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エリートたちが通うニューヨーク名門私立校の幼稚園受験 日本のお受験でも押さえておきたい子どものスキルとは?【前編】

エリートたちが通うニューヨーク名門私立校の幼稚園受験 日本のお受験でも押さえておきたい子どものスキルとは?【前編】

ニューヨーク、なかでもマンハッタンはアメリカ国内ではもちろん、世界でも富裕層が多く住んでいる街の一つであり、子どもたちの教育面にも力を入れる親が集まっている街でもあります。幼い頃からお受験をして、幼稚園から高校までのエスカレーター式学校に入学させることも珍しくありません。

ですが日本でいう幼稚園受験とは一味違っています。近年、ニューヨークの受験体制は大きく変化しつつあり、子どもが受験を難しく捉えないような工夫がなされています。また、高校卒業時に自分の進みたい道を決められるよう、幼稚園時からカリキュラムが組まれており、日本の進学校とは少しイメージが違うかもしれません。今回はそういったニューヨークの変化と私立校受験に関して前後編にわけ、前編ではニューヨークの名門校と押さえておくべき受験のスケジュールについてご紹介していきたいと思います。

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ニューヨークの名門私立校とは?

名門私立校のほとんどは、キンダーと呼ばれる幼稚園年長さんから12年生までの一貫校が多く5〜18歳までの義務教育の間、同じ敷地内の校舎に通います。そのほとんどは「インディペンデントスクール」と言って、学校によって教育方針や指針、学校理念、カリキュラムが異なり子どもにあったところを選びます。ちなみに、私立は進学校のようなところばかりではなく、モンテッソーリやシュタイナー教育などの自由な校風や一般的な教科以外に音楽や美術・スポーツなどの多方面分野に力を入れている学校などがあり、選択肢も幅広いです。

アッパーイーストサイドには名門女子校がいくつもあり、女子校は理系が育ちやすいというメリットがあります。たとえば、アメリカのなかでもトップクラスの進学校「Brearley」、そして進学率も高くジャクリーン・ケネディが卒業した「Chapin」。さらに、ヒルトン姉妹が卒業しマナーにも厳しいカトリック系のお嬢様学校「Sacred Heart」、お嬢様女優のグゥイネス・パルトローを卒業生に持つ、頭脳のみならずファッション性も高い「Spence」など、それぞれの学校が持つカラーがあります。

「Brearly」の子どもたちが製作したアート作品その1

アート作品その2

アート作品その3

そして12年生まである名門男子校は、ジョン・F・ケネディJrの母校で400年近い歴史を誇る「Collegiate」、創立130年で昔は一部の階級にしか開かれていなかった「Browning」のみで、その他は8年生で高校受験があります。芸術やスポーツ分野での活躍者を生み出すことに定評のある「The Allen Stevenson」、ロックフェラー家や政治家の出身が多い「The Buckley」、作家や文学者の輩出が多い「St. Bearnard’s」 、「Sacred Heart」の兄弟校「Saint David’s」 などがあります。

共学では「Dalton」と「trinity」が有名です。私立ではありませんが国連が運営する「UNIS」というインターナショナルスクール、また変わり種の私立校といえば、顔や手を青く塗ったパフォーマンスグループ「ブルーマン」のグループが創立した「Blue School」もあります。公立の場合は予算次第でカリキュラムが変更になることも多々あり、あくまで安定した情操教育を与える為、公立ではなくカリキュラムが安定している私立を選ぶ傾向にあるのです。

名門私立校へ入るために押さえておくべきスケジュールとは?

9月が年度スタートなので、おおむね1年前の夏からどの学校に申請するかを探し始めるので、9〜12月は忙しくなります。平均で8~10校を視野に入れ、受験やツアーのスケジュールを手に入れるようです。人気校は秋の早い時期に学校ツアーや面接対応できる家族数に達してしまうため、なるべく早く申し込まなくてはなりません。遅くても12月の願書締め切りが多いです。別のパターンとしては、春に正式な申請をするかどうかを決められる学校ツアーを組んでいる学校もあります。

どの学校も兄弟が通学者だったり、親が出身者の場合は入学が優遇されます。さらに、学校関係者に知り合いがいたりお友だちが通っているなどの場合は、その方やご家族にリファレンス(推薦状)を書いてもらえるので、受験者が多い学校の場合には特に有利です。

また、受験には子どもの面接はもちろん、両親揃っての面接もあり、夕方から夜にかけて行われます。その間は子どもをベビーシッターにみてもらうのが一般的です。この面接では大げさに子どものいいところを伝えすぎたり、自慢に聞こえないようにする配慮が必要です。そして、子どものためにどのようなことを心掛けているかを答えたり、子どもの性格や傾向、どんなことに興味があるか感じられるエピソードをいくつか伝えたりします。親も、十分に下準備をして面接の練習などをしてから臨む方がよいでしょう。また、子どもに関することも前もってまとめておくとよいかもしれません。

このようにひとくちに名門校とは言っても、さまざまな学校カラーや理念があり日本のそれとは異なることも多いのです。高校受験がある学校以外は、高校卒業までその学校に通うことになるわけですから、自分の子どもを通わせるにあたっては学校と子どもとの相性や卒業後の進路など将来を見据えながら、しっかりと情報を得て選考しなければなりません。そして当然のごとくお受験までの前準備も余裕をもちながら、子どもと向き合っていく必要があるでしょう。後編では、受験で必須となってくる4歳児のスキルや名門校の授業料などについてお話ししていきたいと思います。

著者プロフィール

世界35カ国に在住の200名以上のリサーチャー・ライターのネットワークをもち(2017年12月時点)、企業の海外での市場調査やプロモーションをサポートしている。

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