知らないと怖い!インター系小学校6つのリアルエピソード

知らないと怖い!インター系小学校6つのリアルエピソード

小学校からの英語教育必修化で、インター系小学校への入学を希望するご家庭も増えてきました。しかしながら、情報が少なく入学を躊躇してしまうというご家庭も多いのではないでしょうか。今回は、そんなインター系小学校のリアルな実情をレポートします。

日経DUAL記事

その1 留年や退学も普通にあること

日本の小学校では、よほどのことがない限り留年や退学となることはありませんが、インター系の小学校では、留年や退学は「普通にあることの一つ」です。

よくある事例が、学年相当の学力に到達していないという「学力不足」を理由に留年となること。「もう一年、同じ内容を学ぶことで、より深く理解させましょう」という前向きな勧告から、「テストで、学校が定める点数に達していなかったために留年」という厳しいものまで、留年となる背景は様々です。

また、あまりにも学力が不足している場合は、退学を勧告されます。現状では、継続して学ぶことが困難と判断され、現在の学力に合った他校への転校を勧められるのです。

この他にも生活態度などを理由に、留年や退学になることもあります。

そして、海外企業の駐在員の家庭も多く、生徒が流動的なのもインター系小学校の特徴です。

その2 算数の考え方が違う

インター系小学校では、導入している教育カリキュラムが学校によって異なります。

教育カリキュラムによって、差が出やすいのが「算数」。同じ答えでも、カリキュラムによってアプローチの仕方は様々です。子どもから「この問題が分からないから教えて」と聞かれても「日本式の答えはわかるのだけれど、イギリス式の算数の考え方がわからないから教えられない」というような問題を抱える家庭も出てきます。

インター系小学校では、一般的に強みを伸ばす傾向にありますが、語学と算数は別もの。語学と算数は、どちらもできてこそ、全体の学力が伸びると考えられています。そのため、語学と同じように算数に力を入れている学校が多いです。

また、将来の進学先として海外の大学受験を考えた時にも、算数が重要になってきます。

海外の大学では、文系希望でも数学の成績が評価対象となる場合があるからです。

日本の様に、「理数系が苦手だから、文系に進む」という選択ではなく、「これを学びたいから、大学に進学する」という選択の仕方になるので、全ての教科成績が重要となってきます。

将来を考え、小学校のうちから海外大学受験を視野に入れ、海外教育機関が行う統一算数テストを受験させる小学校もあります。

その3 暗記型、反復型が否定されることも

海外の教育では、考えることに重点が置かれます。

例えば、算数では正解を教えるのではなく、考え方を教えるというようにクリエイティブな思考を育てる傾向にあります。

そのため、いわゆる「暗記して覚える暗記型」や「同じ問題を何度も繰り返す反復型」の教育を「学校の教育方針とは異なる」とし、暗記型や反復型の学習塾に通うことを薦めない場合があります。

1+1の答えを、暗記や反復ですぐに「2」と導き出すか、「お家にりんごが1つあって、スーパーでりんごを1つ買ってきて、全部でりんごが2つになりました」とじっくり考えて答えを導き出すのか、同じ算数でも教育方法は大きく異なります。

子どもの個性に、どの学習方法があっているのかも重要になってきます。

その4 宿題の量が多すぎる

インター系小学校は、「宿題が多い」と言われています。日本の学校のように「塾に行くこと」を前提とせず、「予習復習は、家庭で行うもの」としているからです。また、この宿題を通じて、「保護者は、子どもが学校で何を学んでいるか把握しているか」「保護者は、子どもの学習進行を確認しているか」など、学校が家庭でのサポート体制を観察している場合もあります。宿題は、「1時間程度で終わるもの」として出されている場合がほとんどですが、インター系小学校では、第二外国語や発表形式の科目も多いため、全ての宿題を合わせると膨大な量になっていることもあります。小学校の高学年になってくると「土日は、宿題をやるためにつぶれてしまう」という家庭も少なくありません。

高額な学費や大量の宿題を「インター系小学校の宿題は、塾学習の代わりと考え、高額な学費は塾代込みの学費として割り切って考えている」という家庭もあります。

その5 休みが多すぎる

長期休暇が多いのも、インター系小学校の特徴。秋休み、冬休み、春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、と日本の小学校よりもお休みが多くあります。
休みが多いということは、普段の学習のスケジュールにも影響してきます。

例えば、よく言われるのが、終業時間。「インター系小学校は、終業時間が遅いから習い事ができない」という意見も多く聞かれ、習い事のスケジュールを調整するのに苦労する家庭がとても多いです。

また、普段の授業だけでは、学習が不十分と心配される家庭向けに「サマースクール」などで補講を行う学校もあります。共働きの家庭向けには、日本の学童システムのような「サマーキャンプ」を開催する学校があります。日本人家庭の場合は、「子どもが英語を忘れないように」と長期休暇に海外留学をさせる家庭もあります。

せっかくの長期休暇ですが、のんびり過ごす家庭よりも、何らかのプログラムに参加している家庭が多いのが実情です。

その6 結局、中学受験のパターンも多い

「海外式の教育を受けさせたい」という思いで入学したインター系小学校。

しかしながら、小学校生活のなかで「やっぱり日本の私立中学を受験させよう」と方向転換するご家庭は、非常に多いです。

小学校3年生から、いわゆる日本の「中学受験対策専門塾」に通い始める子が増えてきます。4年生になると、中学受験のために日本の公立小学校へ転校する子も出てきます。

また、6年生までインター系小学校に在学して、「帰国子女枠」で中学受験をする子や私立学校へ編入する子もいます。

さらには、日本の私立中学校受験のために「今よりも宿題が少ないインター系小学校」へ転校する子もいます。「インター系小学校は、英語力をキープするために通わせるだけで、あとは中学受験の塾学習に集中させたい」という考えから、宿題の負担が少ないインター系小学校へ転校するのです。

そして、国籍の問題で転校する子も出てきます。日本国籍のみ保有している場合は、居住地域によっては義務教育違反となるので、行政の指導によって途中から日本の学校へ戻す場合もあります。

東京オリンピックの開催で、ますます注目が集まるインター系小学校。

今回は、実際に通ってみたからこそ分かる経験を交えてご紹介しました。日本の小学校とは異なる部分も多々ありますが「日本の型に縛られない教育方針で、のびのびして自由で楽しかった」という卒業生もいます。様々なご家庭を見ていると、「子どもに合っているかどうか」で柔軟に進路対応されています。「やらせたい」事よりも「合っているか」で選ぶのも重要なポイントです。

著者プロフィール

クリエイティブディレクター。GUCCI、CHANELの日本法人勤務を経て独立。現在は、ファッション、ビューティー、子育てなどライフスタイルのコラム執筆、国内外ブランドPRコンサルタントを始め、メディアや企業スタイリスト、企業セミナー講師、PRモデルなどを行う。プライベートでは、ブラジル人の夫とインターナショナルスクールに通う娘の3人暮らし。主な取得資格として、学芸員資格、中学2種美術教育免許状などがある。https://www.karenstyle.jp

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