有名小学校給食料理長に聞く!給食に力を入れている学校の見分け方

有名小学校給食料理長に聞く!給食に力を入れている学校の見分け方

子どもたちが食べる給食について考えたことはありますか? 最近ではいい給食が学校選びの一つの基準になっているとも聞きます。そこで今回は、学校給食に携わって12年、延べ120万食を提供してきた給食のスペシャリストYoshiさんに、いい学校給食の見分け方、そして、食育の大切さについてお話していただきました。子どもが学校で毎日食べるものについて、親としては知っておきたいところです。

プロフィール
Yoshi
昼間は都内の小学校の給食室で料理長として働き、週末には出張作りおきサービスの「シェアダイン」で“夜の給食”を手がけている料理家。シェアダインでは“イケメン給食料理長”としてユーザーから大人気。調理講師、食育セミナー活動、書籍、テレビドラマの撮影協力などにも参加。プライベートでは4歳になる女の子のパパ。
https://sharedine.me/

ポイントその1 栄養教諭や常勤の栄養士がいること!

学校が給食に力を入れているか判断するひとつに、栄養教諭がいるかどうかがあります。栄養教諭というのは、栄養士とは別で、教員免許も持っていて授業を行うことができる人。栄養教諭のいる学校というのは、食育にもすごく力を入れていると言えます。給食と家庭科でコラボして食育を学んだり、給食と社会科でコラボして自給率の話などとつなげて学んだりできます。今後、国としても栄養教諭を増やして行こうという流れなので、給食と結びついた授業がどんどん浸透していくと、より身近に食育を学ぶ機会が増えると思います。

栄養教諭がいない学校でも、常勤の栄養士さんがいる学校などは、栄養士さん自身が直接学校で子どもたちの様子を見ながら献立を考えてくれるので良いと思います。お子さんが通う学校の給食がどういうスタイルなのか、詳しく知りたいときは自治体に問い合わせると教えてくれると思います。

ポイントその2 作っている人の顔が見える食育があること

学校の給食室って、基本的には閉鎖空間ですよね。どんな人が給食を作っているのか、知らない子も多いと思います。でも、朝ご飯や夜ご飯は作ってくれたお母さんの顔を見ながら食べるのに、お昼ご飯だけ作った人の顔が見えないというは、僕は違和感があるんですよね。だから僕はあえて、給食のおじさんの恰好のまま、各クラスを回って「今日の出汁は朝6時半から煮たんだよ~」とか言いに行きます。そうすると、「あの人、僕がまだ寝ている時間からこれ作ってたんだ!」とか、ストーリー的なものが給食に加わり、味や雰囲気も変わって、ちょっと家のご飯に近づく気がするんです。

僕が学校給食とは別に、シェアダインで副業している理由は、食育を発信していきたいから。シェアダインの活動を始めて思うのは、食育は何もやっていないとおっしゃるご家庭が多いということですね。ほとんどのご家庭が、子どもは出されたものを食べるだけという状態。なぜ食育が大切かというと、生まれてから死ぬまでの間ずっと食べ続けていくものなのに、ただ出されたものを食べるだけ、というのでは深みもないしありがたみも感じられないと思うんです。僕としては、自分たちが食べているものは自然の力によって作られているということを知って欲しいし、感謝しながら食べて欲しいんです。また、好き嫌いが多かったり、偏食が続いたりしていたら、大人になって会食や友人と食事する機会も減ってしまうかもしれません。食べ物についての知識が増えると、人とコミュニケーションがとれるし、社会に出てから食をきっかけに繋がれる人もでてくると思います。そういう意味でも、給食を食べるだけというのはもったいないです。子どものうちから食に興味を持ち、自分で食べるものを選べる人になって欲しい、その思いでこれからもどんどん食育を推進していきたいです。

日曜の朝は親子で料理しながら食育にTRY!

僕には4歳の娘がいるのですが、日曜日の朝ごはんは必ず娘と作るようにしています。最初は僕が「今日はパンケーキ作ろうか?」「目玉焼き作ってみる?」とか提案していたんですけど、次第に娘の中にもレパートリーがでてきて、自分が食べたいものをリクエストしたり、ママに食べたいものを聞いたりするようになってきました。最近はおやつ作りも一緒にできるようになって、作りながら良い食育になるなと感じています。

おすすめのレシピはたくさんありますが、「ビールゼリー」などは小さなお子さんでも手伝えると思います。見た目はビールだけど、リンゴジュースを使ったゼリーなので味は甘い!

【ビールゼリー】
材料(4人分)
・りんごジュース600cc
・ゼラチン 10g
1.りんごジュースを火にかけゼラチンを溶かし、火からおろして粗熱をとります。
2.容器の7分目ぐらいまでゼリー液を注ぎ、一度冷蔵庫で冷やします。
3.ゼリーが固まったら、残りのゼリー液を氷水で冷やしながら、ブレンダーなどでしっかり泡立てます。
4.ゼリー液の上に泡をそっと、こんもりと多めに乗せていきます。
5.冷蔵庫で冷やし固めれば、見た目はビールのりんごジュースゼリーが完成!

こちらがYoshiさんがシェアダインで作った出張つくりおき料理。

お子さんともりつけるとこんな感じに! ちなみに右上にあるのが「ビールゼリー」。

味見や準備も食育の一環!

食育の定義って難しいんですけど、味見をさせるとかでもいいですよね。作っている過程を子どもに見せたり、味を見てもらったりするだけで、ご飯に対するワクワク感が生まれると思うんです。あとは食事の準備を一緒にしてもらうのでも。例えば、使うカトラリーやお茶碗を子どもに選ばせるとか。子どもに任せると、自分も家族の一員として食事に関わっているという喜びが芽生えると思うんです。

それから雰囲気も大事です。ご飯と直接関係はないけど、食卓にお花を飾るとか。花や植物のあるところで食事をすると、精神が安定し、食卓が癒しの場になります。我が家は娘と公園に行ったときに摘んできたものを飾っています。タンポポとか雑草ですけど(笑)。それでも自分で摘んだものを飾ってご飯を食べるというのが嬉しいみたいですね。

そして最後に、ご飯のときは必ず笑って楽しく食べてください。大切な人と笑っていると、セロトニンという幸せホルモンが分泌され、心のバランスを整えてくれます。

たとえ苦手なものを食べていたとしても良い記憶として残ります。逆に、怒られると、ご飯は美味しく感じられなくなります。小学校でも先生に怒られた後の給食は残菜の量が増えます。ご飯の時間が楽しい思い出になるように、ぜひ笑顔でお願いします!

 

食べるだけの給食から食育へ―。Yoshiさんの思いを聞いて、給食に対する見方が変わりました。わが家にも小学1年生の息子がいるので、これからは給食を作ってくれる方たちの姿を思い浮かべながら、「今日の給食は何を食べたの?」と積極的に聞いてみようと思います。

著者プロフィール

大学生の頃よりファッション誌のライターとして活動し、主にインタビューページなどを担当。現在はママ向けライフスタイル誌やWEBに執筆中。小学生と保育園児の男子2人の母。

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