アメリカのアフタースクールクラブとは?放課後にSTEM教育から、アートやスポーツまで学べる!

アメリカには公立・私立とも、放課後1時間ほど習い事のような体験ができる小学校があります。内容は科学、アート、スポーツなどさまざまで、アメリカらしくチェスやレゴなどのクラブもあり、子どもの好みに合わせて内容を選ぶことができます。共働きの家庭が多いこともあり、とても人気が高いアフタースクールクラブの魅力を紹介します。
週1回、1シーズンに7~10回開催で完結
多くの小学校では、秋、冬、春とシーズンごとにクラブが設けられています。シーズンごとに申し込め、各クラブとも週に1回、全部で7〜10回ほどで、1シーズンで完結します。
そのため、シーズンごとに異なるクラブに参加することが可能です。各クラブの参加費は1シーズンで210ドル(3万450円)〜325ドル(4万7,125円)ほどかかりますが、外部の習い事に比べると割安といえます。
※1ドル約145円で換算(2025年5月2日時点)
曜日ごとにさまざまなクラブが開催されるため、月曜から金曜まで毎日異なるクラブに参加することもできます。申し込みは希望者のみで、参加しなくてもまったく問題ありません。
シーズンごとに異なる内容、飽きさせない工夫
人気のクラブは次シーズンも継続されることもありますが、シーズンごとに内容は見直され、季節にあった内容が取り入れられるケースが目立ちます。
たとえば、春はガーデニングや野外スポーツのクラブが充実。一方で、冬はレゴやボードゲーム、スペイン語やフランス語といった語学など、インドアでも楽しめるクラブが多くなります。
さらに、子どもの関心が高そうなクラブや外部講師による専門性の高いクラブが新設されるなど、新しいシーズンを迎えるたびに内容が見直され、飽きさせない工夫がされています。
学年に合わせた内容や外部専門講師の起用も特徴
低学年と高学年ではクラブが異なり、それぞれの学年や年齢に合わせて関心を引くような内容が設定されています。
なかでも特徴的なのは、筆者の子どもが通う学校で3年生以上から参加可能なiPhoneやパソコンを使った画像・動画編集のクラブです。iPhoneで撮影した画像を加工したり、撮影した動画を編集してYouTubeにアップしたりする内容で、現代社会にぴったり。このように高学年の各クラブには、その年頃の子どもたちが興味を抱きそうなテーマが取り入れられています。
また、低学年向けにはアートやスポーツのクラブが充実し、我が子の学校ではアート関連のクラブが今季は6種類ありました。内容も、廃材を使ったアートや粘土制作、モザイクタイルや彫刻などさまざまです。また、多くのクラブは外部から講師を招いており、今期の低学年向け18クラブのうち11クラブが外部講師による指導でした。
学校の美術講師がアートクラブを、体育講師がスポーツクラブを担当する場合もありますが、先ほど挙げた画像・動画編集のクラブをはじめ、アート、料理クラブなどは外部講師を起用。普段の学校生活では体験することができないような専門性の高い内容を学べます。
さらに料理や縫い物、言語を学ぶクラブもKinder(日本の幼稚園年長)の学年から用意されており、低学年のうちから多様な内容に触れることができます。
STEM教育に関連した取り組みも
また、昨今注目されているSTEM(ステム)教育に関連したクラブも多数あります。STEM教育とは”science, technology, engineering and mathematics” 、つまり科学・技術・工学・数学の教育分野を総称する言葉で、2000年代からアメリカで始まった教育モデル。
現代のIT社会においてこれら分野の学習は子どもたちの論理的思考や課題解決力を養うことにつながるとされ、アメリカの学校や家庭で重視されています。
STEM教育関連クラブのなかには、設計図を作り模型を制作する建築クラブや、ミニカーを使って車の動く仕組みを学ぶ物理学クラブ、足し算や引き算、図形など数学スキルを使って謎解きをし、暗号を解いていくクラブなどがあります。
このように、楽しみながら科学や数学の知識に触れられるクラブは大変人気があります。
短期間で完結するクラブのメリットとデメリット
アフタースクールクラブの特徴は、短期間で完結し毎回別の内容のクラブに参加できるという点です。そこで、短期完結型クラブのメリットとデメリットを下記に挙げてみました。
<メリット>
・好奇心旺盛でチャレンジ精神が豊かな子どもにとって、短期完結型で多様な選択肢が用意されていれば関心を持ったことに挑戦しやすい。
・これまで知らなかった内容に触れるチャンスが増え、自分が好きなことややりたいことを見つけるきっかけになる。
・やってみて合わなかった場合は継続しなければよいだけなので、挑戦へのハードルも低い。
<デメリット>
・短い期間でいくつもクラブを変えることは、1つのものに対する継続力がつきづらい。ただし、気に入った場合は、次のシーズンも開設されれば継続して受講することができる。
・クラブは7〜10回で完結するため、どうしても初歩の内容をメインに学ぶことになる。しかし、次のシーズンも継続して受講することで、学びを深めることも可能。
まとめ
子どもにとって1つのものを継続することは大切ですが、少しでも興味を持ったものには気軽に挑戦させてみようというのが、アメリカ流の発想です。
確かに、短いスパンでさまざまな分野に触れることは、自身の興味や関心を持つものを見つけるよいきっかけとなります。
そのため小学生時代は、さまざまな分野に触れ、そのなかから継続したいことを子ども自身が見つけ出す期間だと捉えることが重要かもしれません。放課後にそういったチャレンジを実践できるアフタースクールクラブは、とても心強い存在だと感じています。
執筆者/北野えみり
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。