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信じるのは8歳まで!?「サンタさんて本当にいるの?」と子どもに聞かれたら…

信じるのは8歳まで!?「サンタさんて本当にいるの?」と子どもに聞かれたら…

もうすぐクリスマス。この時期が来るたび、「うちの子、いつまでサンタさんを信じてくれるのかな」と思うママも多いでしょう。サンタクロースの存在については、日本に限らず、世界中で話題になっていて、「何歳くらいになると気づくの?」から、「実在しないサンタさんを親自ら信じさせていいの?」といったものまで情報が交わされています。この記事では、国内外の研究データを交えながら、心理学的に見たサンタクロースの存在についてお伝えしていきます。

日経DUAL記事

日・米・英 比較!子どもは何歳でサンタさんが実在しないことを知るの?

子どもたちはかなり早い段階から、ファンタジーはファンタジー、現実の世界は現実の世界、と区別をつけていることがわかってきています。すでに4歳くらいになると、アニメのキャラクターが、実際には存在しないということにも気づいているのだとか。では、“サンタクロース”についてはどうなのでしょうか? ここで、日本、アメリカ、イギリスのデータを比較してみましょう。

それぞれの国で行われた調査によると、サンタさんの存在を信じていた年齢を「6歳まで」と答えた割合は、日本が約15%、アメリカが約17%。しかし、両国とも8歳までにその割合が急に上がり、半数弱の子が、サンタさんの存在に気づき始めることがわかっています。イギリスでは、すでに6歳までに30%強の子が、サンタさんの存在を信じていないというデータがあります。私たち親が思っている以上に、子どもたちの気づきは早いようです。

サンタさんが実在しないと気づくまでの5つのプロセス

しかし、ある日突然、「きっぱりと信じなくなる」のではなく、その気づきは段階的に起こっていくのだそうです。アメリカで行われた研究で、子どもがサンタさんを信じ、やがて信じなくなるまでに、次の5段階のプロセスが見られることがわかりました。

ステップ1:サンタさんは世の中にたった1人ですべてをこなす存在。ショッピングモールやイベント、そしてテレビ出演と、多忙ではあるが、すべてを1人でこなしていると信じている段階。
ステップ2:サンタさんは世の中にたった1人、だが、1人で世界中の子どもたちにクリスマスにプレゼントを配ったり、違う場所に同時に存在したりすることが、不可能だということにも気づきはじめる。そこで、サンタさんには、そっくりの分身のような存在がいて、マジカルな通路を移動しながら、プレゼントを配っていると考えるようになる。
ステップ3:ステップ2のようなサンタさんに直結した分身ではなく、実際の人間が赤いコスチュームを着ていると理解し始める。しかし、この段階でも、まだその人たちは、サンタさんと実際に連絡を取り合っている特別な存在だと考えている。
ステップ4:町で会うサンタさんは、人間のおじさんが衣装を着ているだけ。しかし、北極には、赤いコスチュームを着た本物のサンタさんがいて、そこにある小屋で作業をしていると信じている。
ステップ5:サンタさんの存在を立証するだけの事実がなくなり、逆に、矛盾点が増えていく。それにより、「サンタさんは実際にはいない」という考えに至る。

このプロセスは、子どもの認知能力の発達も深く関係していることがわかります。小学生になると、現実的な物の見方が増え、それに矛盾することに疑問を持つ、このような自然な流れの中で、サンタさんの位置づけに気づくことは、成長の証でもあるわけです。

もし「サンタさんはいるの?」と聞かれたら?

心理学者の中には、「サンタクロースがいる」と子どもに伝えること自体に異論を唱える人もいます。「子どもにウソを教えていることになるのでは」と考えるからです。普段子どもたちに、「ウソはダメだよ」「本当のことを言いなさい」「ありもしないことを言ってはいけないよ」と厳しく教えているにもかかわらず、「サンタさんはどうなんだ」というわけです。

しかし、実在しない登場人物を描いたファンタジーは、サンタクロース以外にもたくさんあります。絵本や映画など、様々な媒体で私たちを楽しませてくれる存在で、子育てに用いたことがない方はいないでしょう。ファンタジーを上手く使った遊びは、その子の認知能力を伸ばすというデータもあるほど、やはり大事な存在。現実以外は「ウソ」としてしまうのは、遊び心がないように思います。

サンタさんは、絶対に信じなければいけないものではありませんし、わざわざ親の方から、「パパがサンタをやっているんだよ」と暴露する必要もありませんが、ある日、お子さんの方から、「サンタさんって本当にいるの?」と聞いてきたら、どう返答したらいいのでしょう。

子どもからの「サンタさんって本当にいるの?」の返答に、唯一の模範解答はありませんが、上に挙げた5ステップが示しているように、サンタさんの事実に気づくステップは、その子の認知の発達とも関係しています。「本当にいるの?」と聞くということは、それだけお子さんが成長してきたという証とも言えるのです。まずは、「あなたはどう思う?」とお子さんの意見を聞いてあげ、その子の理解に沿って頭の中を整理してあげるのが望ましいと思います。

子どもにとって最高のクリスマスとは?

もし子どもが本当のことを知ったら、がっかりしてしまうかもしれないと感じる方もいるでしょう。でも、たとえサンタさんの位置づけは変わっても、子どもたちにとって、クリスマス自体が楽しいことに変わりはありません。クリスマスの時期に感じる温かな気持ち、あの独特のほっこり感を、家族で共有することが最高のクリスマスなのですから。

最後に、幸福度の高まるクリスマスの過ごし方を1つ。イギリスやアメリカの研究でわかっているのは、

●高額のプレゼントなどの物質的な満たされ方は、幸福感にはつながりにくいこと
●子どもたちが、「幸せだなぁ」と感じるのは家族そろっての食事だということ

よって、クリスマスは重きを置きたいのは、「家族の食卓」です。いくらお金をかけるかよりも、家族で一緒に過ごす時間を持つことが、子どもの幸福感を高める最高のクリスマスの過ごし方と言えます。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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