全米No.1女子高生の母・ボーク重子さん ”最高の子育てのエッセンス”とは

全米No.1女子高生の母・ボーク重子さん ”最高の子育てのエッセンス”とは

著書「世界最高の子育て」がベストセラー。「人生が変わる1分間の深いイイ話」でも特集され、今注目のスーパー親子、ボーク重子さん&スカイさん。普段はアメリカで生活しているお二人が日本で親子講演を行うと聞いて取材してきました。会場は妊婦さんから高校生くらいのお子さん連れまで熱心なママさんたちが数百人! 中々聞けないスカイさんのインタビューも必見です!

ボーク重子
ボーク重子
ロンドンの大学院で現代美術の修士号を取得後、夫との結婚を機にワシントンDCに移住。出産後は、考える力と心の強さを育むアメリカのエリート教育にたどりつき、娘スカイを「全米最優秀女子高生」に。アートコンサル業を経て、ライフコーチの資格を取得し、現在はアメリカや日本各地で、子育てやキャリア構築、ワークライフバランスについて講演会や執筆も行っている。著書『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)『SMARTゴール』(祥伝社)『「非認知能力」の育て方』(小学館)など。
http://shigekobork.com

※ちなみに、全米最優秀女子高生とは1958年にアメリカで始まりこれまで80万人近くが参加した全米の女子高生が知性や才能、リーダーシップを競う大学奨学金コンクールThe Distinguished Young Women of Americaのこと。

日経DUAL記事

子育てをする上で、幼児期に重子さんが特に意識したことは?

それはね、たった一つ「子どもにとって安全な環境をつくる」こと。安全な環境というのは、“心の安全”ということなんですが、子どもが親に愛されているというのを毎日確認できる環境を作ること。子どもは、言葉の数が少ないだけで、考える力がないわけではないんです。ものすごくいろんなことを考えている。でも、語彙が少ないからそのほんのちょっとしか言えないの。だから、それを引き出してあげるために、親に何でも言える環境を作ってあげること。あとは、親が「やりなさい」と教えるのではなく、子どもが自分で発見して気づきを経験できる環境を作ること。これらも心の安全です。

__毎日愛情を伝えるとはどうすればいいのでしょうか?

とてもシンプルなことです。朝は「おはよう、今日はどんなことして遊びたい?」と聞いて、夜は「今日は幼稚園で何したの?」とか寝る前は「おやすみ。明日はどんなことしようか?」と聞く。たったこれだけで、子どもは、「自分のことを思って知りたいと言ってくれる人がいる」と感じるんです。それがとても重要。たとえば、ママがいつも怖い顔をして家にいても素通りし。これでは愛が伝わりません。何気ない声掛けですが、これをわが家では小さい頃から毎日徹底して行いました。

アメリカと日本の子育て、一番違うなと感じることは?

“いい子に対する考え方”が一番違うと思います。

日本的ないい子は、言われたことを言った通りに合理的に「はい」と言ってやる子。たとえば先生に「ハイやって下さい」と言われて「え、先生どうして?」などと言う子はあまりいい子じゃない。そんな私は、幼少期を福島で過ごしたのですが、典型的に後者のタイプで、先生に「感情がありすぎる」なんて言われたものです(笑)。

一方、アメリカの“good kid”(いい子)は、人を思いやれたり、自分のやりたいことが分かっていたり、気持ちが表現できたり、面白い子。言われたことを言われた通りにやるのはあまり評価の対象にはなっていません。

でも決して、私は日本的ないい子や詰め込み教育を批判しているわけではないんです。

戦後の日本が大きく成功した理由の一つは、こうした合理的なやり方にあったのですから。でも、アメリカや私の著書で提案している考えは真逆のいわば“非合理的な教育”なのです。

あるとき私は、小学校3年生で九九はおろか宿題も出さない娘のアメリカの小学校の先生に言いました。「1+1は2と教えればいいじゃない。時間ばっかりかかるわ」と。でも先生に「答えを覚えさせずに、考えさせる無駄に見える時間が、気づきの時間になるんです」と言われて。一見非合理的に見える無駄に実は多くの宝が隠されています。自ら発見する喜び、達成感、好奇心、思考力、柔軟性など、人生にとって大切な人間力はこの無駄な時間に培われるのです。

子育てもそう。私のコーチングでも言っていますが、たった3週間だけ我慢すると新らしく取り入れたことは自然と習慣になってくるんです。私の本に付箋をつけてくださる方がたくさんいてとても嬉しく思っています。まずは付箋をつけたところを“考えながらやる”でいいんです。それがだんだん“自分の癖”になって、受ける側も当たり前になってきます。すると、結果的に何も言わなくても自ら考えて行動する子になる。そうなると、思春期も手がかからないからとても楽なのです。一見非合理的に思えるこの教育法は長い目で見れば実はとても合理的なのです。面倒だな、大変だな、と思うのは最初だけです。

重子さんの“子育てのゴール”とは何でしょう

これは子育てをし始めた頃も今も変わりません。一番の目的は、「子どもの精神的、経済的な自立」。そういう子を育てるのが親の責任だと思って子育てしてきました。

アメリカでは、大学が寮生活なので、18歳で巣立つ(自立)んですが、そこまでが一区切りでしたね。どんなときも自分の意思で強く人生を切り開いてほしいと今も願っています。

__これからの子育てに必要なことは?

これはビジネスの世界でも言われていることなんですが、“出る杭を恐れない人が世界を変える”と。「こんなことがしたい」という強い思いや「これなら自信がある」という気持ちがこれからの時代には大切だと思っています。つまり、パッションを育てるということですね。アメリカのエリート学校は、幼少期からその子のパッションを見つけることに力を注いでいますよ。

全米No.1女子高生、スカイさんにインタビュー!

__スカイさんにとってママはどんな存在?

とても尊敬しています。ママが頑張っている姿を小さいときから側で見てきたから、働く女性の身近なロールモデルです。ミスをしたときも「仕事で起きる問題は必ず解決策がある」という考えだったから勇気が出ました。

幼少期から続けてきた大好きなプロ級のバレエ(15のあらゆる習い事にトライした中から見つけた、とても大切なパッション)よりも大学での学業を優先したスカイさん。

__スカイさんのパッションの変わり目はどうやって決めたの?

同年代で自分が尊敬するメンターに相談したら、「あなたは1年後何をしている?」と言われて。自分でよく考えて、今は勉強をしたいという結論を出しました。

__思考力を育てるためにボーク家ではどんなことをしていたの?

トピックを選んで夕食時に家族でいろいろな話をしました。今通っているコロンビア大学でも、友達と朝ごはんを食べながら、政治や美術など今気になる話題について2時間ディスカッションすることも。自分と違う意見やものの見方があることを知ると面白いなと思いますし、それは小さい頃から習慣が身についていたおかげだと思っています。

日本で子育てをする未就学児ママにメッセージを!

日本の素敵なママたちへ。

子育てって女性は責任感もあるし、何でも頑張っちゃうから時には思うようにいかなくてイライラしたり、疲れたり、自信がなくなるときもあると思うんです。でも、そんなときこそママ業からお休みを取って自分の時間を大事にしてくださいね。私自身、22:30~翌朝7:30までは、ママ終業時間で、ママではない一人の女性“重子タイム”にしていました。そこで自分が好きなことをして自分を再生する。そうしてパッションで笑顔になって自分に優しくしながらまた前に進んでいく。子育てにおいて母親の影響力は父親よりもずっと大きく、母親の幸福感が高ければ子どもの幸福度も高くなるという調査結果もあります。笑顔のママであるためにも自分の時間も確保してあげてください。それってママにとって必要な「素敵な自分勝手」だと思うのです。

いかがでしたか。聞く人を惹きつけるさすがのコーチングテクニックはもちろん、来場者からの質問にとても熱心に耳を傾け、スカイさんや周りのスタッフを常に人を思いやる姿勢。重子さんの魅力は聞く力と観察力にあるのかもしれません。私も重子さんの本『世界最高の子育て』を拝読して付箋だらけになった一人ですが(笑)、実際にお話していてすっかりファンになってしまいました。具体的なメソッドが分かりやすく書かれている素晴らしい本です。ぜひ読んでみてください! 9月10日放送予定の「人生が変わる1分間の深いイイ話」でもこの日の様子が放送予定だそう。そちらも要チェック!

世界最高の子育て
『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)
SMARTゴール
『SMARTゴール』(祥伝社)

 

photo:fujiki miho

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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