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子育て

発達障害の関係も…!? ママを悩ます好き嫌いや偏食のこと

発達障害の関係も…!? ママを悩ます好き嫌いや偏食のこと

「〇○しか食べない」、「お菓子が朝ごはん代わり」、など偏食に悩む子は意外と多いもの。偏食や好き嫌いには親の遺伝、生活習慣はもちろん、実は発達障害が隠れている場合もあるって本当!?

そこで今回は、著書「子どもの味覚の育て方」や食育セミナーでも活躍中のフードアナリスト、とけいじ千絵さんにお話を伺いました。好き嫌いに悩むママ必見です!

日経DUAL記事

Q1「今まで食べられていたものが急に食べなくなった…」何か理由があるの?(4歳のママ)

離乳期の赤ちゃんは、自分が本能的に好きな味か否かという観点から味覚を捉えています。本能的に体にとって必要なものは案外幅広くあるため、幼児期に比して多くのものを口にすることができます。

それが、3歳を過ぎると、脳が発達し、五味をきちんと区別できるようになってきます。味の判別がきちんとつくようになるということはすなわち、好き嫌いという嗜好がでて、子どもが受け付ける食べ物の範囲が極端に狭くなり、これまで食べられていたものが急に食べられなくなるという現象がでてきます

また4歳前後は、警戒心もピークですから、“見慣れないもの=嫌いなもの”ということで、新しく出会う大抵のものは嫌がります。その後、好き嫌いは続きますが、成長とともに甘味への傾倒が減り、それに伴い好き嫌いも減少していきます。

Q2 「保育園の給食は食べるのに家では好き嫌いばかり…」これってママの料理のせい?(3歳のママ)

保育園では食べるのに、家では食べないという場合、それは「偏食」ではありません。偏食の子は、保育園か家かを問わずどんな状況でも食べられません

保育園という環境では食べられるのに家では食べない場合は、ママの料理の問題ではなく、単純に「甘え」が原因です。保育園で頑張って食べられているのであれば、家ではそんな甘えを一旦受け止めてあげることが大切です。

まず、保育園ではきちんと食べられていることを褒めてあげてください。頑張っているんだね、と努力を認めてあげてください。そしてその上で、家庭でも「あと一口頑張ってみる」という意識を起こさせてあげてください。

「保育園では○○(野菜)食べられるんだね、ママにも見せて欲しいな」、「保育園ではどうやって食べているのかみせて」などと、普段の保育園の雰囲気を思い返せるような声掛けをしてください。ママ甘えモードから、いつも頑張っている保育園モードにしてあげられるといいですね。

NGなのが、「きちんと食べなさい」「好き嫌いをしてはだめ」「早く食べなさい」と漠然とした声掛けです。否定的な言葉を使わず、肯定的な言葉で、子どものやる気を引き出すような具体的な声掛けをしてみましょう。

Q3 好き嫌いの中には発達障害の味覚過敏な場合もあるって本当ですか?(4歳のママ)

周りの大人が子どもの好き嫌いをなくそうという働きかけ(調理法や形状の工夫など)を続けていれば、だいたいの子どもの好き嫌いは年齢とともに改善していくものです。ですが、中には、偏食傾向が激しく、年を重ねても一向に改善しない場合があります。そういう子の中には、味覚過敏の子どももいます

本来、味覚情報は口腔内の味蕾という場所で味をキャッチしますが、その味蕾にある受容体(味覚をキャッチする受け皿のようなもの)が敏感な人もいれば鈍感な人もいます。

受容体は五味それぞれに存在するので、例えば甘味にとりわけ鈍感であるとか、酸味に敏感であるとか、個人差があります。特に苦味に敏感な味覚過敏の場合、拒否する食べ物の数は最も多くなります。

味覚過敏は普通の「好き嫌い」とは違い、特定の味に敏感だったり、食感に敏感だったり、逆に鈍感だったりして、食べられるものに偏りがでてしまいます。

ですが、味覚過敏だからといって発達障害というわけではなく、「発達障害のある人の中に味覚過敏があるケースがある」ということ。味覚過敏だから即発達障害を疑って専門家を受診ということではなく、以下の3つのポイントをチェックしてみてください。

・周りの大人が働きかけをしているにも関わらず年齢が上がっても激しい偏食が治らない
・気分に左右されることなく一貫して好き嫌いが多い
・発達障害の他の症状と相まって気になることがある

これらが当てはまる場合には、専門家を受診するのがいいと思います。

Q4 ジャンクフードが大好き、食事中もテレビを見るパパ。子どもに示しがつきません…。何かいい方法はありますか?(4歳のママ)

たまのジャンクフードであれば特に問題はありませんが、できればパパの味覚も一緒に育てていきたいですね。

大人と子どもの味覚の大きな違いは、大人は「情報」で食べ物を食べる側面があるのに対し、子どもは単においしいかおいしくないかで食べ物の好き嫌いを判断すること。例えば、大人は「朝採れの希少なもの」「栄養がある」「値段が高い」などという情報で食べ物の味も美味しく感じることがあります。

ジャンクフードを脱するためには、まずいい情報をたくさん提供して、とにかく幅広い味をおいしいと思ってもらうことが大切です。

また、孤食に慣れてしまっている人は、例えばテレビを見ながら、携帯を見ながら、ゲームをしながらといった「ながら食べ」を抵抗なくすることが多いです。

味覚は、この食べ物は何の味がするのかと味わい、感じ、考えることで研ぎ澄まされていきますので、「ながら食べ」は食べ物に対する感覚を鈍くする要因です。食事中は食べ物に集中できる環境を作り、食べ物について意識して会話をするように心がけてみましょう。

Q5 2歳くらいから「ごねたらお菓子をもらえる」と思っており、ごはんをほとんど食べません。この習慣は改善できますか?(5歳のママ)

こういった習慣は必ず改善できますから、絶対に諦めないでください。まず、「お菓子はごはんをきちんと食べた後」ということから徹底してください。どうしてもお菓子を止められない場合は、まずお菓子をデザートにすることから始めましょう。

5歳ともなると、体の成長のために食事が大切ということは、きちんと言えば理解できる年齢です。

また、子どもの方も、他者と比較をして(たとえそれがテレビのキャラクターでも)、こうなりたい、ああなりたいという願望がでてきます。男の子なら強くなるため、女の子なら可愛くなるために、この食材を食べてみよう、と語り掛けを大切にしてください。

好き嫌いをなくすための3つの心得

最後に、子どもの好き嫌いに悩む親御さんに、覚えておきたい3つの心得をお聞きしました。

その1 野菜の見た目を変えてみる

子どもは本能的に“緑は苦そうで嫌い”、“熟した赤いものは美味しそう”、と思うもの。ポタージュにする、野菜ジュースを使うなど野菜のハードルをうんと下げてあげるのも手です。何より、子どもは見慣れないものは食べないので、食べなくても出し続けることも大事です。

その2 自分で作る、味見で食べる意欲をUP

味見で食べさせたり自分で作ると食べる意欲がわき、「あれ、そんな嫌じゃない」と思える瞬間がきっと来ます(盛り付けたり味を整えたり、最後の仕上げをさせると達成感が出ます!)。

その3 食べて楽しいのが食育の基本!

食べられないものがあると否定的な言葉をかけらネガティブになりがちです。まずは一緒に食べていて楽しいのが食育の基本。難しく考えないで親子で食事を楽しみましょう。

大人も子どもも“味覚は学習”です。食べ物を感じて自分の言葉で言語化することが味覚オンチを直す近道であり、語彙力や表現力もアップするきっかけにもなります。ぜひできることから試してみてください。

書籍情報

気になった方は、とけいじさん著書の「0~5歳 子どもの味覚の育て方(2016年・日東書院)」もぜひチェックしてみてください!

著者プロフィール

食に対する審美眼「審食美眼」を磨き、彩りある食生活をモットーに“審食美眼塾”を主宰する1級フードアナリスト®協会認定講師。離乳期から味覚を育てることを目的とした講座は予約が取れない人気講座に。現在は、講師やフードライターとして各メディアで活躍中。著書に「0~5歳 子どもの味覚の育て方(2016年・日東書院)」がある。

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