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子育て

小学1年生からのおこづかい、親が気をつけたいこと

小学1年生からのおこづかい、親が気をつけたいこと

子どもが成長するとともに、家庭で教えなければならないことに「お金の使い方」があります。お年玉やおこづかいを手にするようになると、その管理の仕方を覚えていくと同時にお金の大切さ、また使えるお金には限りがあることなどを知る必要があるでしょう。

そしてそれらを学ぶいい機会になるのが、月々決めた額を渡す子どもへの「定額制おこづかい」です。4月の進級や新入学をきっかけにおこづかい制度を導入するご家庭も多いのではないでしょうか。

子どもにおづかいを与えることで身につくメリット、またNG対応や注意点をお伝えします。

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子どもへのおこづかい5つのメリット

メリット1 適切な金銭感覚が身につく

自分が使えるお金の範囲を考え、それに見合うようにお金を使っていくという、適切な金銭感覚を養っていくことができるでしょう。

適切な金銭感覚が身についていない子どもは、自分が使える限度以上の買い物をしたり、将来、過度に借金をしてまで物を購入する恐れもあります。ですので、この金銭感覚を身につけることは生活していく上でとても大切なことです。

メリット2 物の値段やお金の価値が分かってくる

自分で実際に物を買うことによって、世間一般の物価などが分かってきます。

実際に何円支払ったら、どのような物を購入できるのか、体験してみて、値段の相場を知ると同時に、1円玉や100円玉のような硬貨、千円札や一万円札のような紙幣の価値も感覚的に分かってくるでしょう。

メリット3 計画を立てる力が高まる

今月の残金から、今日は何円くらい使えるか考えるようになるでしょう。また欲しい物があっても毎月のおこづかいの額ではすぐに買えない場合、必要な金額に向けて、貯金していかなければなりません。そこから計画を立てる力が高まっていくでしょう。

メリット4 目標に向けて我慢する力が養われる

計画を立て、欲しい物を購入するためには、目標金額に達するまで我慢することが必要です。これは親から強いられる我慢ではなく、子ども自身がセルフコントロールしながら身についていく我慢ですので、自制心や自己管理能力なども高まり、自立を促すには、とてもよいでしょう。

メリット5 計算力が高まり、算数の必要性を感じる

おこづかいをもらうと、お金の計算が身近になってきます。そこで計算力も高まると同時に「算数が生活の中でいかに役立っているか」その必要性も感じ取ることができるでしょう。

親がやってはいけないNG対応

前借りを直ぐに認める

子どもがすぐにおこづかいを使い切り、足りなくなった場合、親に前借りを頼んでくるかもしれません。そのような時は、簡単に認めないことです。

前借りをすれば、計画性もセルフコントロールする力も身につきません。また足りなくなれば簡単にお金が手に入ると感じさせるのもよくないでしょう。

もし、足りなくなった場合は、一度子ども自身が困る体験をさせ、次は計画に沿って使うように教えましょう

子どもの使い方に口を出す

子どものおこづかいの使い方を見ていると、親はいろいろ言いたくなることもあるでしょう。例えば、「初めにそんなにたくさん使っていると、後で足りなくなるわよ」「そんなつまらない物を買わないの」などなど…。でもそれは決して言ってはいけないNGワードです。

親にとってはつまらない物でも、子どもにとっては、価値ある物かもしれません。それらを買うためのお小づかいです。使いすぎたり、不要な物を買ってしまったりしながら、子どもはお金の使い方を学んでいくでしょう。

おこづかいを始める際に気をつけたい2つのポイント

ポイント1 初めにおこづかいのルールを親子で話し合って決める

初めに、おこづかい帳をつけ、お金の収支を管理することを教えておきましょう。そして子どもがおこづかいで買う物、親が買う物、その線引きを決めておくことも大切です。買う物リストなどを作り、親子でひとつずつ分けていくと作業は、コミュニケ-ションも深まりいいですね。

ポイント2 期間は様子を見て調整する

定額制おこづかいを始めるとき、1ヶ月に1回と日にちを決めて渡すご家庭が多いと思います。ですが低学年の間は、その期間が長すぎる場合もあります。

もし子どもが上手く管理できていないようでしたら、半月に1回、または1週間に1回、金額を割って渡すようにしてみるのも一つの方法です。子どもの様子をみながら、調整するといいですね。

よくある質問 「定額制」と「報酬制」どちらがいいの?

ここでよく尋ねられる質問について、触れておきたいと思います。おこづかいの「報酬制」についてです。

お手伝いをするとそれについて、金額を渡す、いわば労働に対しての対価を支払う方法です。確かに何もしないで、お金を得るのではなく、お金を手に入れる苦労を覚えることも必要です。

頑張れば頑張った分だけ、手にするお金が増えると、お手伝いのやりがいもあるでしょう。ですが、そうなると、おこづかいをもらえないと、意欲が持てない子になる可能性があります

また小学生には、それを先に教えるより、限りあるお金を適切に使うこと教える方が優先されるべきでしょう。

なぜなら「もっとおこづかいが欲しい」と、お金を得ることに一生懸命時間を費やすようになり、勉強やお友達と遊んだり、この時期でしか培われない大切なものが、ないがしろになることが懸念されるからです。

ですので、先ずは定額制で適切な使い方を教える方がよいでしょう。

金銭感覚は子どもの頃から養いましょう

金銭感覚は、大人になって急に身につくものではありません。子どもの頃から、おこづかいを使ったり、親のお金の使い方など見て、生活の中で自然と身についていくものです。

将来、子どもが適切お金の使い方ができるように、幼い頃からサポートしてあげましょう。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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