アトピーや不登校も不眠が原因!? 気になる子どもの睡眠のこと

アトピーや不登校も不眠が原因!? 気になる子どもの睡眠のこと

夜泣きや寝言、なかなか寝ない子…どこか悪い病気なのではと心配したことはありませんか。

さらに、今の時期気になる新生活の環境変化や外遊びができないストレスと睡眠の関係や、学力をUPさせる睡眠術など、ママたちが気になる子どもの睡眠のお悩みを、日本睡眠学会認定の「睡眠の専門医」であるスリープクリニックの遠藤拓郎先生に伺いました。


遠藤拓郎先生(スリープクリニック調布院長 慶応義塾大学医学部特任教授 医学博士)
祖父の代から睡眠医療を研究し続けて90年。睡眠の専門医として画期的な治療法をクリエイトし続け、雑誌やTVでも活躍中。『頭のいい子が育つ超・睡眠法』など著書も多数。銀座医院では日本初となる「こどもすいみん外来」も開設。
https://www.sleepmedicine-tokyo.com/outpatient/kids-sleep/

 

日経DUAL記事

不登校やアトピーも睡眠に原因があることが多い!

長年睡眠について研究していますが、特に最近は小学生の睡眠障害が増えている印象です。

理由は2つあって、1つ目は睡眠の質が落ちていること、2つ目は不登校児の増加です。人間の体は朝日を浴びて起きるようになっています。ですから、学校に行かなくてもいい=朝決まった時間に起きない=朝日を浴びないために、脳がちゃんと目覚めない状態になってしまうんです。

不登校は心の病気と思いがちですが、正しい睡眠をとることで改善できるケースもあります。睡眠の観点からいうと、「学校=行くもの」というある程度の強制力も必要です。今後、フリースクールやオンライン学習などの増加により朝日を浴びない子が増えてくると、さらに子どもの睡眠障害も増えてくるのではないかと懸念しています。

また、睡眠の質が下がると免疫力も低下しますから、アトピーや花粉症などのアレルギー疾患、喘息、蕁麻疹なども実は睡眠に原因がある場合があります。

そもそも、睡眠障害とはどういう病気なの?

睡眠には3の法則というのがあります。「30分以上寝つけない」「寝てから3回以上目が覚める」「起きる時間の30分前から目が覚めてしまう」です。この状態が2週間以上改善されない場合は、睡眠障害となります。

他にも、アレルギー症状や喘息、扁桃腺など喉が弱い子は無呼吸睡眠になりやすいですし、ADHDのお子さんは脳のドーパミンの関係で、睡眠障害になりやすい傾向があります。

人間は7時間寝るのが一番長生きすると言われています(子どもは+2時間)。何より正しい睡眠の質と量を確保することが大切なのです。ただし、保育園のお昼寝を2~3時間しているお子さんは、それも含めてこの時間を取っていれば問題ありません。それでも気になる場合は一度受診されてみてください。

ストレスや外遊び不足も睡眠障害の原因に!

睡眠は心身のストレスも大いに関係しています。たとえば、新学期や新生活の不安、新型コロナウィルスの影響から外で思い切り遊べないストレスもそうです。特に小さなお子さんは、日中外で体を使って遊ばないと夜も寝られません。

心と体の発育のためには、人混みを避けつつも、適度に日の光を浴びて外遊びをしてください。近頃は、家中を常に空気清浄機で除菌をして砂遊びもさせないなど、あまりにも清潔&無菌状態で過ごさせるご家庭も増えています。ある程度自然界に生息する菌への免疫もつけておかないと、強い免疫は作られません。

子どもの寝言や夜泣きは、ほとんどの場合心配ありません!

お子さんの寝言や夜泣きが「何か別の病気なのでは?」はと心配され受診される親御さんがいらっしゃいますが、子どもの夜泣きはほとんどの場合心配ありません。

寝言(夢を見るレム睡眠)は、その日あったことや考えを整理する心のメンテナンスの役割があり、夜泣きはストレスや疲れ、睡眠不足、薬などが原因とされます。

まれに小学生になっても夜泣きが残ることや、睡眠時驚愕症という深い睡眠から突然覚醒する病気もありますが、12歳をすぎれば自然治癒するものなので、あまり心配しないようにしましょう。

子どもの寝かしつけのコツ!

子どもにとって良質の睡眠は「光」がポイントです。子どもは大人よりも光の影響を受けやすいので、20時以降はできるだけ部屋を暗くして静かな環境で寝かせましょう。

夜9時以降に強い光を浴びると、体内時計が遅れるだけでなく、メラトニンという人を眠らせたり起こしたりするための大切なホルモンの分泌も抑制されて寝つけなくなってしまうので、要注意です。

そして、朝はカーテンを開け太陽の光をしっかり浴びること。赤ちゃんの場合、その後に寝てしまってもかまわないので、一度しっかり朝の光を浴びて小さい頃から体内時計を整える習慣をつけていきましょう。

また、寝かしつける際のコツとしては、「温度」が重要になってきます。子どもの手足を握って温める、布団内の温度を33℃くらいに保つ、夏場は部屋をドライに保つのも効果的です。

頭が良くなる睡眠術とは?

寝る子が育つと言うのは本当です。深い睡眠時に成長ホルモンが出ていて、骨細胞も作られるため、寝る子はよく成長するのです。

ただ、学力との関係においては、たくさん寝ていても勉強しなければ学力は上がりませんから、一概には言えませんが、ある実験で「勉強→睡眠→試験」と睡眠を挟んだ方がテストの結果がいいことは実証されています。

脳は寝ている間に情報を整理します。ですから、夜は暗記モノなど記憶中心の学習をして、寝て朝起きてから考える学習など、睡眠を効果的に使うと高いパフォーマンスは得られると思います。

早寝早起きではなく、家族で土日も「早起き早寝」を習慣に!

「うちの子あまり寝てくれないんです」と来院される親御さんに「週末もきちんと家族で朝7時より前に起きていますか?」と問うと、大抵の方がNOと答えます。

早寝早起きは3文の得と言いますが、体が疲れていなければ早寝もできませんから、つまりは早起きしないと早く寝られません。

人間の体内時計は25時間であり、朝日を浴びることでそれが24時間に修正されるのです。ですから、週末に好きなだけ寝てだらだらしてしまうと、それを戻すのに3~4日かかってしまうんです。

毎日(土日も!)規則正しい時間に家族全員で起きて、カーテンを開けて朝日を浴び、午前中から元気に外で活動すれば、しっかり疲れますから夜更かしなんてできっこありません。

あとは、寝る前にきちんと入浴をして体を温めるようにしましょう。冷たいものばかり飲んでいたり、湯船につからないことも、不眠の原因になります。

いかがでしたか。先生曰く、「赤ちゃんだからといってダラダラ寝かしつけるのではなく、生後3日目くらいから睡眠環境を整える準備をすべき」とのこと。

さらに、睡眠の習慣は「良くも悪くも1週間続ければ身につく」そう。土日はもちろん、GWや夏休みなどの長期休暇のときこそ、規則正しい生活リズムを崩さないことが大事なんだなと実感しました。

気になった方は、ぜひ遠藤先生の著書『頭のいい子が育つ超・睡眠法』(フォレスト出版)をぜひ読んでみてください。子どもと睡眠の詳しい解説や今すぐ使えるテクニックが満載です。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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