「子どもとの接し方」に悩む親が急増中!年齢別の対象法をアドバイス

「子どもとの接し方」に悩む親が急増中!年齢別の対象法をアドバイス

これまで数多くのご相談に乗ってきて感じているのが、親側の悩みをひと言で言うなら、「接し方が難しい、わからない」に集約できるかもしれないということ。そこで今回は、接し方の基本的な考え方や、年齢別のポイントなどを改めて見ていきたいと思います。

日経DUAL記事

子どもの接し方で悩んでいる人は多い

私の相談室でよく聞くのが、
「子どもの望みをどこまで受け入れたらいいか、本当に迷う」
「世の中の育児情報、色々あり過ぎて何を信頼していいのかわからない」
「こうしたいと思っていても、実際にそうできなくて落ち込む」
「自分が甘えさせてもらえなかったから、お手本がなくて戸惑う」
「ほめた方がいいとわかっていてもほめられない」
「よくない叱り方だとわかっていても毎回同じことを繰り返している」

このようなお悩みです。日々のさまざまな場面での“さじ加減”が難しく、「どう接するのが正解なのか」と迷ってしまう方が多いと感じています。

基本的な接し方5つのポイント

子育てにおける接し方のポイントを場面ごとに挙げたら、ものすごい量になってしまうと思うので、ここではその中の本当に大事な土台部分についてお伝えしていきます。これらを意識的に取り入れることで親子関係が円滑になると、日々の回りがよくなりますので、ぜひ試してみてください。

ポイント1 子どもの興味に興味を持つ
その子の目線が注がれるものに親が関心を持つことは、親子間のコミュニケーションを円滑にします。たとえば、人気のキャラクターや好きなテレビ番組、はまっているおもちゃなど。本音を言えば、「実際にはあまり関心がないんだよなぁ」というものもあるかもしれませんが、「そうなの!?」「教えて!」という姿勢で向き合えると理想的です。

ポイント2 子どもからの話題に乗る
コミュニケーションをたくさんしているつもりでも、実際に見てみると、親が子どもに訊いてばかりということがあります。「今日どうだった?」「誰と遊んだの?」「楽しかった?」などですね。これらの会話は親が先導する形のため、子どものノリが悪いこともよくあります。「どうして話が盛り上がらないんだろう?」と悩んだら、会話の流れが、子どもの方から出したトピックに乗る形になっているかどうかを振り返ってみてください。

ポイント3 とにかく遊ぶ
日ごろ仕事で忙しく、「子どもと接する時間自体が少ない」「その貴重な時間をどう過ごすべきか悩む」、こんなときは、細かいことはいったん横に置き、とにかく一緒に遊びましょう。遊びには子どもとの関係を強くする要素がぎゅうぎゅうに詰まっています。1日15分でもいいので、“わが家恒例の○○をする時間”を作り、毎日濃く遊ぶというような継続的な関わりがおすすめです。

ポイント4 1人の人間としてリスペクトする 
子育てに必死になるあまり、「ああしたい」「こうしたい」があふれてしまい、親の思い通りにならないことにイライラしてしまうこと、ありますよね。子どもは親の人生を彩る大きな存在ですが、親の人生そのものではありません。子どもには子どもの人生があるということを忘れずに、1人の人間として尊重をしていきましょう。

ポイント5 もし自分だったらの目線で考える
子どもの気になる行動を注意したり、叱ったりするときに、「どう言ったらいいんだろう」と悩んでしまうことはだれでもあります。そんなとき、立場を逆転して、「自分だったらどう注意されたいか」を考えてみると、いい対応が見つかることがよくあります。「親としてどうすべきか」という方向性で考えると、つい厳しい言い方をしたり、感情的になってしまったり、挙句の果てには子どもが反抗し親子げんかになってしまったり……。これでは解決からはどんどん離れていってしまうので、「自分がこの子の立場だったら」と逆転し、かどの立たない言い方、モチベーションの高まる声かけを見つけてみてください。

年齢別、接し方で意識したいこと!

ここまでは総合的な接し方のポイントをお伝えしましたが、ここからは年齢ごとの発達変化に触れ、親として心がけたい点を見ていきます。

◎0歳代:赤ちゃんへの応答感受性を高めよう
赤ちゃん時代はまだ自分で動けないため、何か訴えたいことがあるときは、親に来てもらわなくてはいけません。「自分はちゃんと見てもらっている」という実感を得られるように親が動くことが非常に重要な時期です。それにより、「自分は価値ある存在なんだ」「この人(ママ、パパ)は信頼できる」というような社会で健全に生きていく上での基礎的な感覚が備わってきます。赤ちゃんが発するものに対し、どれだけ周囲が反応よくリアクションできているかを指す「応答感受性」を高めていきましょう。

◎3歳くらいまで:イヤイヤ期でもダメなものはダメ!
赤ちゃん期を抜けると、自我が急成長する時期に入ります。いわゆる“イヤイヤ期”です。自分の主張や欲求を強く出してくることが多いので、親が「大変だ」と感じやすい年頃でもあります。この時期の接し方でよく見られるのが、「自我の成長なのだから受け止めてあげなくては!」と子どもの要求を受け入れ過ぎてしまうというもの。結果的に我慢すべきポイントで我慢する機会がないまま成長すると、気持ちの抑制が苦手になってしまいかねません。ダメなものをダメと言うのは、イヤイヤ期であっても必要です。何でも受け入れることが自我の成長にいいというわけではないので、メリハリを持って対応し、少しでも我慢ができたら、そこをしっかりほめていってあげてください。

◎幼稚園期:感情の揺れが起きる時期と心得ておこう
こちらの記事(https://www.shinga-farm.com/parenting/trouble-at-age-of-four/)で詳しく触れていますが、4歳あたりでまた一波乱を感じるご家庭は多いものです。脳の急成長により感情の揺れが増えることがあり、親から見ると、「気分が変わりやすい」「イライラしている」「できていたものができなくなった」と感じやすいようです。成長に伴う変化ながら、親の目には「前よりひどくなったかも」と映るため、成長が逆行していると感じることすらあります。しかし、体の内部の変化は心の状態に影響を及ぼすものなのです。私たち女性も、ホルモンバランスが揺らぐことで、わけもなくイライラしたり、気分が沈んだりすることはありますよね。この時期の子を見たままで判断すると、親はイライラしてしまうこともあるので、「成長ゆえの揺れ」という理解を持って、日々接することも大事なポイントでしょう。

◎小学校半ばまで:もう小学生だから、は要注意!
小学校に入ると親と離れて過ごす時間が増え、「しっかりしてきたな」と感じる場面も多くなりますが、実際にはまだまだ甘えたい時期。親が「もう小学生だから」と無意識に子育てに一区切りをつけてしまい、子どもからの甘えのサインを見逃してしまうと、結果的にそれが元でトラブルになることがあるので注意していきましょう。一緒にいる時間が減ってきているからこそ、上で触れた基礎的なポイントを意識的に取り入れていくといいと思います。とくに、「訊く」よりも「聴く」の姿勢で、日々のたわいもない話を大切にできると理想的です。

◎小学校後半:思春期前に親子のいい関係性を構築しておこう
小学校半ばを過ぎると、物事を客観的に見る力が伸びてきて、大人の思考に近づきます。それにより、悩みも増えてくる時期。人と比べたり、違いが気になったりする中で、友達関係が複雑になってきたり、自らの立ち位置を考えたりと、心の動きも大きくなりがちです。早い子は思春期の傾向が現れ、親と距離を置いたり、反抗が激しくなる子も。その現れ方は個人差が大きいですが、できる限りのコミュニケーションを取ることはとても大事です。思春期に入ってしまうと、自分ひとりの世界、友だちとの世界が大きくなり、親からすると「距離ができたな」と感じることが増えるので、できる限りその前の段階で良い関係性を構築しておきましょう。基礎的なポイントの中の「とにかく遊ぶ」は当てはまらないかもしれませんが、それ以外の4つのポイントがより重要になってくるでしょう。

子育てにおける本当の「優しさ」とは何なのか

最後になりますが、多くの方が接し方で悩む背景には、「優しいママ・パパ」への囚われがあるようにも感じています。

優しいママなら、
「子どもの思いを全部くみ取ってあげる」
「朝から晩までのすべての時間を満たしてあげる」
「いつも笑顔で接し、叱らない」

このような自分なりにイメージする「優しいママ・パパ」があって、それを「接し方の信念」にしている人は多いように思います。

しかし、子どもの思いを全部くみ取ってあげる育児だと、ある程度の年齢になって、「手に負えなくなってしまった」と悩んでいる方が多いのも実情です。

「子育てにおいて、何が優しさなのか」を考えたとき、もっと長い視点も必要だと私は考えています。
その子が将来的に困らない術(すべ)を伝えていくこと、これが真の優しさではないでしょうか。

「今、目の前で訴えてくる子どもの欲求に応えてあげるのが優しさなのか」
「それとも今は毅然に対応する方が優しさなのか」

今自分が取ろうとしている対応が、その子の10年後、20年後に役立っているかという視点はとても重要だと思っています。今は毅然と対応することがその子の将来につながる場面もたくさんあるので、ぜひ接し方のヒントに加えてみてください。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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