「小学校受験の難易度とは?」第3回「女子校編」

「小学校受験の難易度とは?」第3回「女子校編」

「小学校受験の難易度」というテーマでお送りしているシリーズ。第3回となる今回は、女子の私立小学校における難易度について。伸芽会教育研究所の麻生先生にお話を伺いました。

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女子校は生活習慣で求められるレベルが男子よりも高い!

__小学校受験において、女子は男子とどのような点が違うのでしょうか?
性差の特性もあるのか、比較的女児は言葉の理解も早いように思います。ですから、一般的な小学校2年生くらいの言語力が身につけられるように指導の中でも意識をしています。想いを伝える力、大人とのスムーズな対話が安定的にできるお子さんは女子の上位校へもしっかり対応できています。

__女子校の入試ではどのようなことが問われますか?
女子校では、コミュニケーション力を重んじる傾向が強いため、行動観察でも、競い合う課題より、協力する、仲良く遊ぶという課題の方が多い傾向にあります。試験でもTPOに合わせた行動や伝え方が問われることが多いです。また、生活習慣の求められるレベルが男子よりも高いと言えます。例えば、よく主題されるお箸の持ち方以外にも、食器が置いてある状態で、「普段のお家の食卓の並べ方になるように置いてください」といった課題もありました(白百合学園小学校)。

また、ちょう結びの課題をみても、立教女学院小学校ではエプロンの後ろでちょう結びをする課題が頻出されています。女の子の方が、男の子よりも大人の真似を早くやりたがる傾向があるため、よくお手伝いをさせることも重要です。出題する学校側としては、こうした課題を通して、家庭での様子を見たいのです。

女子ならではの特徴に高い語彙力もあります。例えば、雙葉小学校では、ペーパーのしりとり課題の絵の一部に「井戸」の絵が使われていたことがあります。年長さんにとってはかなり難易度が高く、男子の出題では、これまで聞いたことがないと思います。
とはいえ、大事なのは井戸などの昔の道具を教えることではなくて、絵本の昔話や、水道に関する会話といった普段の生活の中で、視野を広げる会話がある家庭かどうかなのです。常識の問題でもお花の季節を問う課題の中で、学校名にもあるようなユリなど少し馴染みの少ない花の種類の絵が出てくるのも女子校ならではだと言えるでしょう。

女子でペーパーが強い子の特徴

__ペーパー試験が強い女の子には、どのような特徴がありますか?
先述した通り、女の子は言語力が高いので、常識問題は強い子が多いです。だからこそ、そこで失点しないかが合格の鍵となります。一方で、数量、構成、推理・思考といった課題は、苦手意識を持つ子も多いかもしれません。注意深く見る観察力はあるのですが、図形やパズルといった課題を苦手とする女の子は、男子に比べると比較的多いと感じます。
幼児期の遊びを聞くと、女の子はどうしてもおままごとや塗り絵などが多くなりがちですが、ブロックやレゴなどでよく遊んでいた子は、女の子でも図形が強い印象がありますね。こうした差がつきやすい問題を強みにしておくのは合格への近道になると思います。
こういうお話をすると、一生懸命、図形の遊びや課題をやらせようとする親御さんがいらっしゃいますが、女の子はとても敏感なので、そんな親の気持ちを見抜いて、たくさんやらせようとするとかえって苦手意識を植え付ける場合もあります。あくまでバランス良く、苦手な分野のプリントは1枚だけプラスして、基礎基本や易しい問題をしっかり取れるようにしておくといいでしょう。

女の子の生活習慣の目安

__小学校受験を視野に入れたご家庭で、この時期までにこんなことができるといいといった、女の子の家庭学習の目安があれば教えてください

女子校で重んじられる生活習慣は毎日の積み重ねですから一朝一夕でできるものではありません。例えば、お箸の持ち方などは間違った持ち方が癖になると直すのがとても大変ですから2、3歳のスタート時が大事になってきます。一緒に食事をとる保護者の方が正しい持ち方ができていないケースもありますから、お子さんが真似しても恥ずかしくないよう改善しておくといいでしょう。

お手伝いのレベルも、男の子に比べ総じて丁寧な作業が得意な女の子には、質にもこだわってほしいですね。洗濯物をたたむ、整理してしまうことが自然にできる雰囲気を作り、最終的には年長でたたみ直しが必要ない状態までできるのが理想です。入試でも「この箱に入るようにたたんでください」という課題もでたことがあります。

ひも結びでは、年長に上がる春にはしっかりとしたちょう結びができるといいですね。それができたら、首飾りにできるような緩みのあるちょう結び、はちまき、お腹や背面でのエプロンのちょう結びなど、発展系もできるようにしましょう。

女子のモチベーションを上げるコツ

__女子のモチベーションをあげるコツはありますか?
変化に敏感な女の子は、親御さんのちょっとした言い方や表情で気持ちが折れてしまうこともあります。例えば、お手伝いで洗濯物をたたんでくれたら、まずは「ありがとう、助かったわ」を忘れずに。その上で、直してほしい箇所がある場合は、「これだけもう1回やってくれる?」などと伝えましょう。
伸芽会の女子校クラスでも意識していることですが、女の子に関しては、具体的に褒め
たり変化を褒めることがポイントです。男子は「すごい!かっこいい!さすが」で頑張れる子もいますが、女の子はそうはいきません。
「この○の形がとっても綺麗」「今日は姿勢が崩れなくてすごいね」など、何が良かったか、ちゃんと見ていることが伝わる褒め方をすると、女の子は伸びます。

また、女の子の完璧主義者は、褒めても納得しないような場面もあります。その場合は、褒めた後に「○○ちゃんもすごいと思わない?」などと声をかけ、その子にも自分を認めさせる言葉を引き出すようにしています。
ちょっと失敗したり腑に落ちない子の気持ちを引き出してあげることで、「これくらいなら気にしなくて大丈夫」と思える練習をしていきましょう。
完璧主義だと小学校に入学してからも苦しくなってしまいますから、幼児期のうちに
大らかな心を育んでいきたいですね。

女子校を選ぶ際に意識したいこと

__女子の志望校選びの注意点はどんなことがありますか?
まず一番は教育理念を明確にすることです。そして、絶対に女子校がいいのか、共学でもいいのかを決めていきましょう。日程に関しては、コロナ以降、例えば白百合学園小学校は考査の拘束時間が3時間から1時間程度に短縮したことで、1日に複数校受けることも可能になったお子さまもいました。また、これは男女ともに言えることですが、試験の順番が誕生日順や受付順、五十音順などがあるので、よくチェックしてみると、受けられる学校が広がることがあります。また、立教女学院小学校、東洋英和女学院小学部などプロテスタント系の学校は、教会への礼拝の関係で日曜に考査はありません。その場合、例年のスケジュール通りにはいきませんので、注意が必要です。

__女子校の面接で注意することはありますか?
親子の関わりをよく見たい女子校では、ご両親と娘さんが同席する親子面接がほとんどです。例えば、「お互いの好きなところを1分で相談してして発表してください」といった質問や、「お父さんが子どもの頃の誕生日で思い出に残って残っていることはなんですか? 今の話を聞いてあなたはどう思いますか」といった質問もあります。
用意した答えではなくて、普段の家族の会話の様子や雰囲気を見たいのです。女子校を目指すご家庭は、家庭での会話の時間や内容もぜひ意識してくださいね。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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