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海外の大学に行かせたいママ必見!話題のIB教育とは?

海外の大学に行かせたいママ必見!話題のIB教育とは?

グローバルな人材育成の観点から、日本でも注目が集まるIBプログラム。日本政府も2013年には、閣議決定された「日本再興戦略」に基づき、国内におけるDP認定校を2018年までに200校に大幅増加させることを目標に掲げたため、ますます注目が集まっています。

今回はそのIBプログラムについてご紹介します。

知っておきたいIBプログラムの基礎知識!

それでは、まずIBプログラムとはどんなものでしょうか。

国際的な教育プログラム

IBプログラムは、スイスに本部を置く国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムです。国際的な視野を持った人材を育成するために作られており、年齢に応じで次の3つのプログラムから形成されています。

1.PYP(プライマリーイヤーズプログラム 3~12歳)

精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。どのような言語でも提供可能。

2.MYP(ミドルイヤーズプログラム 11~16歳)

これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム。どのような言語でも提供可能。

3.DP(ディプロマプログラム 16~19歳)

所定のプログラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入試資格が取得可能。原則として、英語、フランス語、スペイン語で提供。

IBプログラムの使命

国際バカロレア機構によると「多様な文化の理解と尊敬の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探求心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています」を使命として掲げています。

また、IBの学習者像として「探求する人」「知識のある人」「考える人」「コミュニケーションができる人」「信念を持つ人」「心を開く人」「思いやりのある人」「挑戦する人」「バランスの取れた人」「振り返りができる人」の10項目を表示しています。

IBプログラムについては、国際バカロレア機構を始め、文部科学省のホームページでも紹介されています。

【参考】
文部科学省:http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/
国際バカロレア機構:http://www.ibo.org/

教科書がない!? IB教育のメリットとデメリット

次はIB教育のメリットとデメリットについて考えてみましょう。

一つ目のメリットは、DPプログラムで取得できるディプロマにあります。このディプロマは、国際的に通用する大学入学資格として認められており、また大学での単位としても認定される場合があります。よって海外の大学への進学を希望する場合は大きなメリットとなるでしょう

二つ目は、国際的な人材を育てるためのプログラムであるということ。前出のIBプログラムの使命、学習者像を見ても日本の教育システムとは大きく異なっています。

次は、デメリットについて考えてみましょう。

一つ目は、履修言語が限定されていることです。大学進学にも関わるDPプログラムでは、原則として英語、フランス語、スペイン語でのプログラム履修しか認められていません。よって日本国内でIB認定を受けている学校は、非常に少なくなっています。(政府の働きかけにより今後は増加が期待される)

二つ目は、進行状態を可視化できないことです。日本の教育システムの場合は、1年で1冊の教科書を終えるというように進行状況を可視化することができますが、IBプログラムでは基本的に教科書すら使いません。そのため保護者にとっては、進行状況を把握しにくいこともあります。

また、答えがない出題も多いです。例えば、歴史。日本では「フランス革命は年々に起こりましたか?」というような出題が多いですが、IBプログラムは「なぜフランス革命は起こったのでしょう?」というような出題で、いわゆる明確な答えがありません。

日本でのIB教育の実態

それでは、日本ではどのようにIBプログラムが導入されているのでしょうか。

IBプログラムでは、PYP、MYP、DPの3つのプログラムの内、一つでも導入していればIB校として認定されます。

日本の学校教育法に基づく幼稚園や小中高校などでは、現在20校がIB校として認定されており、そのうち8校が日本語DPを導入しています。

また、日本国内のインターナショナルスクールでは26校がIB校として認定されています。PYPからDPまでのすべてのプログラムを提供している学校もあります。

娘はIB教育歴7年。私が感じた6つのこと

わが家の娘は、3歳からIB校に入学し、10歳になる現在までIB校で学んでいます

今回は、その実体験から感じたことをお伝えしたいと思います。

その1 IBプログラムに対応できる教員は少ない

厳しい基準を満たし、IB校に認定されてもIBプログラムに対応できる教員はまだまだ不足している状態です。

娘の通うIB校では、実際にIB教育を受けて育った子どもたちに、IBプログラムについて様々な角度からのヒアリングを行い、そのヒアリングを基に、実施するカリキュラムを毎年アップデートしています。

先日、IBプログラムを終え、海外の大学に進学した卒業生の話を伺いましたが、「DPプログラムを受けるだけで、ディプロマを取るのは大変な事です。PYPプログラムの小さなうちから読書や考える力を積み重ねていくことが重要だと思います」ということでした。

この意見を反映し、娘の学校ではIB経験者による作文添削をオンラインで受講するシステムが導入されました。

教科書もない教育プログラム。そして、IBプログラムは、教員が生徒に教えるという一方通行な教育プログラムではありません。教員は、生徒が自発的に学び続けることをサポートするファシリテーターの役目を求められます

こういったプログラムに対応できる教員を増やすことも今後の課題になっていくと思います。

その2 小学校低学年からパソコンでレポート作成が当たり前

娘が受けているPYPプログラムでは、UOI(unit of inquiry)という探求する授業があります。ここでは、教科の枠を超えた6つのテーマを探求していきます。

校外学習などを行い、実際に見て、触って、体験し、それについてプレゼンテーションとして発表し、ディスカッションを重ねることで、様々なアプローチから深く追求していきます。

親の目から見ると、小学校低学年からパソコンは学習の必須アイテム。世界中からあらゆる情報を集め、選んでいます。そして、それをまとめるレポートもパワーポイントで作成したり、マイクロソフトのSWAYで作成したりするので「いつソフトの使い方覚えたんだろう?」と驚くことも多々あります。

最近では、レポートを作るためにクラス全員のアンケートを取る機会があるのですが、アンケートもフォームを使ってオンラインで集計しています。テクノロジーを活用することで、幅広い意見を吸い上げ、反映する力もついてきたと思います。

その3 ディスカッションのスキルが高い!

IBプログラムでは、毎回ディスカッションを行います。幼いころから、自分の意見を感情的にならず発表し、また相手の意見もフラットな気持ちで聞くことが出来るようになるのは、日本の教育システムとは大きく異なる点だと思います。

また、「専門用語を使って、代表として意見を述べ、他の代表とディスカッションする練習」として、小学校4年生から模擬国連を授業で実施しています。こういった機会も日本の教育システムとは異なる点だと思います。

その4 勉強だけでは×。ボランティア活動も義務化される

大学進学に大きく関わるのがDPプログラムで取得できるディプロマです。DPで海外の大学に進学するには、フルディプロマで高得点を目指すように指導される場合もあるでしょう。しかしながら、これは大変なことです。

DPプログラムでは、ボランティア活動も義務付けられており、ディプロマを取得するのは容易ではありません。

その5 親もIBプログラムを理解しよう

IBプログラムは、世界に通用する人材を育成する総合的なプログラムです。その複雑性から内容等をすべて理解するのは、なかなか難しいものです。そのため娘の通う学校では、定期的に保護者向けてIBプログラムの報告会が実施されています。

自分の子どもがどのように学び、それに対して親は何をするべきなのかを把握することもIBプログラムを継続して受けるためには重要な要素になります。

その6 合わなかったら、やめるもあり。PYPだけ受けさせる家庭も多い

一般的に素晴らしいと評価されるIBプログラムですが、「合う、合わない」という問題は常に出てくるものです。

自発的に学習を進めるスタイルが、子どもの性格と合わない場合もあります。また、ある程度は、知識の詰め込みが必要と考え、途中でIBをやめるご家庭もあります。

また大学進学を考えた時に、必ずしもIBだけが有効であるとは限りません。将来の目標に合わせて別のプログラムを選択する場合もあります。

今回は、IBプログラムについてご紹介しました。日本のいわゆる受け身の詰込み型教育とは異なり自発的に考える力をつけるIB教育に魅力を感じる方も多いでしょう。

今後は、日本でもIB認定校も増加していく傾向ですので、IB教育を受けるチャンスも広がります。今後の動向に注目していきましょう。

著者プロフィール

クリエイティブディレクター。GUCCI、CHANELの日本法人勤務を経て独立。現在は、ファッション、ビューティー、子育てなどライフスタイルのコラム執筆、国内外ブランドPRコンサルタントを始め、メディアや企業スタイリスト、企業セミナー講師、PRモデルなどを行う。プライベートでは、ブラジル人の夫とインターナショナルスクールに通う娘の3人暮らし。主な取得資格として、学芸員資格、中学2種美術教育免許状などがある。https://www.karenstyle.jp

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