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元教員のママが語る!だから私は我が子を公立小には通わせたくない【前編】公立小学校のここが問題!

元教員のママが語る!だから私は我が子を公立小には通わせたくない【前編】公立小学校のここが問題!

6歳からはじまる義務教育。公立小に通う場合、居住地の学区ごとに通う学校が定められているため、基本的に親が選ぶことはできません。それだけに、公立小学校の実態は気になるもの。

インターネットで「公立小学校」と検索すると、「公立小で大丈夫?」「私立小に通わせた方がいい?」…などなど、親たちの不安の声が数多くヒットします。
そこで今回は、小学校に勤務経験のある元教員のママに「知られざる小学校運営」について、お話を伺いました!

Aさん(元・小学校教諭)
大学を卒業後、数年の非常勤講師を経て、関東圏の小学校に教員として採用される。担任として小学校低学年のクラスを中心に指導。数年間勤務した後、結婚と引越しを機に退職。現在は専業主婦になり、1歳と5歳の2人のお子さんを育てるママ。

数年前と何も変わっていない今の公立小学校の実態…

正直言って、自分の子どもを公立小に入れたいとは思えない状況ですね…。じつは我が家は来年から長女が小学校に入学するので、近所の複数の公立小を見学に行ってみたのですが、驚きました。私が退職した数年前から、状況がほとんど変わっていなかったんです。

先生は相変わらず教科書に沿った授業を淡々と進めていて、今話題の「アクティブ・ラーニング」(体験学習やグループ学習といった能動的学習のこと)の要素は一切ナシ。子どもたちが退屈していてもお構いなしで、プリントをやらせて、答え合わせをしてハイおしまい、という感じでした。

「今は公立小もだいぶ変わっただろう」という淡い期待を持って行っただけに、とてもショックでした。

学級担任制のメリットとデメリットとは?

小学校は、みなさんも知ってのとおり「学級担任制」です。基本的に担任がすべての科目を1人で教えます。

学級担任制は、担任の裁量で柔軟な指導ができるというメリットがあります。例えば、意欲的な先生だと、授業のたびにオリジナルの教材やワークシートを用意するなど工夫しています。また、学校ごとにたいてい力を入れている行事(運動会や合唱コンクールなど)があるので、そういう行事が近づくと授業時間をその練習に充てることもよくあります。

ただ、柔軟な指導ができるということは、同時にデメリットでもあるんです。例えば、冬になると体育の授業でやたらとドッジボールや持久走、なわとびが多かった記憶がありませんか? その理由は、先生がラクだからです。跳び箱とかマット運動とか、指導する方も大変じゃないですか(笑)。つまり、担任のヤル気次第で、学びの質にも差が出てしまうんです。

授業は、基本的には文科省の定める学習指導要領に沿って進められるものの、学校全体の方針や先生の意欲・指導力によって、その内容にはかなりバラツキがある、ということです。

授業以外にはどんな業務があるんですか?

給食やホームルーム、全科目の授業の準備やテストの採点、学級会や運動会の準備、PTA活動、教員会議など、さまざまな仕事があります。これを授業時間以外ですべてこなさなければならないので、その負担は相当ハードです。

さらに、最近ではいじめの原因になりやすい「あだ名の禁止」、男女差別にならないよう「全員“さん”付けの徹底」、これまた差別になるという理由で「運動会の徒競走禁止」など、一見すると「やりすぎでは?」というような細かいルールが増える傾向にあります。
父兄に対しても「運動会の場所取り禁止」「校内で撮影した写真のSNS掲載禁止」など、細かい決まりがたくさんあります。こういうお知らせはいちいちプリントにしないといけないので、さらに時間が取られます。
※ ルールの内容は学校によって異なります。

つまり、本来教師がやらなければならない「勉強の指導」に割くべき時間と労力が、こういう雑務に取られてしまっているんです。これは公立小全般にあてはまる大きな問題だと思います。

授業についていけない子や発達障がい児、受験希望児が同じクラスになることも

公教育を実施する場所なので、「誰でも公平に受け入れる」のが公立校の基本姿勢です。そのため、公立小に通う子どもたちは、勉強の得意・不得意から家庭の経済事情まで(ときには言語や宗教まで)、本当にさまざまです。もちろん、その中には発達障がいをはじめとするさまざまな障がいを持つお子さんもいます。

そんなクラスを、すべての子どもたちにフィットする形で運営していくのは、ぶっちゃけ至難のワザです。

例えば、中学受験を目指していて、すでに3~4学年上の学習レベルに達してしまっている子もいますし、一方では何度教えても2桁の足し算ができない子もいる。ただ、担任が1人ですべての授業を担当している以上、どうしても勉強がわからない子の指導に時間を割きがちになる。

結果的に、その他の子どもたちに十分対応できず、クラス運営に支障がでてしまうこともしばしばです。ただ、これは構造上の問題なので、先生の指導力以前の問題。どうしようもありません。

実際にクラス運営で苦労したことはありましたか?

私が過去に受け持ったクラスに、発達障がい(ADHD)を持つ生徒がいました。彼はとにかくイスに座っていられず、気付くと脱走していなくなってしまうんです。放っておくわけには行かないので、いつも学校中を捜索していましたね。

そのため、授業の進め方には相当悩みました。当時はまだ教師になって2年目。ただでさえ経験が浅いのに、学習の遅れが目立つ子や発達障がいを持つ子どものケアをしながら、通常の授業をしっかり回すことはかなり困難でした。彼らの指導に授業時間のほとんどを費やすため、他の子どもたちにはプリントをやっていてもらうしかありません。全員にしっかりと向き合えないジレンマがいつもありましたね。

学校に支援要員をつけてもらうよう、何度もお願いしましたが、予算の都合などもあり、希望通りには配置してもらえません。私の場合、週に2〜3時間程度、副校長や非番の先生がサポートに入ってくれましたが、十分な態勢ではありませんでした。

「誰でも公平に受け入れる」という公立校の理念は重々承知ですが、現場の実情とは大きなギャップがあります。結局は、障がいや問題を抱える児童も含め、多くの児童や父兄、そして職員たちに負担がかかる結果になりかねません。もちろんすべての公立小学校がそうではありませんが、その可能性は常にある、ということは言えると思います。

 

いかがでしたか? 前編では、公教育の現場を知っているからこそ感じる「公立小への不安」や「不満」について、Aさんに率直にシェアしていただきました。

後編では、公立小の「変わるべきポイント」や「重点校」の存在について伺っていきます。お楽しみに!

▼後編はこちら
元教員のママが語る!だから私は我が子を公立小には通わせたくない【後編】公立小学校が変わるために今必要なこと

著者プロフィール

ライター/親子留学アドバイザー。インタビューを中心に雑誌、Web、書籍等で活躍後、フィリピン・セブ島へ移住。2012〜2015年まで3年間、親子留学を経験。現在はライター業の傍ら、早期英語教育プログラムの開発・研究にも携わる。明治大学サービス創新研究所・客員研究員。

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