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目指すはTech kids!IT先進国アメリカのIT教育最前線

目指すはTech kids!IT先進国アメリカのIT教育最前線

文部科学省が2020年から小学校での「プログラミング教育の必修化」を検討すると発表したように、日本でも小学校の段階からのIT教育の重要性が議論されています。

かたやIT先進国アメリカでは、小学校から積極的にITが活用され、「子どもをテック・エリートに!」というIT版タイガーマザー(アメリカにおける教育パパ・ママ)が話題になるほどです。

今回は、IT先進国アメリカから、IT化が進む小中学校の教室と、Tech kidsをめざして子どもたちが通うIT系習い事をレポートします。

1、公教育でもITをフル活用!プリントの少ない教室

筆者の子どもが通う、アメリカ大都市近郊の公立小学校・中学校では、教室内でコンピューターやタブレットを使うのが日常です。

まず、小学生低学年でタイピングからスタートし、アプリを使った計算やスペリング、プログラミングの超基礎などもとりいれています。

小学生中学年からは、一人ひとつGoogle Accountを与えられ、文章執筆やプレゼン作成はgoogle docで、課題発表の宿題は家でビデオ撮りしてYouTubeにアップロードして提出など、ITなしに教室は成り立ちません。

学習の半分以上は紙と鉛筆ベースではあるものの、年に数回行われる州統一テストも、TOEFL iBTのようなPCベースの選択・記述テストです。学校にはITの専属教師がいて、各担任の教師も、個人差はあるもののITリテラシーは高いといえます。

中学生(5~8年)以降は一人1台、タブレットが学校から貸与され、”Schoology”という学習管理アプリで、教師との連絡や宿題・課題の確認をします。

朝、担任の先生からのメールをチェックして1日のスケジュールを確認、学校では授業内容やスポーツテストまでもタブレットに自分で記録し、帰宅したら宿題をチェック。まるでビジネスマンのようです。

学校と親とのコミュニケーション、諸々の申し込みやフィーの支払い、PTAの運営も、Web,アプリ、e-mailでほとんどIT化されていて、日本の小学校のような大量のプリント文化はありません。(大量のe-mailで情報管理がかえって複雑という側面もありますが・・・。)

IT_Schoology

5年生から、タブレットで学習・スケジュール管理

2、人気化するIT系アクティビティ(習い事)

近年のIT系企業の躍進により、STEM系(Science, Technology, Engineering and Mathematics)専攻の学生は卒業後に高収入を得られる傾向が顕著で、IT教育に熱心な親が増えています。

アメリカは、受験において学力以外の素養やスポーツ・芸術などでの実績・社会活動を含めた人間性を重視する傾向にあるため、教育ママパパは、勉強だけでなくありとあらゆるアクティビティ(習い事・社会活動)を子どもに取り組ませます。

最近は、スポーツ・音楽といった通常の習い事に加え、IT系・モノづくり系の教室やサマースクールが増えています。

内容は、子ども向けプログラミングのスクラッチ、マインクラフト(ゲーム)にプログラミングを組み込んだマインクラフト・モッド、Lego EV3を使ったロボットプログラミング、java script/pythonといったコーディング(プログラミング)の基礎、アプリ作成、3Dプリンタ、ラズベリーパイ(小型のコンピューター)などです。

筆者の子どもも、IT教室や、近隣の大学で行われるサマースクールに参加し、家でゲームやロボットを作ったり、作品をコンテストに出品したり、楽しんでいます。

講師陣は、STEM系専攻の大学生・大学院生が中心で、コンピューターサイエンス/エンジニアリング、ゲーム/Webデザインなど、彼らの専攻のバラエティにも、IT教育の厚みを感じます。

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ITサマースクールにて、PC作成+Pythonプログラミングのクラスに参加

3、ITに頼りすぎる弊害:基礎的学力の低下、格差への懸念

一方で、過度なITの活用を不安視する親もいて、利便性に頼るばかりに、基礎学力・探求力が低下するのではないか、との懸念もあります。

さらに、教育格差を助長するという声もあります。IT教育は教える側の人材が不足しておりコストも高くつくため、予算が潤沢な学区とそうでない学区で教育内容に大きな差が出ます。

IT系の教室・スクールは通常の習い事よりも大幅に高く、先進的なIT教育を受けられるのは限られた層という事実もあります。

とはいえ、リンダ・グラットン氏の著書「ワーク・シフト」にもあるように、将来、ITが子ども世代の生き方・働き方を変えていくでしょう。ITと教育の融合はまだ始まったばかりで、IT先進国アメリカでの取り組みを今後も注目していきたいところです。

著者プロフィール

世界32カ国に在住の150名以上のリサーチャー・ライターのネットワークをもち(2016年11月時点)、企業の海外での市場調査やプロモーションをサポートしている。

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