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シッター先進国は子どもの孤独感が低い!?日本でベビーシッターが普及しない本当の理由とは

シッター先進国は子どもの孤独感が低い!?日本でベビーシッターが普及しない本当の理由とは

筆者がこれまでに生活してきたヨーロッパ諸国では、基本的にどの家庭でもベビーシッターの当てがあり、数人と契約しているケースも少なくありません。一方日本では、核家族が増えているにもかかわらず、子どもを人に預けることにまだまだ消極的です。

この記事では、日本とヨーロッパのベビーシッター事情を比較しながら、今後の日本で普及させるためのヒントを探りたいと思います。

日本とヨーロッパのベビーシッター事情を比較

日本と比べ、ベビーシッターの利用率が高いヨーロッパ。何がどのように違うのでしょうか? 現地のママから聞いた声をもとに、ベビーシッターに関する比較をまとめてみました。

日本 ヨーロッパ
利用のタイミング 定期的 不定期
利用目的 仕事、用事など 夫婦での外出、リフレッシュ
専門性 要(シッター会社からの派遣など) とくに不要(学生、引退後の女性など)
役割 子どもの世話+α 世話、遊び
価格設定 高め 低め

現在、筆者が在住しているオランダでの価格は、1時間あたり8€(約1,000円)が相場。
一方、日本では、家庭教師、ピアノレッスン、家事全般などの「子どもの世話+α」が求められる傾向があるので必然的に価格が上がり、1時間あたり3,500円前後かかることもあるようです。

日本のベビーシッターの普及を阻む心理的な要因

上の項を見ると、費用の違いが目につきますが、日本でベビーシッターがなかなか浸透しないのは、その金額が最大の理由でしょうか? それ以上に、日本人の生まじめな性分が関係しているように思います。

もし今の日本で、安くて気軽に頼めるベビーシッター制度があっても、それがすんなりと受け入れられるかというと、そうではないように感じるのです。

日本とヨーロッパの両方で子育てを経験した日本人ママたちに話を聞くと、

「日本在住時は、用事もないのに他人に子どもを預けることに罪悪感や後ろめたさを感じた」
「ヨーロッパに来たら、自分のリフレッシュのためにシッターを使うようになった」

とおっしゃいます。ヨーロッパ在住をきっかけに、大きな心理的変化があったのは明らかですが、それを起こさせたのは現地の社会風潮だと思います。

ヨーロッパは共働きが一般的なので、子どもを預けるのはごく自然なことであり、親を中心としつつも、社会全体で育てようという温かい空気があります。
一方の日本は、子育ては親が100%担うものであり、社会の目がその様子を外側から厳しく観察しているような風潮があります。だから、たった1時間預けても、それに白い眼を向けがち。たとえそれ以外の23時間、きちんとやっていたとしても……。

このような環境では、世間の目が気になり、利用したくても利用しづらくなってしまいます。

シッター先進国の子どもは孤独感が低いという皮肉

社会風潮はすぐに変わるものではありませんが、40年前のフランスがそうであったように、声を上げていくことは必要です。誰かに預けることを「子どもがかわいそう」と見る向きもありますが、実は日本の子どもたちの方がはるかに孤独感を感じており、その割合は世界でも抜きんでて高いことがユニセフの調査で分かっています

逆に、もっとも子どもが孤独を感じていない国の1位はオランダで、他のヨーロッパ諸国も軒並み孤独感が低いという結果が出ているのです。

「シッター先進国の方が圧倒的に孤独感が低い」という皮肉、これは社会全体で子どもたちを育てていくことの必要性を物語っています。親だけで子育てをしようとすると、留守番が発生したり、忙しさのあまりかまってあげられなかったりと、子どもが「ひとりぼっち」を感じることが増えてしまいます。その点からも、子どもが孤独を感じないために、社会全体がシフトすべき時期に来ていると言えるでしょう。

ベビーシッターを気持ちよく利用するコツ

また、シッターを依頼する親側も、利用しやすくするための工夫をする必要があると思います。ベビーシッターの普及度が日本の比ではないヨーロッパのリアルな声には、ベビーシッターを上手に活用するヒントが隠れていますので、それをご紹介していきましょう。

まず、シッターをやっているのは、それを本職にしている人ではなく、学生や子育てを終えた女性など、時間にフレキシブルに対応できる人だということ。エージェントなどを通さず、個人的な契約をしているケースが多いようです。
相手がプロではない分、多くを求めず、「子どもと一緒に安全に過ごしてくれれば十分」と考えています。

シッターに求める条件は、

  • 午後の預かりであれば、一緒に遊んでくれたら、それでOK
  • 夕方以降であれば、準備した夕食を食べさせて、通常の時間にベッドに連れて行ってくれればOK

と言います。また、
「学生の方が、自分たちよりも子どもに年齢が近い。体力もあるから、子どもの遊び相手としては適切」
「子育てを終了した女性なら、大きな器で赤ちゃんが泣いたときも受け入れてくれる」
と、子どもの年齢に合わせたシッター選びをしているようです。

さらには、子どもを預けるには、信頼感が不可欠。

  • 同じ通りに住むお宅の娘さんに行き来してもらっている
  • ママ友が利用しているシッターさんをシェアしてもらった
  • 近所のリタイアしたおばあちゃんが見てくれている

のように、“口コミ”で身近な人を選んでいるケースが多いようです。

このような意見を踏まえると、「シッターのハードルを上げ過ぎないこと」がベビーシッターを気持ちよく利用するコツであり、広く普及させるためのヒントであるように思います。親はその子のお世話のプロ、それと同じ力量を相手に求めてしまっては、お互いに不完全燃焼を起こしてしまいかねません。

現在の日本で、ヨーロッパのような学生のベビーシッターは越えなくてはいけない壁が多いように感じますが、子育てを終えた女性の豊かな経験は大きな魅力ではないでしょうか。

現在の60代の方々はとてもはつらつとしています。「一億総活躍社会」を掲げる日本において、おばあちゃん世代と子ども世代の接点を作ることは、ベビーシッターの普及を促す上で、外せないポイントだと思うのです。

著者プロフィール

ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰。
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:http://megumi-sato.com/

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