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子育て

【専門医監修】急増する小学生の脱毛について知っておきたいこと

【専門医監修】急増する小学生の脱毛について知っておきたいこと

最近広告などでも「キッズ脱毛」などという言葉を目にする機会が増えました。
毛深いことで友達にいじめられたり、水着になるのを嫌がるなどの悩みを持つわが子に対し、親御さんが「なんとかしてあげたい」と脱毛を検討している人が増えているようです。
そこで、神楽坂肌と爪のクリニックの野田院長に、キッズ脱毛の注意点や親として知っておきたいことをお聞きしました。


「神楽坂 肌と爪のクリニック」野田弘二郎院長
医師、医学博士、日本形成外科学会専門医。昭和大学形成外科入局後、千葉医大学形成外科、聖マリア病院などを経て、パリ大学留学。その間、国内とフランスの有名美容クリックで研修、勤務。2009年に「神楽坂肌と爪のクリニック」開設。さまざまな肌や爪のトラブルから脱毛まで行っている(皮膚科、形成外科、腫瘍皮膚科、美容外科、美容皮膚科)。4児の父。https://www.hadatotsume.com/sopranoice/

 

小学生の脱毛が増えている理由

__先生のクリニックでも、小学生で脱毛を希望する方は増えていますか? それはどんな理由でしょうか?

以前は当院でもお子さんの脱毛は高校生以上としていました。小中学生の脱毛を行っていなかった理由としては、当時当院で使用した従来型のレーザー脱毛機ではちくちくする痛みがあるので、小さな子では施術が難しかったということがあります。ところが数年前に「蓄熱式レーザー」という新世代の脱毛レーザーが登場しました。痛みが飛躍的に軽減され、施術時間も短くなったことで、中学生以下のお子さんでも施術が受けられやすい環境が整ってきました。

当院では、10歳(35㎏)以上の女児という条件にしていますが、小学生の利用者は増えていますね(「蓄熱式レーザー」はお子さんはもちろん男性のひげのように従来痛みが問題になりやすかった部分にも効果的です)。

カウンセリングをさせていただいて感じるのは、腕や足、顔の毛の濃さに悩んでいるお子さんはもちろんですが、親御さんが子どもの頃に毛のことで思い悩んだ経験があるため、「娘には同じ思いをさせたくない」と脱毛を積極的にすすめる親御さんが多い印象です。お子さんが気にし始めたら、あるいは気にし始める前に解決してあげたいというお母さん側のニーズと、機器の進化とがあいまって脱毛の低年齢化が進んでいるだと思います。お姉ちゃんに続いて妹さんもという方、あるいはお母さん同士の情報交換の中からクチコミでお友達をご紹介いただくというケースも増え、当院では脱毛患者さんの1/4が15才未満となっています。

光を使った脱毛には3種類ある!脱毛サロンとクリニックの違い

__電車の広告などでもよく見る脱毛サロンとクリニックでの脱毛では、どんな違いがあるのでしょうか?

良い質問です。誤解されてらっしゃる方も多いのですが、そもそも、毛の元を破壊する永久脱毛は医療行為なので、脱毛サロンではレーザーによる永久脱毛は行えません。医療法によりレーザー脱毛機を導入・施術できるのは医療機関に限られます。つまり脱毛サロンとクリニックでは使う機械の種類が全く異なるのです。

光を使った脱毛には大きくわけて「フラッシュランプ」と「レーザー」の2種類があります。更に最近では第3の選択肢して先ほどお話しした「蓄熱式レーザー脱毛」があり、それぞれ特徴が異なります。

その1 フラッシュランプ(光脱毛)

一般的に脱毛サロンで行われている施術。キセノンランプという広い波長の光を発する機械を使います。カメラのストロボのようなものです。レーザーと比べてパワーが弱いため、抜けにくい代わりに痛みが少ないという特徴があります。レーザーよりも抜けにくい分数十回通う必要がります。また「永久脱毛」ではありません。レーザーと比べて安価な機器であり、施術に医師や看護師といった資格が必要ないので費用が安いのも特徴です。

なお、フラッシュランプ自体は安全性が高く医療機関でも顔のくすみやソバカスの治療器として広く普及しています。ただし脱毛機としては効果が低いため医療機関では脱毛用途で用いられることはありません。

その2 レーザー脱毛(従来型)

医療機関で施術。毛に集中的にパワーが集まる特定波長のレーザー光を発する機械を使います。パワーがありフラッシュランプよりやや強い痛みがあるかわりに脱毛効果が高いため、通う回数も少なく効率よく脱毛できるのが特徴です。またFDA(アメリカ食品医薬品局)の「永久脱毛」基準を満たしています。複雑な医療機器であり、安全性確保のため厳しい基準があるため導入費用が高く、施術は医師または看護師に限られるためフラッシュランプより施術費用が高いのが難点です。30年以上の長い実績のある方法で脱毛効果は高いですが、痛みが問題となり、機種にもよりますがお子さんの脱毛は簡単ではないかも知れません。

その3 蓄熱式レーザー脱毛(新世代)

医療機関で施術。レーザー光を使いますが1ショットあたりの出力を絞る代わりにショット数を増やして照射する新世代のレーザー脱毛機。従来型のレーザーより痛みが飛躍的に少なく、施術時間がいのに効果が高いため従来難しかったお子さんへの施術ができるようになりました。機器は高額ですが治療時間が短いため施術費用は従来型レーザーと当程度というのも大きなメリットです。FDA(アメリカ食品医薬品局)の「永久脱毛」基準を満たしています。また出力が低いため、痛みが少ないだけでなく熱傷のリスクがほとんどないので安心です。

子どもの脱毛は何歳から可能?ベストな季節はいつ?

__成長期の小学生が脱毛をして身体に影響はないのでしょうか?

「いつかやりたい」のであれば、身体が完成する16~17歳以降がよりいいとは思います。ただし、キッズ脱毛のニーズは「今この悩みを解消したい!」というのが目的ですから、先延ばしにすれば解決するというものではありません。

学校の中でのいじめや、多感な時期のわが子の悩みを取り除いて楽しく過ごさせてあげたい。そんな親御さんの思いに応えるために私たちはキッズ脱毛を行っています。

始める年齢はクリニックによって異なりますが、おおむね10歳くらい~が多いと思います。初潮の年齢は気にする必要ありません。施術時間も両脇で10〜15分程度ですので学校帰りでも通院できます。施術後に保湿をしたり紫外線対策をすれば通常通りの生活が行えます。

__始める時期はいつがいいの?

大人も子どもも、脱毛の施術後は一時的に紫外線に過敏になっていますから、施術後半年くらいはできるだけ長袖長ズボンを着てくださいとお話しています。もちろん日焼け止めを使うなど通常の紫外線対策をしっかりとしていれば、半そで半ズボンやプールがダメというわけではありません。もし季節を選ぶとすれば夏よりも冬の方が紫外線の心配は少ないと思います。

何回くらい通えばキレイになるか

__子どもの場合、何回くらい通えばキレイになりますか?

回数は大人も子ども変わりはありません。通常のレーザーや蓄熱式の場合、5~8回くらいでキレイになります。5回でもかなりキレイになりますが、顔周りなど効きの悪い場所を除けば8回すればほとんどなくなります。

光を使った脱毛は濃くて太い毛に良く反応するので、脇やVラインは効率よく抜けるのですが口周りなどの薄い毛は回数が多めになるのです。

通うペースとしては、大人と同様、毛の生え変わる周期を考慮して1~2ヵ月に1回で大丈夫です。

体毛は常に一定の毛の量を保つため、すべての毛穴から同時に生えてくるわけではなく、働いている毛穴と休んでる(毛が入っていない)毛穴とがランダムに混在しています。全ての毛穴にもまんべんなくレーザーを照射するには1〜2ヵ月の時間差をもって5~8回照射する必要があるのです。通院に期間は脇だと半年くらいとなります。

ただし、子ども脱毛は成長とともに毛の生える範囲も変わってきます。額の産毛は減りますし、脇の毛や手足の毛の範囲は年齢と共に広くなることがあります。そのため、成人後にそうした部分が気になる場合は部分的に脱毛を追加するケースもあります。

わが子の脱毛を始める前に知っておきたいこと

__毛の濃さや薄さは遺伝しますか?

男性のひげや頭の毛は遺伝すると言われていますが、女性でも毛の太さや色、生える範囲などの遺伝パターンはあると思います。
娘さんであれば同性であるお母さんの毛の生え方が遺伝する可能性が高いでしょう。

__脱毛が向いていない体質の子はいますか?

基本的に健康なお子さんであれば問題ありません。よく聞かれるアトピーの方に関しては、蓄熱式脱毛はむしろ症状を軽減させるとも言われており、日本脱毛学会でも議論されています(現段階では論文レベルであり、アトピー治療として積極的に用いられているわけではありません)。当院の患者さんでも、実際に症状が軽減しているケースもありますし、アトピーで脱毛ができないことはありません。

ただし、光過敏症(日光を浴びるとすぐ皮膚が赤くなったり水泡ができてしまう病気)や悪性腫瘍などの持病がある方はレーザー脱毛ができないとされていますので、気になる方はかかりつけ医などにご確認ください。

脱毛サロンやクリニックを選ぶポイント

__脱毛サロンやクリニックを選ぶ際のポイントはありますか?

今はインターネットでも多くの情報が得られるので、事前に良く調べてから来院される方が多いですが、それらがすべての医療機関に当てはまるとは限らないので、施術前の医師の診察では合併症や施術する機械、料金などもきちんと聞いてください。医療機関であってもさまざまなので例えばブログの雰囲気などから判断するは危険です。相談だけでも3000円程度の初診料がかかることが多いのですが、複数の医療機関で相談して決めることをおすすめします。また、たとえ無料カウンセリングであってもはじめに医師の資格のないカウンセラーやセールスレディーが対応するところはお勧め出来ません。そうしたところでは本来望んでいなかった施術範囲や回数券など支払い方法で不利な契約にならないか充分注意して下さい。また付き添いなしの通院中に不利な契約を締結されてしまうこともあるかも知れません。追加契約とお支払いも必ずお母さん自身で行って下さい。

毎回の付き添いも難しいでしょうから、お子様お一人での通院を考えて医療機関へのアクセスのしやすさやその周辺環境の安全性、健全性も重要なポイントです。さらに、年頃の女の子ですから、どういった雰囲気の施設でどんな人が施術をやるのかもぜひ聞いて、できれば実際に施術する部屋をお子さんと見て決めるといいでしょう。当院では、問診や施術内容は男性または女性医師が説明しますが、実際の施術はベテランの女性看護師だけが行います。デリケートな部分でもあるので、身体に触れたり施術するのは女性の方が安心だと思います。

子どもの顔の産毛や手足の毛を家庭で処理する際の注意点

__子どもの顔の産毛や手足の毛、腋毛を家庭でケアする場合、どんなことに注意すればいいでしょうか?

「うちの子はまだまだ子どもだから大丈夫」なんて思っていても、ある日、勝手にかみそりで体毛をそって傷だらけになって慌ててクリニックにかけんだというケースもあります。

ですから、小学校3~4年生くらいになったら、ぜひ母娘でムダ毛の処理が必要になってくることについて話をしてみてください。今はまだ気にならなくても「もし気になるようになったら、勝手に自分でやらないこと」「正しく処理をすれば心配ないこと」「将来的にどうしても気になる場合は脱毛という選択肢があること」など、なんとなくでも知識があるとないとではその後の行動が全然違ってきます。

手軽なのは専用のカミソリです。ただしお子さんに刃物を扱うのはまだ難しく、深い傷は跡が残ってしまう場合もあり危険です。剃毛はお母さんがするというルールにしましょう。

他にもかぶれないかチェックしてからであれば脱毛クリームという選択肢もあります。

毛抜きで抜くのは、中途半端に抜けてしまうと毛穴の中に埋没毛となり、赤くなったり膿をもつ合併症の危険もありますからおすすめしません。脱毛テープもトラブルが多いのでお子さんにはおすすめしません。

いかがでしたか。お話を伺った「神楽坂肌と爪のクリニック」では、20%オフの「子ども割」や親御さんのご要望から「親子セット割」というプランもあるそう。ママ世代は「家の雰囲気的に脱毛をさせてもらえなかった」「昔脱毛サロンでやったものの中途半端で終わってしまった」など改めて脱毛を希望するお母さんが多いそう。

性教育もそうですが、今の時代、体毛やムダ毛ケアのことも早めに子どもに話しておく必要があるなと改めて感じました。時期が来たら子どもと一緒に脱毛しに行くのもありかもしれませんね。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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