SDGsの実現とマインドフルネス!英国ロイヤルファミリーも参加する「マインドフルネスサポート」活動とは?

SDGsの実現とマインドフルネス!英国ロイヤルファミリーも参加する「マインドフルネスサポート」活動とは?

世界各国では大人だけでなく子どもや若年層の多くがストレスや不安を抱えていて、うつ病などのストレス系障害が急増しています。このような背景も踏まえ、国連が推進するSDGs(持続可能な開発目標)の達成のためにも必要とされているのが、心をケアする「マインドフルネスサポート」活動です。英国では子どもたちの心の健康についての特別週間を設け、イベントなどさまざまな取り組みを行っており、ロイヤルファミリーのキャサリン妃も積極的に活動に参加しています。

日経DUAL記事

注目されている子どもたちの心のケアへの取り組み

ストレス系障害は社会的感情や学問的感情などの能力にダメージを与え、脳の構造を破壊してしまうといわれています。国や民族、ジェンダー間の不平等や他者を傷つける紛争などを是正・解決するというSDGsを達成するには、不安やストレスに対処するためのマインドフルネスサポートを子どもの頃から行うことが重要と考えられているのです。国連も、教育機関でのマインドフルネスサポートが大切であると発表しています。

こういった考え方を踏まえ、最近の英国では子どもたちの心のケアに向けた取り組みが注目されています。2015年からは、英国のチャリティー団体「Place2Be」が主催する「Children’s Mental Health Week(子どもの心の健康週間)」が国内全土で毎年催されています。

1994年に設立されロンドンにオフィスを構える「Place2Be」は、子どもの心のケアを専門としています。パトロンであるキャサリン妃をはじめ、多くの有名人がサポーターとして名を連ねているのです。

寄付金が原資の運営資金を使い、プロのカウンセラーを学校や地域の低所得者層の若者の集まりなどに派遣して、1対1のカウンセリングを実施します。そのほかにも、子どもの心のケアの向上に役立つリサーチを独自で行い、教師や親へのセミナーや資料配布を通じて子どもへのサポート方法を指導しています。

「Children’s Mental Health Week」の期間中はイベントなどを通じ、子どもたちはもちろん、親にもサポートを受ける機会を設けるなど、理解を深めてもらうきっかけを提供します。今年は2月に開催され、3人の子どもを持つキャサリン妃もマインドフルネスサポート活動のイベントに参加したそうです。

「Children’s Mental Health Week」では仮装イベントや映像鑑賞も

「Children’s Mental Health Week」では毎年テーマが決められており、それに沿ったイベントが開かれます。たとえば小学校ではスーパーヒーローなどの仮装をして登校し、子どもはイベント参加費用として100円程度の寄付金を持ち寄ります。

また、学校の朝会などでは、「Place2Be」が製作した心のケアについての映像を鑑賞します。有名なスポーツ選手やアーティストが自分の子どもの頃に心の問題で辛かった経験などを語り、必要があれば助けを求められることを分かりやすく伝えます。

教室ではテーマにまつわる工作を作ったり、それをソーシャルメディアで共有し合ったりするような催し物が1週間ほど続きます。現在は新型コロナウイルスの影響ですべてがオンライン上での開催になりましたが、オンライン授業でも仮装で参加する様子がシェアされていました。

キャサリン妃もマインドフルネスサポート活動に積極参加

キャサリン妃はこの「Place2Be」を通して、子どもの心のケアの重要性をアピールする活動を行なっています。ソーシャルメディアにメッセージを配信したり、提携する学校を訪問して生徒に言葉をかけたり、心のケアについて授業で一緒に学んだり、先生のための勉強会に参加したりと熱心です。パンデミック中には医療関係者を親に持つ子どもたちとバーチャル交流会を開催し、励ましのことばを送ったりもしました。

キャサリン妃自身の子育てでは、「ChatSofa(お喋りソファー)」という特別なソファーが家庭内にあるようです。一般的に英国では、いたずらしたり言うことを聞かなかったりした子どもが1人で反省するための「naughty corner/chair/step」というコーナーや椅子が家庭内に設けられています。キャサリン妃はそれを設ける代わりに、そのソファーで子どもたちと同じ目線でお喋りをすることにより、コミュニケーションをとりながら子育てをしているようです。

まとめ

SDGs達成目標の2030年まであと9年に迫った現在、次世代を担う子どもたちへの心のサポートはとても大切だと英国では考えられています。そのため、「Place2Be」のようなチャリティー団体などを通じて、政府や学校、さらに家庭や王室までが連携する動きが活発化しているのです。

慢性的なストレスや不安を抱いている子どもや若い世代へのサポートは、今後の教育における重要な課題とみられていて、ケアの必要性もいっそう増していくと思われます。

【参照URL】
https://www.childrensmentalhealthweek.org.uk
https://www.un.org/en/academic-impact/unlocking-your-emotions-achieve-sdgs-mindfulness-education

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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