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「可愛い子には旅をさせよ」!? フランス流・子どもたちの夏休み

「可愛い子には旅をさせよ」!? フランス流・子どもたちの夏休み

日本の学校の夏休みは、7月後半から8月末までというところが多いようですが、フランスでは7~8月の2ヶ月がまるまるお休みです。しかもその間、宿題もなければ、塾に行くこともありません。

学年が上がるごとに、宿題が増えたり、夏期講習で忙しくなったりする日本とはだいぶ違いますね。

そんなフランスの子どもたち、長い夏休みをどう過ごしているのでしょうか? 代表的な3つの例をご紹介します。

その1 Centres de Loisirs ~ 市が管理するヴァカンス学校へ

2ヶ月もある夏休みの間、親が子どもにつきっきりかというとそうではありません。子育て世代である24~49歳の女性の就業率が80%を超えるフランスでは、夫婦共働きが一般的。だからその分、子育て関連の公のサービスがとても充実しています

夏休み期間中の子どもたちの行き先として、真っ先に挙げられるのが、「Centres de Loisirs(サントル・ドゥ・ロワジール)」と呼ばれるヴァカンス学校。休み期間中の空いた校舎を有効活用し、そこに専門の業者が入って、子どもたちを預かってくれます。

時間は、だいたい朝8時半から、夕方18時半くらいまで。日本の学童保育にも似ていますが、サントル・ドゥ・ロワジールの方が、遊び色が強いように感じます。週の始まりに一週間の予定表が貼り出されるのですが、その内容は、公園へピクニック、映画鑑賞、水族館、パン作り、時には近郊の古城見学など、たくさんの遊びが盛り込まれています。

驚きなのは、これが公のサービスだということ。そして、親が共働きでなくても利用できること。

料金は親の所得によって8段階に分けられていますが、ほぼ無料から、高くても1日10ユーロ(約1170円)程度。この中に、上で挙げた数々のおでかけ代が含まれているのですから、非常にリーズナブルな設定です。それもあり、フランスでは多くの子どもたちが、このヴァカンス学校のお世話になっています。

その2 Junior & Cie ~ ひとり旅でおじいちゃんおばあちゃんのところへ

フランスの子どもたちは、両親がともに働いている環境に慣れているためか、親と離れて寝泊まりすることに寛容です。「夏休みは〇週間、おじいちゃんおばあちゃんの家で過ごす」という話もよく聞きます。

そんなときにお役立ちなのが、フランス国鉄のSNCFが行っている列車サービス「Junior & Cie」。これは、子どもたちだけの電車の旅をサポートするサービスで、4~14歳の子どもが利用できます。

たとえば、出発地では親が見送り、到着地ではおじいちゃんが出迎え、という形で申し込み、電車に乗るのは子どもだけ。車両内では、Junior & Cie専属の引率者が、ゲームなどをして、子どもたちの旅を盛り上げてくれるのだそうです。親は仕事を休まずに、子どもを安全に帰省させられるという、至れり尽くせりのサービスです。

※「Junior & Cie」の紹介動画

その3 パパとママとは別荘でのんびりと

子どもたちは、夏休みの半分強を上記のようなサービスを利用して過ごしますが、残りの数週間は親と一緒に過ごします。そう、フランスでは、子どものみならず、大人の夏休みも長いのです! 最低でも2週間~3週間くらい取るのが一般的です。実家に帰省したり、ビーチリゾートに行ったりするファミリーもいますが、別荘組も多いようです。

日本では「別荘」というと、お金にも時間にも余裕があるごく限られた人の贅沢というイメージですよね。でもフランスでは、そうではないようです。フランス人の別荘保有率はかなり高く、パリでは約6割の人が、郊外に何らかの別荘を持っているのだとか

たしかに筆者がフランスに住んでいたとき、知人友人が口々に、「南仏にあるセカンドハウスに…」とか、「家族が代々使っている別荘がブルターニュにあって…」と言っていて、「フランス人はみんな別荘を持っている」と感じたのを覚えています。「別荘」の位置づけが日本とは明らかに違うのです。

年間5週間ある有給を全て消化することを考えれば、別荘は賢いチョイスなのでしょう。そこでは、家族みんなで、ただひたすらのんびり過ごすのだそうです。

ヴァカンス最優先のフランス

このようにフランスの子どもたちは、夏の間、活動のエリアを大きく広げ、遊び中心の日々を過ごします。日本の子どもたちの夏休みとはだいぶ違いますね。フランスと日本では、「休暇のあり方」が全く異なるのですが、それが子どもたちの夏休みにも関わっているような気がします。

日本人は、「これまでの頑張りへのごほうび」「これから頑張るためのリフレッシュ」として数日の休暇を取りますが、フランス人は逆で「遊ぶために働く」と考えています。「仕事はヴァカンスを楽しむためにするもの」と位置づけているのです。

日本人の勤勉ぶりを話すと、「何のためにそんなに働いているの?」と必ず聞かれます。「ヴァカンスありきの人生」と考えるフランス人には、日本人の勤勉さは理解しがたいようで……。

フランスの哲学者・モンテーニュが、かつてこう言ったそうです。「Les voyages forment la jeunesse. 旅が若者を鍛える」。まさに「可愛い子には旅をさせよ」というわけです。「子どもたちは、小さい頃から積極的に外に出し、色々な体験をさせた方がよい」という考えが、フランスの夏休みの根底にあるのでしょう。

著者プロフィール

ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰。
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:http://megumi-sato.com/

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