子どもの学びのコト
海外
学び

年間600万円の授業料でも激しい入園競争!NY有名幼稚園でとり入れられる「レッジョ・エミリア・アプローチ」とは?

年間600万円の授業料でも激しい入園競争!NY有名幼稚園でとり入れられる「レッジョ・エミリア・アプローチ」とは?

米国ニューヨーク市の有名私立幼稚園は、授業料が高いだけでなく、入園も難しいことで知られています。週5日、1日2時間半の2歳のプログラムで、授業料が年間300万円というのは普通。もっと高い幼稚園になると、3歳でなんと年間600万円近くになります。

高い授業料にもかかわらず、入園するための競争は激しく、合格率が米国トップのハーバード大学レベル、それよりはるかに低い幼稚園もあります。

これら多くの有名幼稚園でとり入れられている教育理念が、日本ではまだあまり普及していない「レッジョ・エミリア・アプローチ」。通常の「先生が生徒を教える」という方法とはまったく異なる教育アプローチを、アメリカからレポートします。

先生は「教える存在」でなく、興味を掘り下げる「ガイド役」

レッジョ・エミリア・アプローチは、イタリアのレッジョ・エミリア市で生まれた幼児教育理念です。基本理念は、「子どもは好奇心が強く、好奇心を通して自ら学びを構築する能力を持っている」というもの。

そのため、先生は教える存在ではなく、子どもの話に耳を傾け、観察することで、子どもが何に興味を持っているかを見つけ出し、その興味をさらに深く掘り下げる機会を提供する「ガイド」や「助言者」と位置づけられています。

「子どもは、絵や音、光、ダンスなど、“100の言葉”を使って自分の考えや想像力を表現する」というのも、レッジョ・エミリア・アプローチの基本的な考えの1つ。創作活動を助けるため、通常、幼稚園には専属の芸術専門家がいます

自分のアイデアや興味が出発点!子どもが学びや探索に情熱をもつ秘訣

レッジョ・エミリア・アプローチをとり入れている幼稚園A。ある日、園児3人が輪になって、それぞれ違う楽器を鳴らしながら、どのような音がするか意見を出しあっています。1人の園児が、他の園児の楽器にあわせて、自分の楽器も鳴らし始めました。

そこで先生がかけた言葉は、「じゃあ2人一緒に楽器を鳴らすとどんな音がするかな?3人だとどう?」。園児を注意するのではなく、園児が興味を示したものに、みんなの関心を集めていくよう誘導していました。 

また別の日。2人の園児が、ボタンや石などを使って自分の顔を作っています。1人が、「私の名前にある『S』をここにかきたい」。すると、もう1人が、「僕かけるよ。僕の名前にも『S』があるんだ」。そこから2人は、先生に質問しながら、自分たちやクラスメートの名前にあるアルファベットを練習し始めました。 

レッジョエミリア_1

このように、自分のアイデアや興味をベースにしたプロジェクトを行うことで、子どもは学びや探索に情熱を持つようになると言われています。また、プロジェクトはほかの子どもとのコラボレーションを通して行われるため、自然と交渉力やコミュニケーション能力を高めることにもなります。

レッジョ・エミリア・アプローチは、自分で考えることのできる、しかも創造力に富んだ考え方をする人間を育成するアプローチなのです。

起業家や経営者の多い街ニューヨークで支持される理由

レッジョエミリア_2

起業家精神の旺盛な米国。特にニューヨーク市は、創業者やCEOを含めて、世界中で最も多くの億万長者が住む街のひとつとも言われます。

起業家や企業経営者に必要な能力として挙げられる、問題解決に不可欠なクリエイティビティや社会性、コミュニケーション能力。社会に出てから求められる力を見据えた教育アプローチをとるレッジョ・エミリア教育が、ニューヨーク市の多くの有名幼稚園でとり入れられ、親に人気なのは、自然のことなのかもしれません。

【参考】
The New York Times/Elite Schools Rethink Saving Seat for Little Sister
Forbes/New York Is The City With The Most Billionaires, Not Beijing
The Real Deal/Where the billionaires live
The New York Times/Solving Problems for Real World, Using Design
Forbes/Top 4 Traits of “Future Proof” Employees, According to 1,709 CEOs
The New York Times/Learning to Think Outside the Box
The New York Times/ Why What You Learned in Preschool Is Crucial at Work

著者プロフィール

世界32カ国に在住の150名以上のリサーチャー・ライターのネットワークをもち(2016年11月時点)、企業の海外での市場調査やプロモーションをサポートしている。

300_250

フォローで最新情報をお届け!

関連記事

新着記事