公開 / 更新
子育て

幼児期こそ学びのチャンス!誰にも聞けない、幼児の性教育のこと 

幼児期こそ学びのチャンス!誰にも聞けない、幼児の性教育のこと 

4、5歳ともなると、子どもは男女の身体の違いに気づき「どうして?」「なんで?」ばかり。親は「まだ早い」とフタをしがちですが、今の時代、知らぬ間に子どもが動画を見たりして間違った情報を得てしまうことも…。もちろん、男の子だから安心ということもありません(むしろその逆!)。「ママ友に相談するのはハードルが高い」「変なイメージがつかないうちに教えていきたい」という声にお応えすべく、今回は神奈川県でママと赤ちゃんのサロン「SUNFLOWER助産院」を営みながら、ママに向けた子どもの性教育講座を行う在川有美子さんなどにお話を聞いてきました。在川さんがおすすめする、性に関する絵本も必見です!

zaikawa01

在川有美子さん

助産師。4児の母。産院での勤務後、自身の出産を経て2014年に神奈川県相模原市でママと赤ちゃんのサロン「SUNFLOWER助産院」を開業。マタニティヨガ、ベビーマッサージ、母乳相談ほか、2年前から始めた親向けの性教育講座が大人気。メディア出演や講演なども行っている。講座はブログをチェック!

https://ameblo.jp/sunflower-for-mombaby/
https://ameblo.jp/sunflower-for-mombaby/

幼児の性教育がかなり遅れている日本の現状

お察しの通り、日本の学校で習う性教育はとても遅れています。日本ならではの文化や風習、さらに文科省のガイドライン小中学校においては文科省の定める学習要領で、妊娠の過程(=性交)については取り扱わないことと明記されているためです。過剰に刺激しないという考え方と言えます。

一方、先進国では幼児の性教育がとても熱心で、オランダでは、2012年より、4歳の初等教育から性教育(性の多様性、性的マイノリティの受容に関する教育)が義務付けられており、小学校の授業でコンドームの付け方の実習があるそう! 実際、オランダでは10代の中絶率が先進国の中で最も低いという結果が出ています。

つまり、今の日本では、学校でできる性教育には限りがあること。恥ずかしいという気持ちが芽生える思春期に教えるよりも、ピュアでストレートな幼児期のうちに性について親から伝えていくことは、お互いにハードルが低く話しやすいということです。子どもに必要な自分を守るための知識として、「まだ早い」ではなく、幼いうちから家庭でおこなう、知識の予防接種だととらえていただきたいと思います。

男女の体の「なんで?どうして?」が幼児の性教育を始めるサイン

日本では、性に関することを人に聞いたり話題にするのが恥ずかしいと言う文化がありますよね。だから、ママたちも子どもが下ネタを言いだすと「辞めなさい、恥ずかしい」と。でも、子どもは「なんで空が青いの?」と同じように「なんでパパにはおっぱいがないの?」「赤ちゃんはどこから出てくるの?」と聞いただけなんです。それなのに、ママが怖い顔をして「そんなこと言っちゃいけません。誰から聞いたの?」と返せば、子どもは「ああ、これは聞いちゃいけない話なんだ」と思ってしまうことも。親の反応で、その子の性に対するベースができてしまうんです。「そんなことに興味をもち始めたんだね、お兄さんになったね!」「聞いてくれてありがとう」とまずはオウム返しでいいんです。上手く伝えようと思わないことがポイント。だんだん年齢とともに「なんで?」と聞かれたら答えていけばいいんです。一般的に、こうした質問をし出す3歳頃が、性教育を始める時期だと言えるでしょう。

まずは子どもに「プライベートゾーン」を教えよう!

家庭ではお風呂が幼児の性教育にうってつけです。そこでまず教えてほしいのが、水着で隠れる場所=プライベートゾーンのこと。ここは、自分しか見たり触ったりしてはいけない大切な場所だと絵本などを上手に使って説明し、まずはその意識をつけましょう。この意識があれば、将来安易に自分の体の写真を人に送るといったことがなくなるはずです。

同時に、男女ともに幼児期から下着が汚れたら自分で洗う習慣をつけておくと、プライベートゾーンへの理解も深まります。

また、未就学児ママが気になる「幼児期の自慰行為」は、リラックスでき安心感が得られるとても自然なこと。耳の穴や鼻の孔を触るのと一緒で、自分で自分の体の探検をしているんです。決して頭ごなしに叱らずに、「きれいな手で触ろうね」「人前ではしないで」などと言いましょう。指しゃぶりと一緒で時期がくればおさまるものです。

男の子にこそ、幼児期からしっかりと性教育を!

男の子ママに多いのが「異性だからどうしていいか分からない」「パパに任せている」という人。これはとてももったいない!
たとえば、

・男の子の正しいおちんちんケア(清潔に保つこと、自分で大切に扱うことなど)
・ママの生理から知る男女の身体の違い

をきちんと知っているかどうかで、その男の子の性に対する土台が大きく違ってきます。たとえば、おちんちんを清潔に保つことを幼いことから知っていれば、将来的には女性の性感染症も防げますし、生理が来るということを知っていれば、学校でおなかが痛い女の子に優しくできるでしょう。将来いのちを授ける立場として必須の知識です。

性犯罪の被害者はもちろん、加害者にならないためにも、男の子にこそ、こうした知識を小さいときから知ってほしいんです。

ちなみに、幼児期におちんちんを褒めることはとても重要で、男の子の自己肯定感をアップしてくれます。「小さくてかわいいね」ではなく、ぜひ「かっこいいね!」と毎度お風呂の度に褒めてみてください。

性教育とは、いのちが大切=あなたが大切という教え

子どもは自分の産まれてきた時の話が大好きです。

「初めて心臓がぴくぴく動いたのを見た時、すごく嬉しくてママ泣いちゃったんだよ」
「お産に15時間かかったの、あなたはとてもがんばり屋さんなんだね」
「帝王切開で急に外に出てきたのにちゃんと呼吸ができたなんて、すごいね」…。

お腹にいたときのこと、どんな風に生まれて来たか、ママやパパがどんなに喜び幸せな気持ちになったのか、たくさん話してあげてください。あなたの存在そのものがとても大事なんだ、たくさんの人に愛されているという教えは、命の大切さを知ることであり、自分の体を大事にすることにつながる、とても大事な性教育です。

幼児の性教育、導入におすすめの絵本5冊!

最後に、在川さんおすすめの幼児期の性に関する絵本を5冊ご紹介します。図書館で借りられるものばかりですので、まずは探して、親子で読んでみてください!

『なぜなの パパ?』

DSC_5868

シリーズでママ編もあります。なんと、アンパンマンの作者、やなせたかしさんが書いている絵本で、1988年に作られたロングセラー。絵もわかりやすいし、親子で楽しめる絵、3歳からの性教育絵本です。(アーニ出版)

『よくわかるオチンチンの話』

DSC_5865

とてもわかりやすく男の子の体のことが書いてあるので、男の子ママやパパたちにぜひ読んでほしいです。(金の星社)

『とにかくさけんでにげるんだ わるい人から身をまもるえほん』

DSC_5866

文字が多めですが、5才の娘が好きな絵本です。嫌な事をされたらやめてと言ってにげること、人に話していいんだよと教えてくれる本。性のトラブルに直面したときの子どもへの接し方や心構えなど、親へのアドバイスも注目です。(岩崎書店)

『おちんちんのえほん』

DSC_5867

3歳くらいからの子に鉄板の絵本。プライベートゾーンの話もしっかり出てきます。もちろん女の子にもおすすめです。性被害やいのちの誕生までをやさしくわかりやすく描いています。(ポプラ社)

『13歳までに伝えたい女の子の心と体のこと』

DSC_5870

毎月、生理が来るのが楽しみになる本。小学校中学年くらいになったら、女の子がいるママさん、ぜひ娘さんと読んでほしいです。女の子が豊かに育つために必要な心と身体の変化がまんがとコラムでまとめられています。(かんき出版)

いかがでしたか。「インターネットも正しい情報もない30年以上も前の性教育を、現代のわが子に適応しないこと。時代は変わっています!」という言葉が印象的でした。

最後に、未就学児ママにメッセージをいただきました。

「スマホやパソコンのフィルターをかけているから大丈夫、とは思わないで。それよりも、幼いうちから親子でいのちの大切さに触れ、身体のことを知って、子ども自身が自分で心にフィルターをつけられるようになってほしいですね」

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

  • twitter
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • ホーム
  • 子育てのコト
  • 幼児期こそ学びのチャンス!誰にも聞けない、幼児の性教育のこと - SHINGA FARM

関連記事

新着記事