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元教員のママが語る!だから私は我が子を公立小には通わせたくない【後編】公立小学校が変わるために今必要なこと

元教員のママが語る!だから私は我が子を公立小には通わせたくない【後編】公立小学校が変わるために今必要なこと

前編では、先生のリアルな業務とともに公立小学校の実態を見てきました。後編では「今後、公立小学校が変わるために必要なこと」についてお話を伺っていきます。

▼前編はこちら
元教員のママが語る!だから私は我が子を公立小には通わせたくない【前編】公立小学校のここが問題!

日経DUAL記事

公立小学校には教育内容以前に「本質的な問題」が山積み!

公立校の問題は、組織としてのバランスが悪いという点ですね。
例えば、年齢構成。今の公立小の先生たちは、90年代以降の就職氷河期のあおりで30~40代の中堅層が少なく、50代と20代が多いんです。50代の先生たちは、部下を指導した経験が少ない上、20代とは価値観が離れすぎています。
結果、若い先生と年配の先生がバラバラな方針でクラスを運営しているケースも少なくありません。

また、教師経験しかない偏った経験値の人たちだけで組織を運営しているという点も問題でしょう。授業内容をはじめとする教師としての評価を行うのは、基本的に校長です。つまり、校長を頂点にした超トップダウン経営の中小企業みたいな感じですね。

一方、教師のキャリアアップは、ほぼ一本道です。一般の「教諭」からスタートして「指導教諭・主幹教諭」「副校長・教頭」を経て「校長」になる、というのが理想的なコースです。一般企業のような外部とのかかわりもさほどない中、このコースから外れないように生きていくには、職場で必要以上に目立たないことが重要になってきます。

業務の効率化や先進的な授業の導入を提案したりすれば、変化を嫌う50オーバーの職員から反感を買うリスクがあります。そういう組織の中で日々過ごしていると、若くて熱意のある人たちも「なるべく波風を立てず、平穏無事にやり過ごす」作法が身についてしまうんですね。もちろん、私自身のように、そういう環境に耐えられず退職してしまうケースも非常に多いです。

教育現場のこうした実情が変わらない以上、子どもたちの個性を伸ばすような教育はとても期待できません。だから私は、自分の娘を公立小学校に入れたいと思えないんです。

公立小学校は、どのように変わるべきだと思いますか?

まずは「飛び級」や「縦割り教育」を認めてほしいですね。私は小学校教師時代、子どもの「個性」というものが、性格から学習面に至るまで、じつに幅広いということを学びました。そういう子どもたちを、単純に学年で「横割り」にするのではなく、学習の習熟度レベルに合わせた、一種の「縦割り教育」を実施できたらいいな、と思います。

例えば、英会話スクールのレッスンでも「初級」「中級」「上級」と英語力のレベルに合わせてグループを分けますよね? このように、本来学習には適切なレベルに合った指導が重要です。1年生でも習熟度が3年生と同じなら3年生の授業が受けられる、というような仕組みがあればベストですね。

「できること」や「理解していること」によって受けられる内容が選べれば、教師も生徒もストレスなく学習にのぞむことができるはずです。なかなか現実には難しいと思いますが……。

一方、先ほども言ったように、公立校は学校によって教育内容が大きく異なります。じつは公立校には「重点校」といって、英語や体育、先進教育のモデル校として特別な取り組みを実施している学校もあるんです。

例えば、最近問題になっている「中1ギャップ」(多感な時期に新しい環境に移行することで生徒に問題行動が表れること)解消のため小中一貫教育を取り入れた学校や、グローバル化に備えた英語教育の重点校として、多数のネイティブ講師を常駐させている小学校などがあります。その教育内容の充実ぶりは、もはや「公立であって公立でない」レベルです。

私自身、娘の進学先として重点校という選択肢も視野に入れています。もちろん、公立校は自由に選ぶことはできないので、重点校に通わせるなら引越ししなければなりませんが……。
国にはもっと教育に予算を割いて、誰もがアクセスできるようにもっと重点校をどんどん増やしてほしいですね。

 

いかがでしたか? 6~12歳という期間は、人格形成や生涯にわたる学習態度に大きな影響を与える時期といわれています。

子どもたちの個性を伸ばし、充実した人生を歩めるように導くことも義務教育の大きな役割。そう考えると、今の小学校は授業内容だけでなく、組織のあり方にも改革が必要だな……と率直に思いました。一日も早く、日本の公教育が変わってくれることを期待しています!

子育てに迷ったらこんな本もあります。
「9歳までに男の子の育て方」伸芽会教育研究所 飯田道郎(世界文化社)
子どもを伸ばす家庭教育「5つの力」伸芽会教育研究所 佐藤眞理(講談社)

著者プロフィール

ライター/親子留学アドバイザー。インタビューを中心に雑誌、Web、書籍等で活躍後、フィリピン・セブ島へ移住。2012〜2015年まで3年間、親子留学を経験。現在はライター業の傍ら、早期英語教育プログラムの開発・研究にも携わる。明治大学サービス創新研究所・客員研究員。

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