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プロ直伝!今どき親子が知っておきたい和のマナー&礼儀作法

プロ直伝!今どき親子が知っておきたい和のマナー&礼儀作法

食事のマナーや立ち居ふるまいなど、日常の生活の中で実は意外と知らないマナーや礼儀作法は多いもの。

そこで先日開催されたmaveセミナー「親子で学べるマナー・礼儀作法」より、装道礼法きもの学院・礼法講師である矢頭千秋先生にお話をお聞きしました。日常生活のマナーはもちろん、受験の面接でも役立つこと間違いなしです!

矢頭千秋先生
矢頭千秋先生
装道礼法きもの学院・礼法講師として、学院の生徒さんたちへの指導はもちろん、中学校などで子どもたちへ礼儀作法やマナーを教える講義なども行っている。
装道礼法きもの学院
日経DUAL記事

着物には礼儀作法のルーツがたくさんあるんです!

着物を着るとなんだか背筋がピンと伸びる、そんな経験をしたことはありませんか? 日本ならではの装い「着物」には、日本の四季・花鳥風月が表現されていることはもちろん、礼儀作法のルーツになった言葉がたくさんあるんです。

「衿を正す」「折り目正しい」「つつましい」「躾をする」など…。着物は親子3代受け継ぐことができるエコな衣服と言われています。

最近では、将来海外に出たときのために自国の文化を学びたいと、着物を着る若者も増えています。親御さんは、七五三や入学式など限られた場面でしか着物を着る機会は少ないかもしれませんが、親が美しく着物を装う姿は、きっと子どもの心にも響くものがあるはずです。

してはいけない「箸使い」を子どもにいくつ教えられますか?

着物同様日本の食文化のひとつ、箸。挟む、つまむ、ほぐすなどさまざまな用途がありますが、してはいけない「箸使い」を正しく理解していますか?

食事中に同席した人、周囲の人に不快な気持ちや不潔な感じを与えるような箸使いを「嫌い箸(きらいばし)」と呼び、昔から忌み嫌う箸使いとされてきました。これを含め、してはいけない箸使いとして、主に次のような箸使いがあげられます。

【してはいけない箸使いの例】

迷い箸:どれにしようか迷ってふらふらお箸を動かすこと
探り箸:下の方から好きなものを選び出すなど、お箸で汁ものをかきまぜ中身を探ること
渡し箸:食事の途中でお箸を食器におくこと
刺し箸:お箸の先に突き刺して食べること
空箸:お箸でとった食べ物を食べずに戻すこと
涙箸:食事の汁をたらしながら食べること
移り箸:一度とろうとしたものをやめて他の食べ物にすること
受け箸:お箸を持ちながらおかわりすること

などなど……。中にはピンと来ないものもあるのではないでしょうか?

お箸は一生使うもの。大人になってから恥ずかしい想いをする前に、小さい頃から親子できちんと理解しておきましょう!

正しい姿勢と4つのお辞儀をマスターしよう!

皆さんは正しい椅子の起ち方と座り方を意識したことはありますか?

姿勢が前後に揺れずに静かに立ったり座ったりすることが美しいとされていますがやってみるとなかなか難しいものです。今回はコツをお教えしましょう。

<椅子の起ち方(立ち方)>

椅子に座った状態で左右どちらかの足を少し後ろに退いてから、静かにまっすぐ垂直に身体を押し上げるように起つ

×状態を前に倒さないなど、軸がぶれないよう

<椅子の座り方>

片足を椅子の位置まで退き、膝の裏で椅子の位置を感じてから垂直に座る。

×後ろを振り返ったりしない

<立ち姿>

膝の裏を伸ばし、両足の膝の内側を付け、丹田(おへその下)に力を入れる。両足を揃えて立ち、重心の位置は土踏まずと指のつけ根の中間くらいに置く。

×左右片方に体重をかける、脚を組む

さらに、お辞儀にも装道礼法では4つの種類があります。きちんと使い分けができていますか。

1. 会釈礼(15度):入室の際や椅子にかける前後など、軽い挨拶
2. 敬愛礼(45度):同格の方との挨拶
3. 尊敬礼(75度):あらたまった場面での挨拶の他、目上の方、丁寧に接すべきお相手など
4. 最敬礼(90度):神社などでの拝礼や国家元首などに対する拝礼
※接客業で、尊敬礼を60度として社員教育をされている企業様もありますし、それぞれ微妙に異なることはもちろんあるでしょうが、大切なのは形式だけではない心がこもった挨拶ができているかです。

ママが知っておきたい人と差がつく礼儀作法!

全てを極めようとするととても細かく膨大な知識や作法を学ばなければいけない礼儀作法。ここでは、知っていると差がつく大人のマナーを3つ、お聞きしました。

1.挨拶ことばとお辞儀を一緒にしない!

改まった場や目上の人とのご挨拶では、例えば「こんにちは。よろしくお願いいたします」と相手の目をみて挨拶言葉を述べ終えてからお辞儀をすると、言葉が相手に伝わりとても丁寧な印象に見えます。

簡単と思いがちですが、案外言葉を述べながらお辞儀をしていたりするものです。

2.懐石料理の和食器は持てる器は持つ!

懐石料理の作法には、和食をいただく際の重要なポイントがたくさん含まれています。

「片手でお箸を正しく持ち、もう片方の手で、指を揃えて器を持つ、または片手を必ず添える。そして箸使いに気を付けて、感謝の気持ちを込め頂戴する」は、ご家庭内で和食をいただくときの基本となります。

また、例えばフランス料理をいただく際にも、あらゆるマナーに気を配る必要があります。ナイフ・フォーク・ナプキンなどの使い方はじめ、席につく前から席をたつまで、気をつけたいことがたくさんあります。

和食と大きく異なることとしては「基本的にお皿を動かさずに食べる」ということがあげられます。もちろん、料理の内容・場所ほか、さまざまな条件により異なりますが…。

3.家族で実践したい!マナーの「あいうえお」

マナーの基本としてお教室でお伝えしている「あいうえお」があります。ぜひご家庭でも実践してみてください!

あ:挨拶上手で
い:いつもほめ上手
う:うなずいて聞き上手、返事も上手
え:笑顔上手で
お:お礼とお詫びも上手

※装道創始者 山中典士語録より

小学校低学年までに身につけたい立ち居ふるまいとは

近頃は、子どもたちのマナーにも気になる部分が増えてきました。姿勢の悪さもそのひとつですが、電車やバスの中などでの立ち姿・椅子にかけている姿など、やはり気になります。

背筋を伸ばす、足を組まない、両足を揃えて座るなど、指導しましょう。

また、学習中に猫背だったり肘をついていたり、ノートが斜めに置かれていたり…。姿勢の崩れは見た目が悪いだけではなく、集中力が切れたり、体調を壊す原因にもなると言われています。

また、「おりこうね」、「お行儀がいいね」と言ってもらえるのは小学校低学年までと言われています。つまりこの時点までにこれらのマナーを日常生活の中でできるようにするのがベスト。もちろん親も見られています。立ち居ふるまいとは動作や言葉遣い、身だしなみ、場面に応じた佇まいを表します

子どもは親の背中を見て育ちます。自分自身もマナーを意識するとともに、「子どもだからまだ分からない」などと思わずに、日々の家庭生活の中で小さいうちから親子で素敵な立ち居ふるまいの習得を目指しましょう。昔から「三つ子の魂百まで」と言います。幼い頃に身につけたものは、良きにつけ悪しきにつけ、その子どもの一生を左右するのですから……。

いかがでしたか? 立ち方や座り方など改めて意識しないと美しい姿勢は作れないもの。

正しい礼儀作法は知っているだけで行動に余裕が生まれる、という言葉が印象的でした。小さいうちからこういった立ち居ふるまいを身につける大事さを痛感しました。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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