子どもの語彙力や判断力は季節を学ぶことで伸びる!【伸芽会監修】

地球温暖化や気候変動などから、最近の子どもたちは「日本の四季を感じにくくなっている」と言われていますが、小学校受験をする・しないにかかわらず「幼児期に四季を学ぶとメリットがたくさんある」と言います。
そこで、家庭で手軽に季節を感じ、学びにつなげるコツを伸芽会の麻生尚子先生にアドバイスいただきました。
季節を学ぶと得られる6つのメリット
__幼児期に季節を学ぶことで得られるメリットはどんなことがありますか?
幼い時期に季節を学ぶことで、以下のようなメリットがあると考えています。
① 心が豊かになる(感性や五感、想像力を刺激する)
② 観察力が身につく
③ 自分で判断し行動する力が身につく(服装選び、体調管理など)
④ 語彙力を高める(四季の行事や伝統文化の理解にもつながる)
⑤ 日本に根付いた旬の食べ物が分かり、食文化を楽しむことができる
⑥ 国語、算数、理科、社会などの教科をはじめ、全ての学びの土台になる
日本には春夏秋冬と四つの季節がありますが、その季節に応じた植物や生き物、食べ物の旬があります。そういった四季の変化を、五感を使って体感することで感性が豊かになり、観察力や判断力、語彙力、想像力などさまざまな力が育ちます。
これらは、小学生以降の学びの土台となるとても大事な力です。一例ですが、その日の気温や天気に合う服装を自分で選んで体調管理ができる、ということは生きていくうえでとても重要なことですよね。
小学校受験で「季節の問題」が問われる理由
__小学校受験でも「季節の問題」がよく問われるそうですが、その理由を教えてください。
季節を通じて、小学校以降の学びにつながる多くの力が得られます。そのため、小学校受験では「季節感や日本文化を大事にした子育てをされているご家庭」を求める傾向があるので、小学校受験の試験でも、たびたび季節に関する問題が出されるのです。
さらに、たとえば季節の行事や食べ物の旬など、季節感を大事にするご家庭で育ったお子さまは、心が豊かで好奇心も旺盛であり、「学ぶ意欲が高い傾向にある」とされています。学校側としても、そういったお子さまに入学してほしいと考えられているのではないでしょうか。
また、季節行事を大事にすることで、日本文化としての知識はもちろん、人や自然に対する感謝の気持ちも芽生えてくるため、私学で多く見られるキリスト教などの宗教教育の理念にも通ずることがあると考えられています。
・これまで、小学校受験で出題された季節の問題については、こちらの動画をご覧ください。
『実際の入試にも出た!? 小学校受験の問題例 〜季節の行事編〜』
今の子どもたちは四季を感じにくくなっている!
__今の子どもたちが四季を感じにくくなっている理由をどのように考えていますか?
主な理由として3つあると考えています。まずは、「気候変動で四季の変化が昔に比べてわかりにくくなっていること」。中でも、梅雨や秋などは昔に比べて期間が短くなっているため、より実感しにくいと感じています。
2つ目は、「1年中食べられる野菜が増え、旬を感じにくくなったこと」。特に野菜は、あえて値段や産地を意識しないと、大人でも旬を感じる機会が減っているのではないでしょうか。
3つ目は「住環境」です。たとえば、都心で暮らす子は、年中冷暖房で空調を管理された室内で過ごすことが当たり前なので、「冬になると脱衣所が冷える」「夏になると庭の日差しが強い」などといった、季節の変化や違いを感じにくくなっています。
家庭で季節感を上手く取り入れるポイント
__都会で暮らす子どもが、季節感を手軽に感じられるコツがあれば教えてください。
お子さまとぜひご一緒にチャレンジしていただきたいことは以下の5つです。
①いつもの道を定点観測してみよう
保育園や幼稚園まで登園するいつもの道を、会話なしで過ごしたり、車や電車の場合、スマホを見せたりしながら過ごしていませんか。お花や木の葉の色の変化、どんな虫がいるかを定点観察しながら歩いてみたり、景色を見るようにしたり、会話をするようにしましょう。空を見上げて同じ場所から雲の形を観察するだけでもOKです。まずは季節の変化に気づかせることが大切です。
②行事食を取り入れてみよう
季節感を感じさせるには行事食を取り入れるのもおすすめ。端午の節句やお月見、節分にひな祭りなど、行事にまつわる食べ物を無理のない範囲で食卓に取り入れつつ、その由来について一緒に調べたり、絵に描いたりするとお子さまの記憶に残るはずです。
③季節の図鑑や絵本を読んでみよう
季節に関する図鑑や絵本で知識をインプットするのもとても大事です。たとえば、『あそべるひらめくきせつの図鑑』(KADOKAWA)には、四季の定点観察のイラストや食べ物の旬に関して詳しく載っています。こういった図鑑を見た後に、外へ本物を探しに出かけるという遊び方もおすすめです。本はページを進めたり、戻したりすることができるので、繰り返し比較することができるのもメリットです。
『あそべるひらめくきせつの図鑑』(KADOKAWA)の詳しい見どころや遊び方のコツに関しては、伸芽会の麻生先生が対談されているヨメルバの記事もご覧ください。
・『季節の遊びが子どもたちを育む! 教育の専門家スペシャル対談【前編】』
④スーパーで旬を探しに行ってみよう
お忙しい親御さんにおすすめなのが「スーパーでの旬探し」です。
今は年中並んでいる野菜も多いですが、春ならタケノコ、夏ならトウモロコシ、秋ならサツマイモ、冬なら白菜など、「旬になるとたくさん収穫できるから値段が安くなるし、栄養価も高くて美味しいんだよ」という情報を伝えながら、お子さまと一緒にスーパーに行って、値段や味、産地の変化などを観察してみましょう。
そうすると、収穫体験と同じような(場合によってはそれ以上の)学びが得られるはずです。野菜以外に旬のフルーツや魚などもありますが、すべて買う必要はなく、見るだけでも立派な学びになります。中にはキャベツやレタスなど、半分に切ってあり断面が見られるものもあります。
⑤一緒にお料理をしてみよう
時間がある週末などに、お子さまと旬の食材を使って一緒にお料理して味わってみましょう。
小さなお子さまは、野菜の皮をむいたり洗ったりといった下ごしらえを手伝うだけでもOKです。旬の食べ物に実際に触れて味わう体験は、何よりも季節を感じる学びになりますよ。
「特別な体験をすること」だけが季節を感じることではありません。日々の生活の中に楽しみながら季節の旬を取り入れることで、お子さまも“自分ごと”として捉えながら、季節の移り変わりを体感できるはずです。ぜひできることからチャレンジしてみてください。
・小学校受験でなぜ食育に関する出題が多いのか、また行事食を家庭で取り入れるコツについては、こちらの記事をご覧ください。
『小学校受験で問われる「行事食」、家庭で意識したい子どもへの伝え方』
『小学校受験で「食育」に関する出題が多い理由』

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SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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