょう。

〇学校を軽んじる

一度学んだことを後から学ぶので、学校を軽んじたり、そのような態度を取ってしまうこともあるでしょう。

〇「自分はできる!」と勘違いする

学校で学ぶことを少し先に習っているだけで「自分は周りの友達よりよくできる」と勘違いしてしまう子どももいるでしょう。

「先取りする子」と「全くしない子」の“ふたこぶラクダ問題”

今、「ふたこぶラクダ問題」が教育の現場では起きていると言われています。

テストの点数の分布図と言えば、以前は60~70点くらいに最も集中し、その周辺を頂点とした山形を描いていたのですが、昨今は、20点~30点くらいに1つ目の集中があり、80~90点くらいに2つ目の集中があります。

成績が二極化し、分布図が「ふたこぶラクダ」こぶのようだと言われることもあります。つまり学校の勉強を理解している子、出来ていない子が、はっきり分かれているということですね。

先取り学習のメリット

〇学びが定着しやすい

一度学んだことを再度習うのですから、学びが定着しやすいでしょう。

〇余裕をもって授業を受けられる

小学校入学は、子どもにとって、大きな環境の変化です。新しい先生、友達、校舎、登下校と全てを一度に慣れるのは大変だと思います。そこで授業だけでも先取りしていると、少しでも気持ちに余裕を持って小学校生活をスタートさせられるでしょう。

〇中学受験を視野にいれることが可能になる

中学受験をする場合は、6年生になるまでに小学校全ての勉強を修了させ、高学年で受験勉強に専念する塾が多いです。もちろんこれは、塾の方針や受験する中学によっても異なりますが、中学受験を考える場合、小学校入学同時に、もしくはそれ以前から準備している親御さんも多いのが昨今の現状です。

入学当初は全く中学受験を考えていなかったとしても、先取り学習をしていれば、途中、中学受験を視野に入れることも十分できるでしょう。

先取り学習をする際の3つ注意点

その1 漢字や九九も興味を示せば先取りのチャンス

幼児に、漢字やかけ算の九九などは、少し先取りしすぎのように思う方もおられるかもしれません。ですが、子どもの方から興味を示せば、教えてあげればよいでしょう。お兄ちゃんお姉ちゃんが九九を言っていたことから、興味を持つこともあります。

またよく目にする文字や、自分の名前に使われている漢字は「書きたい」「読みたい」という気持ちを持つときがあります。その時がチャンスです。ぜひ教えてあげましょう。

その2 先取り学習の成果は学校の授業態度で左右される

先取り学習をしていると、学校での授業を軽んじてしまいがちですが「復習」と思ってしっかり聴いて学んでくることを伝えましょう。そのことが、先取り学習がメリットになるかデメリットになるかの分かれ目になるでしょう。

その3 先取り学習のコツは親も楽しみながら一緒にすること

先取り学習に対して、親が過剰に熱心になり子どもにプレッシャーをかけるようなことがあっては、逆効果です。「親も楽しみながら一緒に学ぼう」という気持ちで取り組むとよいでしょう。

先取り学習は「体験」から机に向かう

わが家は、第一子、第二子ともに、受験は中学からで、小学校は地元の公立に行きました。ですが、小学校入学前の先取り学習はしておりました。

それは机に向かっての学習ばかりでなく、生活の中で、教えて声掛けをし、そして必要とあれば、そこで、紙と鉛筆を取り出し、数や文字を教えていく、という方法です。

例えば、お菓子を分ける時、数を数えることから興味を持たせ、足し算引き算を教える。日常の中で目につく文字を読むことで、文字に興味を持たせ、読み書きを教える。そこで簡単な市販のドリルを購入し、自宅で取り組んでいました。特に迷路や知育の問題などは、楽しそうに遊び感覚でしておりました。

「読解」を大切にすることは、後に有利

先取り学習と言えば、先ず算数と思いうかべる方が多いのではないでしょうか。実際、塾などで、習熟段階によってクラス分けを実施している所は、算数の実力を重視されます。

また、数式を解いたりすると、先取り学習の成果がでているのが分かりやすく、親も嬉しくなるものです。ですが、私は本を読む「読解力」に最も重要性を感じています。

国語に関しては、文字の「読み書き」を熱心にする人が多いですが、必ず「読解」も取り組んでください。

わが家では息子が大変本好きで、幼児期から絵本以外にも図鑑や物語本にも触れていました。すると先取り学習をする時、自分で説明を読んで理解し、問題を解いていました。

気がつけば、全く習っていない単元までどんどん解いていたので、私は驚いて「誰に教えてもらったの?」とたずねたところ、「本に説明が書いてある」と言ったのを覚えています。塾にも行かず、親としては非常に楽に先取り学習ができたと思っています。

ですので、文章を読み解く力というのは、国語だけでなく、他の教科全てに影響をし、読解力が高いと、今後の勉強にとても有利だと実感しました。

先取り学習はバランスよく進めること

ひらがなは小学校入学後に習います。ですが入学時にひらがなを全く読めない子どもはほとんどいないのが、現状でしょう。また簡単な数の合成、1コと2コで3コになる、くらいは、大半の子どもが分かっています。

このスタート地点で出遅れてしまうと、授業が面白くなくなったり、後についていくのが大変になる可能性が予測されます。

ですので、文字、数の簡単な先取り学習は必ずしておくべきだと思います。それよりもさらに先取りをする場合、まずは「体験」そして「机に向かう」と進め、そして遊ぶことで習得する非認知能力も念頭に置き、バラスよく先取り学習を進めていきましょう。

後半では、幼児教室 伸芽会教育研究所の飯田先生に「先取り学習」で親が気を付けることについても伺いました。

伸芽会が考える先取り学習とは?

伸芽会では会員の皆さんに「未就学児では先取りをせず、小学校に上がったらどんどんすべき」と言っています。それにはきちんとした理由があります。

まず、小学校受験の多くの試験は問題を「耳で聞いて図や絵を見て解く」と言うものが多く、文字を読んだり書いたりするものはほぼありません。それは幼児の発達の特性を学校側が理解しているからです。つまり、幼児期は読み書きを重視するのではなく、学びの土台形成の時期であり、そのためには“五感を刺激して興味関心を促す”という体験が欠かせないのです。

幼児期に欠かせない体験には2つのステップがある!

伸芽会が実際に幼児教室やご家庭で実践していただいている学びの土台作り体験には2つのステップがあります。

Step1:当事者意識を持たせる体験

まずは、「弟や妹が生まれてお姉ちゃんになったからお世話をする」「毎朝カーテンを開ける」といった家族の中の役割を与え、当事者意識を持たせる体験から始めましょう。お手伝いをやらされているのではなく、自らやる体験が学びの土台となります。

Step2:チャレンジ体験

当事者意識が生まれてきたら、お手伝いや習い事を通して興味関心の幅を広げる体験をしていきましょう。その際、親や先生に頑張る過程を認めてもらえたり、目標の達成感を味わうことで自己肯定感がアップしていきます。

こうした体験の積み重ねで、しっかりとした学びの土台が築かれていくのです。この積み重ねが出来ていないと、いくらその上に知識を詰め込んだとしても崩れてしまうのです。

小学校以降の先取り学習で大切なもの

前提として先取り学習には個人差があると理解しましょう。そして、その子のレベルで

・論理的思考の筋道を立てる
・言語能力をアップする

ことを意識しながら行うといいですね。特に低学年のうちは物事を抽象化するのが発達上難しいので、具体物を使いながら学習していくといいでしょう。ここでも大事なのは、解き方の暗記ではなく、「なるほど!」と問題の意味を理解できる体験の積み重ねです。

先取り学習をする際に親が心がけるべき3つのポイント

point1 親の都合で押し付けないこと
Point2 子どもの年齢の目線になって考えること
Point3 いずれ分かるときが来るので無理強いしないこと

Point1~3に共通して言えることは、親は子どもが興味関心を持つよう「仕掛けて待つ」体制を作ること。それと、注意しておきたいのが、高学歴の先生=いい先生とは限らないということです。東大生などは直感で問題の意味を理解して解けてしまうことがあるのですが、幼児や低学年が理解できるように教えられるとは限りません。ですから、幼児の発達や特性を理解した幼児のプロである幼児教室が存在するのです。

いかがでしたか。幼児期の「土台作り体験」、小学校以降の「仕掛けてて待つ作戦」でその子にあったペースで、先取り教育を意識していきましょう。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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