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「早いうちから学べば英語が身につく」は本当?【インター幼稚園ママたちの匿名座談会:前編】

「早いうちから学べば英語が身につく」は本当?【インター幼稚園ママたちの匿名座談会:前編】

新年度のバタバタがようやく落ち着いてきた5月。親としては、あらためて我が子の進路について考えるタイミングでもあります。
将来必ず必要になる英語を、いちはやく子どもたちに身につけさせたいと考えるご父兄は少なくありません。

そこで今回は「英語が身につく」と人気のインター・プリスクール(幼稚園)にお子さんを通わせた&通園中の3人のママさんに、フリースタイルでトークしてもらいました。

知られざる早期英語教育の「本当のところ」をお伝えします!

<参加メンバー>

Aさん
東京都在住。アジア出身のご主人と国際結婚。11歳と8歳の女の子、6歳の男の子を持つママ。3人のお子さんたちを英語教育で有名な幼小中高一貫校に通わせた経験アリ。

Bさん
東京都在住。中米出身のご主人と国際結婚し、9歳の男の子、6歳の女の子を持つママ。お兄ちゃんはインターナショナル・プリスクール、娘さんは幼小中高一貫校の付属幼稚園に通園。

Cさん
神奈川県在住。5歳の女の子のママ。娘さんが3歳のとき夫の海外赴任のためアジア某国へ渡航、現地のインターナショナル・プリスクールに2年ほど通園。

日経DUAL記事

スクールによってこんなに違う!? カリキュラムと英語環境

編集部(以下編) まずはお子さんたちのこれまでの学校遍歴について教えて下さい。

Aさん
「我が家は3人とも幼小中高一貫校の私立幼稚園に通っていました。インターナショナルコースがある一条校として有名で、付属の幼稚園も人気が高かったです。
でもうちは小学校以降の進路はバラバラで、長女(11歳)は幼稚園からそのまま初等部に進み、次女(9歳)は初等部に2年通ったあと公立校に転入。長男(6歳)は初等部には行かず、公立校に入学しています。」

Bさん
「うちは小学4年生の息子(9歳)と今年から小学生になった娘(6歳)がいて、今は2人ともAさんのお子さんと同じ一貫校の初等部に通っています。
ただ、幼稚園はそれぞれ違う園に通っていました。長男はオール・イングリッシュのプリスクール、長女は現在通学している小学校の付属幼稚園に通いました。」

Cさん

「我が家の場合は、娘が2歳のときに横浜のプリスクールに通わせはじめました。ところが、その後すぐに夫の海外赴任が決まり、アジアの某国に一家で住むことになったんです。
そのため娘は2歳から4歳まで現地のインターナショナル幼稚園に行きました。帰国した昨年以降は、別のインターナショナル・プリスクールに通っています。」

 なるほど。みなさんがお子さんを通わせていたスクールでは、具体的にどんな教育をしていたんですか?

Aさん
「うちはインタースクールの付属とは言っても、文科省認可のいわゆる「幼稚園」なので、あくまでも基本の教育は日本語。先生方も、幼稚園教諭の免許を持った日本人の方が担任を務めます。
そこに多国籍な先生たちが副担任という形でサポートに入る。なので、母語を大切にしながら、さまざまなアクティビティを通して英語力も伸ばしていく、という印象でした。」

Bさん
「同じ幼稚園に娘が通っていましたが、長男が通っていたインタープリとかなり環境が違ったので当初はビックリしましたね。
長男の通っていたスクールは、先生は全員ネイティブで、園内の公用語は英語オンリー。ちゃんと時間割があって、英語はSpeakingやReading、Writingといった科目でしっかり学びます。Math やScienceを英語で学ぶ時間もあるので、完全に「学校」という印象でしたね。
年長さんが終わるときには、ボディシステムからソーラーシステムまですべて学び終えている状態でした。」

Aさん
「英語力という点だけ見れば、日本語中心のカリキュラムと英語オンリーのカリキュラムでは、やはり圧倒的な差がでますよね。」

Cさん
「娘の通うプリスクールは、どちらかというと日本に住むアメリカ人の子弟向けのスクールという側面が強いですね。なので、先生は全員アメリカ国籍のネイティブ
生徒の国籍比率にも決まりがあって、教室内に特定の国籍者が増えないようコントロールされていました。
カリキュラムには音楽や工作、アートなどのほか、お勉強の時間もあります。Science やMath のプリントも宿題に出ますが、キンダー(年長)クラスでは小学1~2年生並みの内容をすでに学んでいる印象ですね。」

 Cさんのお嬢さんは海外の幼稚園にも通われていましたが、日本の幼稚園とは違いましたか?

Cさん
「とにかく、まずは園が定める英語レベルにキャッチアップするのが大変でしたね。
現地では家族以外との会話はすべて英語でしたし、娘は当時まだ3歳だったので、すぐに日常生活に困らないレベルの英語力は身についたんですが、幼稚園では英語で先生の言っていることを理解したり答えたりするレベルの英語が求められる。
しかも、2週間に一度英語のレベルチェックがあって、そこで8割以上正答できないと次のタームにすら進めないんです。」

Aさん
「めちゃくちゃ厳しいですね……。」

Cさん
「最初のタームはとても厳しくて。母娘で泣きながら英語を勉強して何とかクリアしました。
でも、おかげで「たった1年でこんなに伸びるの!」というぐらい英語力は目覚ましく向上しましたね。」

Bさん
「カリキュラムにも違いがあったんですか?」

Cさん
「日本の幼稚園のように“遊び中心”ではなく、かなりガッツリお勉強していましたね。英語はもちろんのこと、Math や Scienceもしっかり学んでいました。
また中国語にもすごく力を入れていて、語学教育はかなり充実していました。そういうスパルタな雰囲気に慣れていたので、今通っている日本のプリスクールはすごくおおらかだなあ、と感じますね。
英語力の伸びも、やはり海外の幼稚園にいたときの方が大きい印象ですね。」

英語は幼稚園だけでは完結しない。大学までトータルでプランニングすることが大事!

 ところで、みなさんはなぜ普通の園ではなく英語環境の幼稚園を選ばれたのですか?

Bさん
「我が家は主人の母国語が英語なので、子どもたちには『もう一つの母語』として英語をしっかり身につけてほしいと思っていました。それに、英語が話せると人生の選択肢は確実に広がりますよね。
あとは、見た目が『どうみても英語が話せそう』なので(笑)、『ハーフなのに英語がしゃべれない』とバカにされるようなことがあったらかわいそうだという思いもありました。」

Aさん
「それ、わかります。うちも同じです。英語ができる前提で話しかけられることが多いので……。」

Bさん
「名前もカタカナだから、余計にね。そんなわけで、長男のときは家から通いやすくて英語もしっかり身につくプリスクールを選びました。
その後、長男が進学した小学校の付属幼稚園も評判が良かったので、長女はいずれ同じ学校に進ませることを見越して、付属の幼稚園に通わせました。」

Aさん
「うちの場合、主人の母語は英語ではありませんが、私も彼も英語が話せるため、子どもたちには漠然と必須言語として英語を習得させたいと思っていました。
ただ、具体的に進路を決めていたわけではなかったですね。きっかけは、長女が3歳になるタイミングで英語系の幼稚園をいくつか見学に行ったこと。
軽い気持ちで見に行った今の学校を娘が気に入ってしまい、『どうしてもここに通いたい!』と懇願されたのが決め手になりました。」

Cさん
「うちも漠然と『英語を身につけてほしい』という思いはありましたが、動機はかなりユルユルでしたね(笑)。
海外転勤になるまで通っていたプリも、一時保育で利用していた保育園の先生の勧めで見学にいき、『とりあえず続けてみよう』ぐらいの気持ちで通い始めましたから……。
でも、3年の海外生活から帰国後に通い始めた今のプリスクールは、娘が自分で選びました。」

 すごい! たった3歳や4歳で、自分の意志で幼稚園を選んでいることに驚きます。

Aさん
「見学した当時はまだ働いていたので『ここは送り迎えしないといけないから……』と弱気な発言をしたら、娘に『じゃあ、お母さん会社辞めて』とハッキリ言われましたね(笑)」

Cさん
「我が家では、今のスクールに通い始めてしばらく経った頃にまた海外転勤の話が持ち上がったことがあって。
それを知った娘は『パパ、お話があるの』とわざわざ夫を呼び出して、『私は今のスクールが大好きだから最後(卒園)まで通わせてほしい』と直談判していました。」

Bさん
英語環境かどうかだけではなく、子ども自身が通いたいと思えるか、楽しく園で過ごせるか、という点はスクール選びですごく重要なポイントだと思います。」

Aさん
「あとは当然ながら、学費もポイントです。」

Bさん
「子どもの英語教育は、幼稚園だけで完結するものじゃない。
子どもたちの将来のプランを考慮しながら、幼稚園から大学までをトータルに考えてプランを立てるものだと思うので、経済的に継続できる学校を選ぶことが大前提!」

Cさん
「あとは立地とアクセスの良さも大事ですね。
英語系の幼稚園は数が限られているので、バスの送迎サービスが必須のところも多いのですが、だいたい年額15~30万円ぐらいかかります。
ほかにも制服代や寄付金など学費以外の必要経費が予想以上にかかったりするので、そこもしっかり考えて選んだ方がいいと思います。」

 ちなみに、みなさんが選んだスクールの学費はおいくらぐらいだったんですか?

Cさん
「うちは年額で100万円前後ですね。そこにバス代がプラスされる感じです。
けっして安くはないですが、横浜の人気インターなどはふつうに250万円くらいかかりますし、ここのスクールはカリキュラムや立地が素晴らしいので、学費が高いと感じたことはないですね。」

Aさん
「うちの子どもたちが通った付属幼稚園は、一条校(ふつうの幼稚園と同じ扱い)なので、他のインタープリに比べるとすごく学費が安くて驚きました。
ずっと『インターの学費は高い』という思い込みがあったので、見学のときに「学費は月額1万8000円です」と説明されて、思わず『日額ですか!?』と聞き返しちゃいました(笑)。
ちなみに、文科省が認可した学校法人なので自治体からの補助も受けられます。」

Bさん
「個人的な意見ですが、学費はネイティブの先生の数が多く、お勉強をしっかりさせる系のスクールほど高い傾向があると思います。
我が家の場合、長男のプリスクールは年間およそ100万円、長女の通った付属幼稚園は50万円ぐらいだったので、この年間50万円の差が英語力の差になったのかな、という印象です。」

Cさん
「今、英語系の幼稚園ってすごく増えているじゃないですか。でもその内容は『1日1時間だけ英語のアクティビティがある』程度から『先生は全員ネイティブ、しっかり英語で勉強する』レベルまで幅広い。
学費と自分が求める教育内容のバランスをしっかり見極めることが大事だと思います。」

 でも、親自身に英語力がないと、カリキュラムや先生の質を見極めるのは難しいですよね? 英語の話せない親でも、いいスクールを見つける秘訣はありますか?

Aさん
英語に堪能な人に同行してもらう。そのスクールが提供している英語環境が良いか悪いか、ジャッジできる人の意見を参考にするといいですよ。」

Bさん
「あとは、口コミですね。ネット上の情報には、悪いトピックは出にくいし、提灯コメントも多いので、実際にその学校に通っている人に話を聞く。」

Aさん
「できれば、一人じゃなくて複数の人に話を聞くとベストですね。」

Cさん
「やっぱり自分の足で動いて情報を得ることが大事ですよね。私も学校選びのときは、10校以上見学や体験入学をしました。
実際の立地や環境、校内の雰囲気は、実際に行って見比べてみないとわからないですし。」

Bさん
オーナーや園長さんの教育方針も大事
オーナーの理念は、スクールの運営にものすごく大きく影響するので、必ずチェックするべきだと思います。」

 

ふだんあまり耳にすることのないインター幼稚園の「本当のところ」。いかがでしたか? やはり実際にインター幼稚園を経験したママたちの「生の声」は、すごくインパクトがあります。

この後、インターを選んだあとの進路について、ママたちのトークはますますヒートアップ! 怒濤の後編につづきます!

▼後編はこちら
【インター幼稚園ママたちの匿名座談会:後編】日本の受験システムから脱落する!?意外と知らないインタースクールの落とし穴

▼幼稚園・小学校受験のご相談は「伸芽会」へ
http://www.shingakai.co.jp/

著者プロフィール

ライター/親子留学アドバイザー。インタビューを中心に雑誌、Web、書籍等で活躍後、フィリピン・セブ島へ移住。2012〜2015年まで3年間、親子留学を経験。現在はライター業の傍ら、早期英語教育プログラムの開発・研究にも携わる。明治大学サービス創新研究所・客員研究員。

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