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【海外の女性活躍事例3イギリス】バツ1米国人女優が”情熱を注いだあるモノ”で王室への一員を果たした軌跡

【海外の女性活躍事例3イギリス】バツ1米国人女優が”情熱を注いだあるモノ”で王室への一員を果たした軌跡

「海外の女性活躍事例」第3回目はイギリスからです。今回は女優であり平等を掲げた慈善活動家ながら、王室に迎えられたメーガン・マークル(以下マークル )についてご紹介したいと思います。

5月に英国ウィンザーでハリー王子との華やかなロイヤルウェディングが執り行われ、サセックス公爵夫人となったマークル。ロイヤルファミリーとしては異例とも思えるバックグラウンドを持ちながらも、王室の一員に迎えられたマークルが受けた教育とその素養や魅力に迫ってみましょう。

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LAの裕福な家庭にミックスとして生まれ多感な幼少期を過ごす

欧米ではそのエキゾチックな容姿と華やかなファッションとともに、今までの王妃像とは異なる生い立ち、”人種的にミックスであること”、”アメリカ人女優であること”、”離婚経験者であること”などに注目されたマークル。

マークルは1981年アフリカ系の母とオランダ・アイルランド系の父のもとに生まれ、LAの「ウッドランドヒルズ」という経済的に恵まれた環境で育ちました

父はエミー賞を受賞した照明監督で、母はヨガのインストラクター・ソーシャルワーカーで精神疾患を持つ人々のケアをしていました。

この当時のアメリカでは、まだ白人男性と黒人女性の結婚は珍しく、高級住宅街で暮らす母ドリアは、マークルのベビーシッターに間違えられることも何度かあったのだそう。

マークルに自分の多様性を大事にするよう説いた両親は6歳のときに離婚、しかし離婚後も父トーマスとの交流は続きました。

ヒラリー・クリントンに手紙を書いた11歳の少女

幼い頃から自分のアイデンティティを感じながら過ごしたマークル、彼女の社会的素養を示す”あるエピソード”があります。

マークルが小学校の授業で「アメリカ中の“女性”が脂まみれのお鍋やフライパンと格闘中」という大手食器用洗剤のCMを視聴したときのこと。そのキャッチコピーに強い不快感を覚え、「女はキッチンにいるべきだ」とからかう男子児童の言葉に傷ついたマークルは父に相談。

父のアドバイスを受け、11歳の少女は立ち上がりました。「社会的に影響力がある女性は、誰だろう?」

販売元の大手メーカー・子ども向けニュース番組の女性キャスター・女性弁護士・そして当時のファーストレディであった”ヒラリー・クリントン”にまで宛て、CMが性差別であるという抗議の手紙を書いたのです。

マークルの熱意が届き、キャスター、弁護士、そして驚くべきことになんとヒラリー・クリントンからも激励の返事を受け取り、さらには例のCMにある変化が…。「アメリカ中の“人々”が脂まみれのお鍋やフライパンと格闘中」と、キャッチコピーが差し替えられたのです!

こうして、知らず知らずのうちに11歳の若さでフェミニストとしての一歩を踏み出したマークル。子どもの頃から差別について高い意識を持つに至ったのは、マークルの置かれた家庭環境や、両親による教育が大きな比重を締めていたことは間違いないでしょう。

その後、マークルは世界の大学ランキングでも常にトップ30以上にランクインするノースウェスタン大学に進学し、演劇と国際関係を専攻、「肌の色とアイデンティティ」の研究に取り組みました。

また在学中に女優としてデビューし、アルゼンチンのアメリカ大使館にインターン生として勤務するなど幅広く活躍。そして2011年には、抜擢された法廷ドラマ『スーツ』で女優としてブレークし、同年にLAのテレビプロデューサーと結婚しました。

このように順風満帆かに見えたマークルですが、LAとトロント(『スーツ』の撮影地)という遠距離が災いしたのか、2013年には離婚という結果になってしまいました。

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ハリー王子との出会いに繋がったある活動とは

このような教育と経験のなかで、マークルが一貫して情熱を注いできた”あるモノ”があります。
その”あるモノ”とは一体何でしょうか?

それは「幼いときから感じた人種差別や、11歳のときに目覚めたジェンダー格差をなくすための活動」です。

学生時代にジェンダー平等と女性権利のための国連機構「UNウーマン」に加わり、後に同団体の親善大使に就任、さらに国際NGO「ワールドビジョン」のアンバサダーも務め、ルワンダやインドを訪れました。

こうした慈善活動に尽くすなかでメンタルヘルスケアのチャリティー「Heads Together」を設立するなどしました。

それらの過程で共通の友人を介し、同じ志を持ったハリー王子と2016年7月に出会い、すぐに意気投合。2018年5月、めでたく結ばれたのは周知の通りです。

ロイヤルウェディングでは英国の伝統を覆し、マークルは結婚式入場の前半は男性のエスコートなしで、ジョージ王子やシャーロット王女を始めとするページボーイと花嫁介添人の子どもたちとバージンロードを堂々と歩きました(後半は父の代わりにチャールズ皇太子がエスコート)。

結婚後、更新された英国王室の公式サイトプロフィールにもフェミニストとしての主張が感じられ、これは今までの王室からは考えられない現代的な変化であり、王室がマークルを尊重し、暖かく迎え入れている象徴と言えるでしょう。

先ごろの公務でもエリザベス女王とマークルがにこやかに談笑する姿がキャッチされています。

チャールズ皇太子自身の離婚歴という前例があるのに加え、ハリー王子は王位継承者の第6位(1位チャールズ皇太子、2位ウィリアム王子、3位ジョージ王子、4位シャーロット王女、5位ルイ王子)ということもあり、2人の結婚に関しては寛容な部分もあるようです。

しかし、それ以上にエリザベス女王を始めとする王室が、純粋に愛し合う2人を暖かく見守っているようにも見受けられるのです。

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王室へ新しい風を吹き込むマークル

2015年に開催された国連の国際女性デーのスピーチのなかで、マークルは眼を輝かせながら11歳のときの出来事をこう振り返りました。

「妻は夫と同等であり、姉妹は兄弟と同等です。より優れている訳でも、より劣っている訳でもありません。みんな同等なのです。(CMのキャッチコピーが変わった)その瞬間、私は自ら行動する重要さを知りました。11歳のとき平等の精神について立ち上がったことで、小さなインパクトを与えることができたのです。」

その健康的な美貌や洗練されたファッションからも羨望を集めているマークルですが、ハリー王子と婚約後、人種を超えた結婚、過去を快く思わない人々からの中傷、父の結婚式参列か否かの騒動、異母兄姉との確執などスキャンダルからも注目の的となり、必ずしも世間一般から歓迎された訳ではありませんでした。

しかし、知性と芯の強さ、情熱を兼ね備えたマークルは、そんな逆風も物ともせずに英国王室へ新たな風を吹き込み、今後も慈善活動に従事する良きロールモデルとなりそうです。

出典元:
INDEPENDENT「Meghan Markle outlines fight for feminism and gender equality on royal website」
The Guardian「No Cinderella: Margo Jefferson on the real Meghan Markle」
GLAMOUR「Watch Meghan Markle’s Incredibly Powerful Speech on Gender Equality From 2015」
ELLE girl「ハリー王子&メーガン・マークルの恋愛ドキュメンタリー番組で明らかになった事実10」
The Royal Family「The Duchess of Sussex」

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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