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日本にも上陸!UWCシンガポール校での教育とは

日本にも上陸!UWCシンガポール校での教育とは

アメリカの名門校群アイビーリーグに多数の卒業生を送り込む、シンガポールのUnited World College South East Asia校(ユナイテッド・ワールド・カレッジ 東南アジア・カレッジ、以下UWCSEA)。

UWCSEAはシンガポールにはDover校とTampines校があり、現在4歳から18歳までの約5,500人の生徒が学んでいます。学校の5つの柱は、学業(Academics)、アクティビティー(Activities)、野外学習(Outdoor Education)、人格と社会教育(Personal and Social Education)、奉仕(Service)の5つです。

UWCSEAでの教育については、以前SHINGA FARMでも、ジャングルなど過酷な環境で「経験値を上げる」教育と、学内外・近隣諸国の数百の団体と提携して行うボランティア活動についてレポートしました。

今回は、「学業(Academics)」に注目し、実際の授業の様子を潜入レポートします。

学業のチャレンジを達成する、論理的に組まれたプログラム

UWCSEA は、世界でも最大級の国際バカロレアディプロマスクール(IB認定校)です。それぞれの学年にあわせて、国際バカロレアの初等教育プロフラムやファンデーションプログラムなどのプログラムが組まれています。

どの学年でも、国語、数学、理科、美術、人文学、テクノロジー、体育の科目をベースに次の学年での学業におけるチャレンジを達成できるよう論理的に組まれています

独自のコンセプトベースドカリキュラムのおかげで、2017年には、IBディプロマスコアは世界平均の29.95に対してUWCSEAは36.72と、平均をはるかに上回る結果を出しています。

少人数制・習熟度別で、一人ひとりを尊重した学習

UWCSEAは、生徒の人数自体は多いのですが、先生の数も多いのが特徴です。Dover校には生徒3,011人に対して先生は319人、Tampines校も生徒2,480人に対して先生は249人います。

低学年の場合1クラスの生徒数は最大22人で、さらに先生は担任とアシスタントティーチャーの2名がいるので、一人ひとりにしっかりと目が行き届きます

低学年では、たとえば算数の授業は基本的に少人数の習熟度別のグループにわけて進行するのが特徴です。使う教科書は同じですが、理解度にあわせて進んでくれるので、落ちこぼれもなく、生徒にもできたという自信がつきます

年に2回の学校開放日はStudent Led Conferenceと呼ばれ、親が子どもたちの学習の成果を見ることができ、生徒がそれぞれ学習ユニットで学んだことを親に教えるという場です。このように自分たちが学んだことを表現する機会が設けられています。

自分を表現することはとても重視されており、学んだことを発表するだけでなく、自分の学習に対する思いFeeling Treeというイラストを使いながら表現していきます。担任とこの絵を見ながら、自分はどう感じているか、どんな気分かなどを話します。

特に言語化が難しい低学年では、こういった形で自分の思いを引き出すことは対話の一助となるので、学校だけでなく、家庭での親子の対話にも活用できそうです。

UWCシンガポール校での教育とは_02

Feeling Treeのイラスト

教室にも学びを自然と促進するような工夫が

日本の場合、小学校では黒板に向かって机といすが並べてあり、生徒が先生の話を聞く、というスタイルですが、UWCSEAでは教室もユニークです。

たとえば小学生の教室には、一人ひとりの机といすのセットが並ぶのではなく、用途に応じてさまざまなスペースが用意されています

たとえば、キャンプファイヤーと呼ばれる、クラス全体が集まって話やプレゼンテーションを聞くスペースがあります。ここではたきぎを囲むようなイメージで、朝の集まりや本の読み聞かせなどが行われます。また、発表や表彰などもこういった一カ所に集まる形で行われることも。

座席も、ただ決められた席に座るのではなく、立って勉強できるようなスタンドアップデスク、ゆったりとして座れるクッションなどそのときの気分やラーニングスタイルに合わせて用意されています

教室にはモノづくりができるようなワークステーションもあり、布やマーカー、紙などが用意されて休み時間などに作品をいつでも作れる環境もあります。このように、教室だけでなく学校の随所にイノベーションが生まれるような仕掛けが用意されています。

「遊びながら学ぶ」 体感しながら学ぶことを重視した授業

幼稚園や低学年で力を入れている国語と算数にも工夫があります。UWCSEAでは「遊びながら学ぶ」ということを掲げており、子どもが元から持っている遊びながら学びたいという気持ちを大切にしているそうです。

これは、子どもの好奇心は、自ら試したり、発見したりすることにつながり、遊びはそれを促すものだと考えているためです。

たとえば国語では、文字の意味を理解することは読書の一部でしかないと考え、文字を追うだけではなく内容にまで踏み込んで学びます。そのため、本に書かれている内容だけでなく、作者、そして書かれていることの後ろにある意味についてみんなで話し合うこともあります。

また、本を使って自分で話を考えたり、本のイラストをヒントにストーリー設定を考えたり、楽しみながら本、そして読むことになじんでいくように低学年では促しているそうです。

算数では、ブロックを使った遊びなどで身体を使って学ぶことを重視しています。幾何学なら、パターンブロックを使いながら、形やパターン、それぞれの大きさ、空間などを遊びながら体感します。

また体積の勉強では、水を張ったテーブルに用意されたさまざまな容器に、水を入れたり、重さを計ったりするなどを通じて水の重さや大きさを文字通り感じていきます。

このように机に向かい紙と鉛筆で勉強するだけでなく、遊びを中心にして、生徒自身の学びたいという気持ちを引き出しながら「遊びながら学ぶ」ことが日常的に行われています。

まとめ

勉強面でもユニークな指導が行われるUWCSEA。学業でも高いレベルを目指しながらも、子どもたち一人ひとりに目を配り、そしてその学びを自信につなげるような教育が行われています。

日本人はDover校、Tampines校で約90名程度。英語は必要ですが、高学年からは寮も併設されているので、海外のボーデイングスクールを将来的に考えている場合は選択肢の一つに入れてもいいかもしれませんね。

著者プロフィール

世界35カ国に在住の200名以上のリサーチャー・ライターのネットワークをもち(2017年12月時点)、企業の海外での市場調査やプロモーションをサポートしている。

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