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年末は習い事の見直し時期!プロが指摘する「間接的な収穫」とは?

年末は習い事の見直し時期!プロが指摘する「間接的な収穫」とは?

子どもの習い事がますます低年齢化してきている昨今、「気がついたら3つも4つもかけもちしていた」「その効果次第では見直しをかけたい」と考えているママもいらっしゃると思います。

この記事では、習い事の効果を測る軸をどこに持つのがおすすめかを、子育て心理学の観点からお伝えしていきます。

日経DUAL記事

最近の習い事事情

ベネッセ教育総合研究所が2015年に行った「第5回 幼児の生活アンケート」によれば、1歳半~6歳11か月の子が習い事をしている割合の平均は、48.6%だったそうです。

年齢別には、1歳後半児が17%、2歳児が25.7%、3歳児が29.8%、4歳児が47.9%、5歳児が71.4%、6歳児が82.7%、と年齢を追うごとに高くなっていきます。1歳から習い事をスタートする子が2割近くいるのは、まさに現代らしい傾向と言えそうです。

また、別のアンケートでは、3人に1人は、2つ以上の習い事をかけもちしていることが分かっています。4つ以上と答えた方も、全体の5%いたのだそうです。

小学校に上がるまでに習い事をする割合は、2人に1人程度ながら、その中に毎日のように習い事をしている子もいる。家庭ごとに、大きくばらつきがあるのが実態です。このデータ、あなたの周りと比べてみて、いかがでしょうか?

習い事をさせたい親の心理とは?

習い事をすでにしている、もしくは、しようと考えている親御さんのお話を伺うと、そこには共通した「習い事をさせたい親の心理」が見えてきます。

まずは、
「うちの子が何に向いているのかを知りたい」
「もしかしてすごい才能を持っているのなら、その引き金を引きたい」

のような、子どもの才能開花への願望。

そして、
「習い事をさせると、何だか安心する」
「これをやらせてるからOK!」

のような、親の安心感の充足。

これらの親の心理を大きく刺激しているのが、メディアなどで紹介されるスーパーキッズの存在です。「〇歳なのに、〇〇ができる!」というスーパー幼稚園生だったり、オリンピックなどでメダルを取った選手の生い立ちだったり…。

どの世界でも、現在、プロとして活躍する方々というのは、幼少期にそのキャリアをスタートさせているケースが多いもの。「ならば、わが子も」と思いたくなるのも当然です。親として、わが子に最大限できることをやってあげたいという親心の表れと言えるでしょう。

習い事の効果、どこで判断する?

しかし、どこまでやらせるのが適切なのか、見極めるのは非常に難しいものです。「習い事の効果ってどこで測ればいいの?」という声もよく伺います。

たしかに、「塾に入った途端、100点を連発!」 このような目に見える効果があれば、「高い月謝でも行かせた甲斐があった」と思えます。しかし実際には、「いいかどうか、よく分からない」というママの方が多いのではないでしょうか?

習い事の判断材料として、「直接的な効果」と「間接的な効果」が挙げられると思います。「直接的」とは、先に挙げた「50点が100点になった」のような、目に見える効果のこと。

一方の「間接的」とは、習い事から得られるプラスαの効果で、その子の行動や性格などに良い影響を与えるものを指します。

英会話教室でたとえると、「ペラペラになる」が直接的な効果、「外国人の前でもひるまない」「海外に興味を持つ」などが間接的な効果になります。親はつい「どれだけ言葉を覚えたか?」で英会話教室の価値を判断してしまいがちですが、筆者は「ひるまないこと」「視野が広がること」の方が大きな収穫だと考えています。

というのも、日々の海外生活で痛感するのは、いくら語彙が多くても、文法をよく知っていても、外国人を前にタジタジになってしまっては、せっかくの語学力が生かせないからです。

「間接的な効果」というのは、習い事を達成する上での土壌の役割を果たします。直接的にとらえるか、間接的にとらえるかは、ご家庭によりさまざまだと思いますが、子育て心理の側面から見れば、幼少時は、間接的な収穫の方を重視して、習い事の効果を測るのがよいのではと考えています

なぜなら、心の急成長期である小学校低学年くらいまでが、その子の度量を育むのに最高の時期だからです。そろばんであれば「集中力が上がった」「じっとしていられるようになった」、音楽系であれば、「協調性が出てきた」など、プラスαの変化に目を向けて、その効果を測るのがおすすめです。

年末に習い事の見直しを!考慮すべき2つのポイントとは?

最後に、忙しいわが子の習い事の見直しをする際に考慮したい2つポイントを挙げたいと思います。

その① お昼寝、夜の就寝ともに、睡眠を妨げるスケジュールになっていないか?
その② 1週間のうちに、子どもが自由に遊べる時間が十分に確保できているか?

睡眠:諸外国の子どもたちと比べ、日本の現代っ子は、著しく睡眠不足だということが分かっています。日本睡眠学会によれば、6歳の子でも10~11時間の睡眠が必要です。もし習い事をかけもちする場合、睡眠を妨げるほどの設定はしないようにしましょう。

遊び:ドイツのある研究で、子どもの頃、のびのびと遊んだ方が将来、大成しやすいというデータがあります。自分の好きなことをして遊び、その後、社会的に成功している人たちは、「自尊心が高い」「目標に向けて臨機応変に動ける」「社会への適応性が高い」という心理傾向が強かったのだそうです。

「月曜から金曜まで習い事でいっぱいいっぱい」という状況は避け、少なくとも週に数回は、その子が自ら選んだ遊びで過ごせる時間を確保してあげましょう。

習い事を削ってできた時間や資金を、思い切って家族旅行やキャンプに当てるというのも、子どもの心の発達を促すいいアイデアだと思います。

春は進級や進学などでバタバタしがち。家族がそろう年末こそ、一度じっくり習い事について話し合ってみてはいかがですか?

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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