雙葉小学校に合格する子どもと家庭の特徴と受験対策を解説!【女子難関校】

雙葉小学校は、東京都千代田区にある幼稚園から中高までを併設するカトリックの女子一貫校で、小学校受験における女子難関校の1つとされています。今回はこれまで雙葉小学校への合格を導いてきた、伸芽会の麻生尚子先生に、雙葉小学校に合格する子や家庭の特徴、対策のポイントをお聞きしました。
目次
雙葉小学校の特徴
__雙葉小学校とは?
雙葉小学校は、1909年(明治42年)、初代校長である修道女メール・セン・テレーズが築地明石町に設立したカトリックの女子校です。
校訓に“徳に於いては純真に、義務に於いては堅実に”(神様と人の前に素直で表裏のないさわやかな品性を備え、やるべきことを誠実にやりぬく強さを持つように)を掲げ、毎日のお祈りを大切にしています。
幼稚園から中高までを併設しており、国内には、田園調布雙葉、横浜雙葉、静岡雙葉、福岡雙葉、サン・モール・インターナショナルスクールの他、シンガポールやマレーシアにも姉妹校があります 。また、細部にまで思いが込められた校章は雙葉学園で共通となっており、世界中の姉妹校の生徒が胸につけています。
「十字架」(キリスト教精神にもとづく学校)、
「開かれた聖書」(真理の光)、
「ロザリオ」(祈り)、
「糸巻き」(勤労)、
「白いマーガレットの花」(清純)、
中央の「盾(たて)」と「綬(じゅ)」(こうした教えを盾として困難をのりこえ この精神を誇りとして生きること)、
上下にはフランス語で校訓が書かれています。
__関東近郊で受けられる田園調布雙葉、横浜雙葉ではどのような違いがありますか?
同じ雙葉学園で理念は同じですが、田園調布雙葉は中学からの募集がなく、幼稚園、または小学校で入学しなければその先の上位校の学びを得ることはできません。中学校受験組が途中から入ってこない環境ですので、3校の中でもおっとりしたイメージがあります。
また四谷にある雙葉と横浜雙葉は中学校から新たに仲間が加わる環境です。学業面での切磋琢磨する環境は田園調布雙葉とは雰囲気が違います。あとは立地と定員数で倍率が違ってきます。この観点から鑑みても、考査の内容に違いがあるのは納得です。
四谷の雙葉と横浜雙葉はペーパーの難問も出題されています。2校に比べ、田園調布雙葉はそこまでの難問は出題されず、じっくりとお子さまのようすを見る課題が多くあります。
学校生活の中でも3校が交わって一緒に活動することはほとんどなく、聖歌隊などの特別な取り組みで関わることはありますが、それぞれが独立し、学校生活を送っています。
__雙葉小学校の教育の特色とは?
カトリックの精神に基づき、「祈る心のある子ども」「思いやりのある子ども」「実行力のある子ども」を育てることを目指しており、
・自らよく考え実行していくこと
・互いの意見を伝え合い尊重しながら探求していくこと
・どんな小さな役割であっても誠実に心を込めて果たしていくこと
・互いに思いやり助け合うこと
を大切にしています。
雙葉小学校に合格する子どもの特徴
__雙葉小学校に合格する子の特徴を教えてください。
募集人数は40名と少なく、倍率も高い人気校ですから、“なんでもしっかりできる優等生タイプの女の子”と思われるかもしれません。
もちろん、「身の回りのことを自分でできる」「お話をよく聞いて行動できる」「思いやりがある」といった特徴は名門女子校と呼ばれる学校はどこも共通ですが、それに加えて雙葉小学校に合格する子たちには、
・行動観察で節度を保ちながら子どもらしく遊べる子
・周りの子と一緒に活動することに喜びを感じられる子
といった“子どもらしく素直”という印象です。
ペーパーテスト、手先の活動、行動観察、面接がどれもバランスよくできる子が合格しています。
周りの子を上手に巻き込み、「私が!」とぐいぐい引っ張るのではなく、周りを見ながら困っている子に声を掛けながら自然と一緒に楽しめるといった思いやりのある行動力があるのです。
・自主性のある子
キリスト教教育の基盤は、「人のために自分を生かす」ということです。他人の役に立つにはまず、自分の身の回りのことは自分でできなくてはなりません。
そのため、雙葉小学校では自習計画を自分で立てるといった「考えて行動する力」や「自立心」を育んでいきます。裏を返せば、指示待ちの受け身な子は求めていないということです。
__雙葉小学校らしいエピソードがあれば教えてください
ある雙葉中学校の生徒さんが、駅で迷子になったおばあさんのサポートをして学校にお礼のご連絡があったときに、親御さんに「褒めてほしい」ではなくて、「いいことができた達成感」を話したそうです。
これはまさに雙葉小学校での教育の賜物だなと感心しました。
雙葉小学校の女の子(小1)が、テレビの国会中継で政治家の野次を見て「人の話を最後まで聞けないのはよくないね。
この人たちは伸芽会で教えてもらえばいいのに!」と保護者様に話してきたことがあったそうです。子どもなりの善悪や、人と話をするときに思いやりを持つことが根付いていてうれしかったというお話を伺ったことがあります。
テレビの中のことも他人事ではなく正義感を持ってピュアに物事を受け止められる姿勢も、雙葉小学校らしいなと感じました。
雙葉小学校に合格する家庭の特徴
__雙葉小学校に合格する家庭の特徴を教えてください。
まず、「身内に出身者がいないと不利なのでしょうか?」と心配される親御さんもいらっしゃいますが、伸芽会で指導し合格されたお子さまのほとんどは、出身者などではないご家庭です。その上でご家庭の特徴を申しますと、
・家庭学習においてもスケジュールをきちんと把握して準備ができる計画性がある
・わが子を別人格として扱いつつも、その子のよさを受け止められるおおらかさがある
・華美ではなく、校訓の「堅実さ」「真面目さ」「素直さ」が会話や見た目からも感じられる
・親子の心が触れ合う(コミュニケーションを取る)機会が多い
といった印象があります。
加えて、「わが子がよければすべてよし」ではなくて、他の子も自分の子のように考えられる(気配りができる)親御さんが多いと感じます。雙葉小学校では、説明会で必ず配布される「親の祈り」という聖書の一節があります。
・子どもの言うことをよく聞いてやり、心の疑問に親切に答え、子どもをよく理解する私にしてください
・理由なく子どもの心を傷つけることのないようにお助けください
といった「親としてこういう親であってほしい」という、まさしく学校が求める保護者像です。とても素敵な言葉なので、ぜひチェックしてみてください。
雙葉小学校の入試対策
__雙葉小学校の入試について教えてください。
雙葉小学校の考査は2日間あり、
1日目:ペーパー6枚、巧緻性1つ(1時間以内)
2日目:行動観察40分、面接(7分程度)
となっています。それぞれの特徴は以下の通りです。
【ペーパー試験】
雙葉小学校のペーパー試験は、時間が短く、出題数も比較的少ないのが特徴です。テスターから発せられる設問はシンプルな言い回しで、大人の話し言葉で伝えられたりします。
そのため、伸芽会の雙葉小学校向けクラスでは、基礎力を定着させ、幅広い出題になれること、夏前からは解答の正確さを意識するための見直しの徹底や、時間内で終われるように判断力を伸ばせることにも重点を置いたことに重点を置いたペーパー対策をしています(実際の考査ではすべて終わらなかったというお子さまでも合格することがあります。
それはその問題の難易度と、先にも述べたような、考査全体でのバランスがあげられるでしょう)。また、必ずと言っていいほど「話の記憶」が出題されるため、話の理解力、一度で指示を聞き取る注意力を養うことにも力を入れています。
【集団テスト】
集団テストの中の行動観察では、道具を与えて好きに遊ばせる「自由遊び」を取り入れていたり、遊び道具が用意されている中でテスターの指示を聞きその通りに遊ぶなどの課題があります。
初めてのお友だちと一緒に遊ぶ経験を通じて、「他者を認める」「寛容の気持ち」「思いやりの心」を見ています。
そのほか、ひも結びや箸使い、クリップ止めなど生活力や巧緻性を問う問題も出題されることがあるので、日頃から自分のことは自分でやる意識と実行力を持たせ、大人がやり直さなくてもいいレベルでの手伝いができるなど、お手伝いの質にもこだわるといいでしょう。
【面接】
7分と時間が短いため、家庭の関わりを見る質問や簡単なゲーム(動物の絵柄の神経衰弱や、お題を与えて家族で相談するなど)が出題されます。
近年は、同日に試験が行われる白百合学園小学校の入試時間が短くなったことで、併願者が増えています。
お子さまの名前や生年月日にもよってきますが、午前に白百合学園小学校、午後に雙葉小学校と日本女子大学附属豊明小学校といった名門女子校3校を受験する子もいるほどです。
家庭学習で気をつけたいポイント
__雙葉小学校を受験する場合の家庭学習で気をつけたいポイントを教えてください。
ペーパー対策や行動観察の対策はもちろんですが、キリスト教の学校の対策としてぜひお伝えしたいのは、日頃からご両親が思いやりのある行動を示していることが大事です。
家庭内でも感謝の言葉がたくさん交わされていますか? また積極的に困っている人に関わる姿を見せていますか?
たとえば「バスで席を譲る」「困っているお年寄りを助ける」「地域のボランティアに参加する」など、人のために行動できる姿をわが子に示すことで、学校が求める家庭像に近づくはずです。
また、面接で志望理由などは聞かれない分、願書と一緒に提出する参考表のボリュームがとても多いので、早めに対策することが大切です。
「学校への思い」「わが家で大事にしている教育方針」「わが子のこと」を謙虚な気持ちで伝わるようにまとめるのは簡単なことではありません。伸芽会では年長の春くらいから準備を開始し、8月に提出してもらって添削を行っています。
・その他の名門女子校の特徴やメリットはこちらの記事をご覧ください。
『雙葉小学校、白百合学園小学校、聖心女子学院初等科…… 女子難関校に合格するにはどんな準備をすればいい?』

「小学校受験の難易度とは?」第3回「女子校編」
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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