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「小1プロブレム」にならないために知りたい、原因と親ができる7つの対策

「小1プロブレム」にならないために知りたい、原因と親ができる7つの対策

今春、小学校入学を迎えられるご家庭では、入学式を楽しみに待たれていることと思います。ですが期待と喜びの中に、少し不安を感じている方も少なくないでしょう。

「小1プロブレム」という言葉をご存知でしょうか? これは小学校へ入学したばかりの1年生が、集団行動が取れない、授業中、椅子に座っていられないなど、小学校の生活に、なかなか馴染めない状態が数ヵ月継続する状態を言います。

これまでは、1カ月程度で落ち着いていたのですが、昨今これが継続するようになり、授業が成立しない状況が続くこともあるようです。今回はそんな「小1プロブレム」について原因や今からできることをお伝えします。

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「小1プロブレム」の主な原因

授業が成立しないような状況が続くことは、とても心配ですよね。では、なぜ「小1プロブレム」というような問題が起きるようになったのでしょうか。その主な原因を次にお伝えします。

その1 保育園・幼稚園・こども園と小学校の大きな環境の変化

就学前まで通っていた保育園では、家庭養育の補完を目的としています。また幼稚園では、5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)を中心とした教育がなされています。それが小学校では、小学校学習指導要領に基づき、各教科の授業が行われます。

当然、登校してからの過ごし方は、今までと違い、小学校では決められた席について、授業を受けます。45分間、椅子に座っていることが難しく、途中で立ち歩いたりする子どももいるでしょう。こうした、入学後の変化する環境に馴染めないことが原因のひとつと言われています。

その2 小学校で求められる“自分で行動する力”

小学校では、先生が次の行動を声掛けしないことが増えてきます。

今までは、次の行動を丁寧に先生が説明し、声を掛けていたのが、入学後はチャイムに合わせ、自分で行動するようになります。次の行動に戸惑うことから、集団行動に遅れてしまう子どももいるようです。

その3 集団行動が苦手な子の増加

また、昔と違って、最近は子どもの遊び方も変わってきました。ゲーム機の普及により、「群れて遊ぶ」ことが少なくなり、友達とコミュニケーションをとる機会が減ってきています。

核家族化で祖父母との関わりが減り、少子化で兄弟も少なく、コミュニケーションの取り方を学ぶ機会が減ってきています。そのような理由からも集団行動が苦手な子どもが増えているとも言えるでしょう。

そして、もう一つの理由として、「家庭における親のしつけが十分でない」という問題。就学前の幼児教育との連携に加え、家庭におけるしつけが注目されています。

幼小連携の問題に関しては「子どもの状況を幼小が共有するなど、学校間の連携協力が不可欠」と、文科省が取り組みを行なっています。

では、家庭で親はどのように子どもに関わっていけばよいのでしょうか。次に大切なことを7つにまとめました。

「小1プロブレム」にならないために、家庭で親ができる7つの大切なこと

1、基本的生活習慣は、一人でできるようにする

給食を食べる、体操服に着替える、トイレへ行く、身の回りの整理整頓をするなど…。このような基本的な生活習慣は、一人でできるように、就学前に家庭で練習をしておきましょう。

2、時間を感覚的に覚える

小学校では、自分で時計を見て行動したり、先生も時刻を指して、指示することが多くなります。時計の読み方は小学校の算数の授業で習いますが、それまでに大まかな時刻の読み方と、時間の長さを感覚で身につけておくと、小学校での集団生活へスムーズに移行しやすいでしょう。

そのためには、親が、時計を見て「今は、6時ね、夕食にしましょう」と会話の中に時刻を入れたり、子どもの目につきやすい所へ、アナログ時計を置いておくとよいでしょう。

3、マナーを意識して、身につけていく

電車に乗った時は騒がない、横断歩道を渡る時は信号を守る、病院の待合室などでは静かにするなど、社会のルールやマナーを教えましょう。日常生活の中で、その時々の場面にあった言葉掛けをし、親がお手本となるようにしていくことが大切です。

4、少しずつイスに座る練習をする

絵本読みやぬりえなど、子どもの好きなことをする時、机に向かい、少しずつ椅子に座って取り組むようにしましょう。 

5、相手の気持ちを理解していくような言葉掛けをする

いろいろな人とコミュニケーションを取る機会を作ってあげるといいですね。そして人間関係を円滑にするため、自分がされてイヤな事は人にはしない、など言葉掛けをしておきましょう。

6、さまざまなことに興味関心を持つ

「学ぶ」ことの楽しさを感じていると、先生の話も積極的に聴くことができるでしょう。入学までに多くの体験をさせ、子どもの「なぜ?」「どうして?」を大切にし、さまざまなことに興味関心を持たせてあげるとよいでしょう。

7、自分で考え行動する場面を増やす

就学前までは、どうしても親が指示する場面が多くあります。ですが、小さなことからでいいので、子ども自身に考えさせ、判断せる機会を作って行きましょう。

小1プロブレムもアクティブラーニングも学校、地域、家庭が連携して取り組むべき

文科省は、2020年の小学校学習指導要領の改訂に伴い、能動的に学ぶ「アクティブラーニング」を大きく打ち出しています。

知識を学ぶだけでなく、それをどのように活用するかを考え、「何のために勉強をするのか」という意識を持ち、アクティブラーニング(主体的、対話的で深い学び)の方法で授業は行われ、生涯、能動的(アクティブ)に学び(ラーニング)続けることを目指します。

小1プロブレムを発生させないことと、このアクティブラーニングを実践していくポイントには、通じるところがあるでしょう。

子ども自身が、小学校での学びに興味を持ち、その楽しさを知り、自ら学ぶ姿勢は、授業を受ける態度や集団行動の必要性にも気づきを与えます。そうすることで自然と小1プロブレムの発生は減少していくでしょう。

ただ、それは学校だけに任せるのではなく地域、家庭、全てが連携しあっていく必要があります。ぜひ、「家庭でできる7つの大切なこと」を子どもに対し、アクティブに取り組んでみてください。

参考資料
・幼児期の教育と小学校教育の接続について (文部科学省)

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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