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「推しがある人はストレスをためにくい!?」親子で推し活のすすめ!

「推しがある人はストレスをためにくい!?」親子で推し活のすすめ!

今は推し活ブーム。子どもから大人まで自分の“推し”に気持ちを注ぐ人が増えているようです。お子さんがある程度大きいご家庭は、親子で同じ推し活をする人もいるのだそう。そこで今回は推し活についてのメリットを子ども、親の両サイドから、さらには子どもの推し活への注意点などをまとめました。

日経DUAL記事

推しの実態。今の小中学生の94%に“推し”がいる!

ここ最近ブームとなっている「推し活」。就活、婚活などの“○〇活”の推し版のことで、自分にとって特別な“イチオシ”の存在に情熱を注ぐ活動のことです。対象はアイドルやアーティスト、アニメのキャラクターがメインですが、建築物や仏像などもあるようで、とにかく大好きなものを支持しちゃおう!というのが推し活と言えそうです。

私たちが何かに夢中になること自体は新しいことではありませんが、“推し活”という言葉がブームに拍車をかけているようで、今は子どもから大人まで多くの人が推し活中のようです。

ニフティキッズが今年の6月に行った小中学生対象の調査では、94%が「“推し”がいる」、そのうちの64%が「推し活をしている」と回答しています(2,932人が回答)。

https://kids.nifty.com/parent/research/20220603oshi/

また、Cake.jpが10代~70代の男女を対象に行った「推し活に関する意識調査」では、推し活の認知度はなんと90.3%。推し活をしたことがあると答えた人は女性が81.8%、男性が67.2%だったそうです(1,794人が回答)。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000398.000015685.html

呼称の浸透度とともに、推し活が幅広い世代で広まっていることがわかります。

子どもの推し(没頭する心理)を理解することのメリット

大ブームの推し活ですが、子どものイチオシの存在を親がどう受け止めるかは、ご家庭によってかなり違う印象があります。子どもと一緒になって夢中になる親御さんもいれば、「ちょっと理解できないんだけど」と感じている方も……。

理解するのが難しいと感じている方の多くは、そのイチオシの対象が自分の感覚とはフィットしないからなのだと思います。上記の調査結果から引用すると、子どもの推し活の対象は、

1.アイドル・アイドルグループ
2.歌い手
3.YouTuber
4.アニメの登場人物・キャラクター
5.ゲームの登場人物・キャラクター
6.マンガの登場人物・キャラクター

となっており、小中学生とも共通した順位でした。親世代からしたらまったく世代が違う存在が対象のため、「理解しがたい」と感じやすいのだと思われます。

ただ、そんな方でも何かに夢中になる気持ち自体を理解できないと感じているわけではないと思います。子どもの推し活を理解する上で大事なのはその部分で、“没頭する心理”をわかってあげることがポイントです。

アメリカの心理学者であるバリッシュ博士は、数々の賞を受けている「Pride and Joy」という著書の中で、子どもを理解するための秘訣として、「その子の興味に興味を持つこと」を挙げています。これは子どもの推し活にも当てはめることができます。

とは言っても、子どもが推すアイドルを一緒に好きになることを推奨しているわけではありません。知らない分野の情報を得ているつもりで、「そうなんだ」「○○はこうなの?」のように興味を示してあげるということです。

ふだん親が子どもにあれこれ質問を投げかけると、子どもたちは、「別に」とか「いつもと同じ」とマンネリの回答ばかり。でも自分の好きなことや夢中になっていることだと饒舌になってくれますよね。子どもの推しはコミュニケーションのいいトピックになってくれるのです。

あれこれ聞き出そうと質問攻めにするよりも、ずっとその子らしさを引き出すことができるので、結果的に子どもへの理解を深めることができるはずです。そして子どもからすれば、親が自分の推しに耳を傾けてくれることは嬉しいもの。このように子どもの推し活を日常のコミュニケーションに活かせば、会話量が増えたり、笑顔が増えたり、関係が良くなったりとメリットは大きいと思います。


こちらは我が家が日本に一時帰国した際に娘がお友達からもらったアイドルグループ「なにわ男子」の推し活ノート。見ているだけで熱意が伝わってきます。

車に電車、プリンセス……小さい子も実は推し活をしている!?

推し活というと、小学生以上から大人までのイメージですが、もっと小さな子が「はたらくくるま」や「プリンセス」などに熱狂するのも、ある意味“推し活”だと思います。好きこそものの上手なれという言葉があるように、“好き”という気持ちは私たちを動かす原動力です。その点からも、幼少時から何かに夢中になる経験はとても貴重なので、いい形で盛り上げられることが望ましいですね。

その際は、物質的になり過ぎないことは気をつけたいところ。たとえば、プリンセスが好きだからといって、ドレスやフィギュアを買い揃えることで「子どもの気持ちを満たした」と捉えてしまうと、きっとその子は大きくなっても物質的な満たしに走ってしまうと思います。それよりは、すでにあるグッズを使って、ごっこ遊びをしたり、お絵かきをしたりなどの経験で満たしていく方がいい形と言えます。

子どもの推し活の注意点と起こりうるトラブル

ここでまた話を小学生以降の年齢に戻しますが、子どもの推し活は「ポジティブな感情を保てる範囲で行なうこと」が大切で、疲弊するまでやってしまうとせっかくの気持ちが損なわれてしまいます。
起こりうるトラブルとしては、友だちと張り合ってしまうことが挙げられるでしょう。

①友だちと“推し”が違う
例1:自分はアイドルのAくんが推しだけど、友だちはBくん推し。どっちがどれだけすごいかでいつも最後は言い合いになる

例2:自分だけAくんが好きだけど、他のみんなはBくんが好きだから話がつまらないし、ぼっちの“推し”がいや

推し活は何が正しいとか、まちがっているということではありません。好みが違うというだけです。先ほどおすすめした推しを介したコミュニケーションを日ごろからしていれば、このような悩みにも気づきやすくなります。推し活に正解はなく、単に趣向の違いであることを伝えていきましょう

②友だちの方がグッズを持っている

今は推し活が大ブームとあって、それを盛り上げるグッズが数えきれないほど存在します。子どもたちが大好きなアイドルやキャラクターなどはとくにそうですよね。レアもの、新商品などはもちろんですが、一般的なグッズに関しても、友だちが持っていれば欲しくなるのは当然で、この辺りの制限に関しては各ご家庭でルールを決めておくのが無難です。親子で同じ推し活をしているならば、この点はコントロールしやすいかもしれません。

いずれにしても、いったんエスカレートするとあれもこれも欲しいということになりかねませんので、そうなる前に、「お小遣いの中で買う」「それで買えないものはクリスマスと誕生日」のように具体化しておくことをおすすめします。

大人の推し活のすすめ「推しがある人は育児のストレスをためにくい」

今回は子どもの推し活について述べてきましたが、最後に大人の推し活についても触れておきたいと思います。日ごろ育児支援をしている身からすると、もしかしたらここが私の一番の“推し”かもしれません。というのも、自分が夢中になる対象を持っている人の方が育児ストレスをひどくしない傾向を感じているからです。

私の相談室に寄せられるママ、パパからのお悩みは、きっかけはお子さんのことが圧倒的です。たとえば、言うことを聞かないとか、反発して困るなどです。はじめはその対処に取り組むのですが、よくよくお話を聞いてみると、親の方の気持ちのあり方が不安定なために、育児にも影響が出てしまっていることが少なくありません。

ここに気分転換になる特別な何かがあると有効なのですが、忙しい毎日を過ごすうちにそういう情熱が失われている方も多いようなので、この推し活ブームをいいきっかけにできるといいなと感じています。ここで私がおすすめしているのは、アイドルやアーティストに限らず、もっと広い意味での“自分が心地いいと感じる時間を持つこと”を指しています。

子どもたちの推し活を参照するとわかりますが、寝ても覚めてもそのことばかりを考えていますよね。本業をおろそかにする勢いとも言えるでしょう。そのくらい夢中になれるものがあると、気分転換もしやすくなるのです。

すぐに家事、育児、仕事のことを考えてしまう大人にとって、それほどの熱量を注げるものはなかなか見つからないかもしれません。でも、「どうせ時間がない」とか、「今の私には無理だ」とやり過ごしていたことがあれば、この推し活ブームを機に再考してみるのもいいのではないでしょうか。「スマホで気になっていたアーティストの歌をイヤホンで聴きながら家事をする」、これだけでもいつもより気持ちよく時間が過ぎるかもしれません。夢中になれる何かがあることは幸せなことです。親子で上手に推し活をしていけるといいですね。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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