子どもの学びのコト

教育の原点を取り戻すためのイベント「超職員会議2016」が問いかけるもの【前編】

教育の原点を取り戻すためのイベント「超職員会議2016」が問いかけるもの【前編】

部活指導や膨大な事務作業、保護者へのクレーム対応……。近年、こういった学校の教師たちの過酷な勤務実態がクローズアップされるようになってきています。この問題は、保護者として先生たちと関わる親にとっても他人事ではありません。

そこで今回は、「教育現場のブラック労働化」問題をテーマに専門家や現場の教師、保護者たちが語り合うシンポジウム「超職員会議2016」にライター庄司が参加。

当日の様子をレポートしながら、問題解決のための糸口を探ります!

きっかけは「先生が忙しすぎる教育現場を何とかしたい」という思い

9月24日、東京・茅場町で開催された「超職員会議2016」。小雨の中、会場には50名を超える参加者が来場。

小学校や中学校の教壇に立つ現役の先生たちを中心に、教育関係者や一般参加の保護者まで、全国各地からさまざまな人々が集まりました。

「超職員会議2016」のウェブサイトはこちら

%e5%89%8d%e7%b7%a8_01

「超職員会議2016」の発案者は、社会人教育や研修を手がける教育ベンチャー・ミテモ株式会社でシニア・ディレクターを務める森本康仁さん。元小学校教諭でもある森本さんは、当事者として長年、この問題の解決に取り組んできたといいます。

「本来、教師がするべきことは、質の高い授業を子どもたちに提供することです。ところが現場では、膨大な量の事務仕事や校内行事の準備、こまやかな保護者対応などに追われ、教育活動に力を注げない実情がありました。

でも、これは学校という組織が抱える問題であり、教師個人の努力で解決することは不可能です。だからこそ、現場の教員や保護者、専門家らが力を合わせて解決に向けて取り組める場が必要だと思ったんです」(森本さん)

「15時間労働、100連勤」が常態化する部活動の現実

そんな趣旨ではじまった「超職員会議2016」。当日は、部活問題や学校のクレーム問題について詳しい名古屋大学の内田良准教授、学習院大の長沼豊教授、大阪大の小野田正利教授らが登壇しました。

%e5%89%8d%e7%b7%a8_02

↑ 登壇者の内田准教授(写真左)、長沼教授(同中)、小野田教授(同右)

パネルトーク第1部のテーマは「部活動問題」。まずは内田先生が、自主的な活動であるはずの部活動にはびこる強制加入の実態や、教員のボランティア労働によって成立しているグレーな現状について報告。

教員時代は運動部の顧問を担当していたという長沼先生も「部活動のために15時間労働、100連勤のようなことが常態化しているのはおかしい」とコメントし、教師の負担が大きい現在の部活動のあり方に疑問を投げかけました。

そもそも部活動の目的は、子どもたちに低コストでスポーツや文化活動の機会を与えること。そんな「教育」の一環だったはずの部活動が、いつのまにか全国大会などへの出場を見据えた「競技」となり、ボランティアで顧問を務める先生たちに「高い技術力」や「土日の指導」が求められるようになってしまったのが現状です」(内田先生)

その上で、内田先生は「競技として部活動をするならプロの指導者を雇うなどの仕組みが必要。または、教育という側面を重視して週3日程度の『ゆとり部活動』に方向転換すべき」と提言。

一方、長沼教授からは「教師にとって土日など勤務時間外の顧問活動は職務外。でも、ひとたび事故が起きれば顧問の責任。この法的な規定と現実のギャップをまず埋めるべき」との意見が出されました。

%e5%89%8d%e7%b7%a8_03

↑ 質疑応答では、現役の先生たちを中心に、参加者からたくさんの質問が飛び交いました。

「学校」「教師」「保護者」の空気の読み合いが現場の息苦しさを生む

途中の質疑応答では、現役教師たちに混じって、中学生のお子さんがいる保護者から「娘が入部した体育会系の部活は放課後も土日も練習があるが、『休みたい』と言える雰囲気ではなく休めない」と質問が。部活漬けの現状を不安視する声には、同じ保護者としてとても共感を覚えました。

なぜなら、わが家の息子はまだ小学生ですが、小・中・高を問わず学校という組織にはこういう「謎の同調圧力」があるからです。部活動はその最たる例と言えますが、PTAや当番制の奉仕活動(登校時の旗振りや防犯パトロールなど)も同じ。

建前としては任意参加なのに、実際は絶対参加が前提で、仕事や家庭の事情があっても「断れない」雰囲気がある。部活動もPTAも、もう少し柔軟な運用の仕方があればいいのに……と常日頃、感じていたからです。

部活動は義務ではないので、生徒も教師も本当は『拒否』できる。ところが、保護者や生徒は『進路に影響するかも』と不安になり、教師は『自身の評価に影響するかも』と不安になる。学校側も『従来のやり方を変えたら批判されるかも』と萎縮する。それが強制力という悪循環を生んでいる」と、長沼先生。

三者三様の空気の読み合いが「息苦しさ」を生んでいる現実に、学校という組織が抱える問題の本質がありそうです。

ここでパネルトーク第1部が終了。先生たちの過酷な勤務状況や、事なかれ主義で変わることができない学校組織の内情に衝撃を受けつつ、これまで「先生は夏休みが長くていいなあ〜」なんて思っていた自分を猛烈に反省しました……。

イベント後半の様子は、後編につづきます!

▼後編はこちら
教育の原点を取り戻すためのイベント「超職員会議2016」が問いかけるもの【後編】

著者プロフィール

ライター/親子留学アドバイザー。インタビューを中心に雑誌、Web、書籍等で活躍後、フィリピン・セブ島へ移住。2012〜2015年まで3年間、親子留学を経験。現在はライター業の傍ら、早期英語教育プログラムの開発・研究にも携わる。明治大学サービス創新研究所・客員研究員。

300_250

フォローで最新情報をお届け!

関連記事

新着記事