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1歳半がターニングポイント! スムーズな親離れ子離れのために心がけたいこと

1歳半がターニングポイント! スムーズな親離れ子離れのために心がけたいこと

「親離れ子離れ」というのは、無理に引き離すものではなく、自然な形で子どもが自立していくのを親が見守るもの。しかし最近では、いつまでたっても親離れ子離れができず、大人になってもべったりという親子もいるようです。

ここでは、親離れ子離れがうまくできない要因とスムーズにするためのコツについて、ご紹介していきます。

日経DUAL記事

親離れ子離れを阻む決定的な要因

筆者がカウンセリングなどで出会った「親離れ子離れ」が出来ていないケース(例:親離れしないまま、自分が親になってしまった)を見ると、共通しているのが、親の過管理、過干渉です。親が過度に子どもの生活を管理してしまうと、その子の自発性が損なわれるため、親に依存せざるをえません。

一方、親は子どもをいつまでも手放したくないため、相互依存が起こり、親離れ子離れする時期を逸してしまうのです。世間では、そのような親を、モンスターペアレント、ヘリコプターペアレントなどと呼んだりしますが、そのレッテルまでは貼られないものの、それに近い形の過管理のケースが、最近増えているような感触があります。

その背後にある母親への強いプレッシャー

この背景には、日本の3歳児神話の存在があると考えられます。これは、ご存じのとおり、「3歳までは母親が育児に専念するべき」という考え方のことです。

最近では「3歳児神話は崩壊した」という向きもありますが、実際にはまだまだ根強く残っており、社会もそのような目で母親たちを見ています。そんな「母子密着」の社会風潮が、ママたちを過管理へと追い込んでしまっている気がするのです

日本と対照的なフランスは赤ちゃんをどんどん外に出す

赤ちゃん時代の過ごし方を、3歳児神話の存在しないフランスと比べると、明らかな違いがあることに気づきます。それは、「他者との接点の数」です。

フランスでは、かなり早い段階(生後数ヵ月)から、ヌヌさんと呼ばれるベビーシッターに預けたり、1歳になればギャルドリーという保育所に通わせたりと、赤ちゃんのうちから、他者と関わり合いながら過ごすのが一般的で、それをよしとする風潮があります。一方、日本では、1歳以降も、しばらくは母子密着の時期が続きます。同じ3年でも、国によって赤ちゃんの環境は大きく異なるのです。

だからと言って、フランス式を推奨しているわけではありません。正直、フランスは少々早すぎるのではという気がします。子育て心理学的に見れば、日仏の間の“1歳半”がターニングポイントになるのではと考えています

子育て心理学から見た“1歳半”の意味とは?

0歳の頃は、赤ちゃんは母親にべったりという傾向が見られます。愛着理論でいう「アタッチメント」という現象で、精神的な絆を母親に求めるからです(ここでいう母親とは育児にもっとも携わっている人の意味)。

しかし、人見知りが終わった頃から、その対象を父親、そして他者へと広げることが分かっています。そして、1歳半には、複数のアタッチメント(精神的な絆)を保持できるようになります。

複数の人々とつながりを持てること、これは、社会性の発達の大きな一歩であり、親離れに向けての初めの一歩と言えるのです。

心の変化というのは外側からは見えにくいものですが、この時期の体の成長にそれがよく表れています。一般的には、1歳半くらいに、歩き始めたり、言葉が出始めたりという劇的な変化が見られます。

「歩く」「話す」どちらも、外に向けた社会的な行動ですよね。つまりこの時期に、心身ともに社会への一歩を踏み出す準備ができているということなのです。

親離れ子離れで悩まないためにやっておきたいこと

とは言っても、当然ながら、これで自立というわけではありません。まだまだママにべったりに見えるでしょう。この時期の子におすすめなのは、ママと一緒に外に出向くことです。

ある研究によれば、抱っこひもを使うとき、ママは赤ちゃんを自分の方に向けて抱き、パパは外側に向けることが多いのだそうです。これでも分かるように、母性は、ママを自然と“守り行動”に走らせる傾向があります。それを踏まえ、あえて子どもの目線を外に向ける働きかけをすること、これがおすすめの1歳半以降の過ごし方です

ママを安全基地にしながら、子どもはさまざまな冒険をし、力を蓄え、やがて巣立っていきます。いつかその日が来るまで、子どもをしっかりと見守ることは大事ですが、守り過ぎないこと、これが適切な親離れ子離れを促す大切なポイントと言えるでしょう。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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