子どもを絵本好きから読書好きにするための4つのポイントとは?

子どもを絵本好きから読書好きにするための4つのポイントとは?

「文章を読み解く力」が高いか低いかは、後の人生に大きな影響を与えます。例えば、小学校での国語の授業はもちろん、他の教科でも、まずは教科書を読んで理解する事が必要だからです。

また、大人になると、契約書を交わしたり、取扱説明書を読むなど、あらゆる場面で読み解く力が必要となってきます。

ですので、幼い頃から文章に触れ、読書の習慣をつけておくことはとても大切なことと言えるでしょう。子どもが読書好きになるよう、まずは幼児期、絵本に触れておくことをおススメします。

では、いつ頃どのような絵本を与えればいのでしょうか。

初めて絵本を見せる時期は?

赤ちゃんの視力が出始めた頃から絵本を見せることはできるのですが、実際には腰が据わり始める6ヵ月を過ぎた頃からが最も適切でしょう。お母さんのお膝の上に座らせて、同じ方向から絵本を読んでいくといいですね。

絵本を選ぶ際に気をつけたいこと

絵本は、子どもの発達の段階に即したものを与えるのが最も効果的です。では最初に与える絵本はどのようなものがいのでしょうか。以下が選ぶ際に気をつけたい10個の項目です。

1 描かれている「モノ」の輪郭がはっきりとしている
2 鮮やかな色が使われている
3 生活の中の身近な「モノ」が描かれている
4 文字が大きく書かれている
5 短い簡単な単語が繰り返し、リズミカルに出てくる
6 見開きで完結している
7 本の大きさがコンパクトで、乳幼児でも扱いやすい

そして月齢が上がるにつれて、
8 日常生活の習慣や行動をなぞっているもの
9 ストーリー性があるもの
10 空想的な内容のもの

などを与えていくといいでしょう。

絵本で伸びる子どもの能力とは?

その1 文字への興味と語彙力

絵本に書かれている文字を見ることで、文字への興味を持ち始めるでしょう。それがやがて、言葉の数を増やし、語彙力を高めていくはずです。

その2 生活習慣やしつけが身につく

一日の行動や、トイレ、食事など日常の生活をなぞった絵本を読むことで、生活習慣やあいさつなどのしつけが身についていきます。

その3 想像力や推察力を育む

このページをめくると次はどうなるのか、推察力や想像力が養われるでしょう。少し複雑なストーリー性のあるものを楽しめるようになると、物語の展開を予想したり、登場人物の気持ちになって、喜びや悲しみを感じたり、非日常を疑似体験することで、ハラハラドキドキを味わい、感情もより豊かに育まれていきます。

絵本で深める親子のコミュニケーション

絵本はできるだけ子どもの手の届く場所に置き、子どもが自分で取り出しやすい所に置きましょう。リビングなどに、季節にあった絵本をディスプレイするのもよいでしょう。

子どもはお気に入りの絵本を自分で手に取って読んだり、時には「ママ!読んで!」と言って、持ってくることもあるでしょう。その時は、少々忙しくてもできるだけ読んであげてくださいね。

大好きなお母さんや身近な人の膝の上で、温みを感じながら、聞きなれた声で、絵本を読まれることによって、安心感を抱き、絵本に興味を持ち、絵本が好きになっていくのです。

そこから親子のコミュニケーションも深まり、子どもの情緒も安定してくるでしょう。

絵本好きから読書好きにするための4つのポイント

その1 手に取りやすい場所、目につく場所に本を置く

年齢が上がるにつれて、図鑑も並行して与えるようにしましょう。そして「なぜ」「どうして」と思った疑問を直ぐに、本を開き調べる習慣もつけておくといいですね。

幼い頃から絵本に慣れ親しんでおくと、その延長線上で読書にも自然に親しめるでしょう。ディスプレイしている絵本を年齢と共に、図鑑や一般の図書に置き換えていくのもいいですね。

その2 親も読書をしている姿を見せる

子どもを読書好きにさせたいと思っても、親が本をほとんど読まない家庭では、子どもの読書好きは定着しにくいでしょう。親も本を読み、その姿を日々の生活の中で自然に子どもが見ている環境にしておくことも大切です。

その3 図書館を活用する習慣をつける

親子で一緒に図書館に行き、本を借りる習慣をつけましょう。図書館で多種多様の本に触れることで、自然と年齢にあった本に興味が移行していくはずです。

ですが、中にはいつも同じ本を借りたがる子もいるかもしれません。親とすれば、違うジャンルの本や少し文字の多いものも借りて読んで欲しいと思うもの。ですが、子どもは同じ本を手に取ることで、心が落ち着き、安心感を得るのです。そのような時期は、親の意向で、無理に違う本を借りさせることは控えた方がよいでしょう。

その場合は親が、読ませたい本を借り、自宅で親が読み、「この絵本面白いわ!」などと感想を言うことで、徐々に興味を持たせていくのが理想的です。

その4 時間を決めて、読書タイムを設定する

さらに子どもを読書好きにするには、本を読むことを毎日継続させることも考えましょう。それには読書タイムを決めておくといいですね。一日の生活の中で、夜寝る前や早朝など、各々の家族の生活スタイルの合わせ、読書タイムを設定してください。

この秋はぜひ、親子で読書に親しみ、そこから広がる会話を楽しみ、コミュニケーションも深めてくださいね。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

  • twitter
  • はてなブックマーク
  • LINE

関連記事

新着記事