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ぬいぐるみが多い子は不安を抱えているの!? 子ども×ぬいぐるみの心理学的意味とは

ぬいぐるみが多い子は不安を抱えているの!? 子ども×ぬいぐるみの心理学的意味とは

なぜ小さい子はぬいぐるみが好きなのでしょう? 「赤ちゃんだから」「そういうものだから」いえ、これにはきちんとした心理学的な理由があります。幼い頃に可愛がるぬいぐるみの役割について、子育て心理学で解説していきます。

赤ちゃんはなぜフワフワが好き?

「ぬくもり」に関する心理学の研究で、ハーロウ博士の「代理母実験」というものがあります。この実験が行われた当時(今から50年ほど前)は、赤ちゃんがママを求めるのは基礎的な欲求(食欲=おっぱい)を満たしてくれる存在だからという説が強く、この実験はそれを反証するために行われました。

実験の対象になったのは、新生児のアカゲザル。

  • 針金で作った固くて冷たいママザル人形
  • 布で作ったフワフワで温かみのあるママザル人形

を作り、それぞれの胸部にミルクを入れた哺乳瓶を取りつけ、赤ちゃんザルの前に置きました。こうやって、赤ちゃんがママに求めるものは、食欲か否かを検証しようとしたのです。

結果、その子ザルは、ほとんどの時間をフワフワなママザル人形の方にしがみついて過ごしたそうです。そして、フワフワママの哺乳瓶が空になってしまうと、そこにしがみついたまま、上半身だけを針金ママへと伸ばし、ミルクを飲みました。

これにより、子どもがなによりママに求めているのは、「ぬくもり」だと言われるようになったのです。小さい子のフワフワ好きは、この「ぬくもり欲求」から来ていると言えます。

お気に入りのぬいぐるみには心理的な意味がある

これまでに、1~2歳の子が、よれよれのぬいぐるみを肌身離さず持っているのを見たことはありませんか? あれも、この「ぬくもり欲求」と関係しています。

この時期の子どもは、ある特定のぬいぐるみに強い愛着を示すことがあるのですが、このぬいぐるみのことを、心理学では「移行対象」と言います。

今から60年ほど前、イギリスの小児科医ウィニコットが名づけたもので、ぬいぐるみに限らず、ガーゼのハンカチ、毛布、人形なども、よく移行対象になります。

その位置づけは「不安解消材」。子どもたちは、そのぬいぐるみをギュッと抱きしめて、自分の不安感を解消しているのです。

移行対象があるのは普通なの?

ぬいぐるみへの愛着の裏には不安がある……こんなことを聞くと、ぬいぐるみ好きの子のママは心配になるかもしれません。でも、次のような子どもの心理成長を踏まえれば、その不安が自然な発達に伴うものであることがよく分かります。

0~1歳

生まれてしばらくは、赤ちゃんはママと同化している感覚を持っています。0歳後半になると、ハイハイなどを始め、自分で移動ができるようになり、ママと物理的に離れることになります。それまで、一心同体だと感じていたママと分離することで、不安感が発生します。

1~2歳

1歳代になると、記憶力が発達し、過去の概念が出てきます。それにより、「さっきはママがいたのに、今はいない」と現在と過去を比較できるようになり、さらなる不安や悲しみを感じるようになります。

赤ちゃんから子どもへと成長するプロセスは、自立が大きく進む時期。「自分で立つ」という嬉しい成長の裏には、どうしても不安感が伴います。その分離不安を解消する役目、それが移行対象であるぬいぐるみなのです。

「部屋にぬいぐるみがいっぱい…」これってたくさん不安を抱えている証拠?

「移行対象があるのは、ごく普通のことだとは分かった。では、ぬいぐるみがたくさんある場合は?」と気になる方もいるでしょう。たしかに、子ども部屋を見ると、持っているぬいぐるみの数は、その子それぞれです。しかし、「ぬいぐるみの数=不安の数」ではありません。

一般的に、移行対象は1つのアイテムであることが多いものです。その子にとっては、もはやそれは、“数あるぬいぐるみの1つ”ではなく、自分の心の一部のような存在。よだれや汚れで薄黒くなっても洗う暇もないほど一緒にいたいのが「移行対象」であり、ベッドにずらっと並べるのは、ただ好きだからです。

大人も色々なものをコレクションするように、子どもも自分の好みのぬいぐるみでいっぱいにしたいのです。

いつまでも手放せないのは問題なの?

では、年齢についてはどうでしょうか? 「移行対象であるぬいぐるみを卒業すべき時期はあるのか」「大人になっても、移行対象がある人は何か理由があるのか……」と気になりますね。

一般的に、移行対象としてのぬいぐるみを強く求めるのは3歳くらいまでですが、それ以降、小学生になっても、そのぬいぐるみが手放せないお子さんもいるでしょう。その「付き合い方」が年齢相応であれば、心配することはありません。

年齢相応というのは、2歳の頃はクマのクーちゃんを口に加えていたが、8歳になったら寝るときに抱っこするようになった、というように、大好きな相棒であることは変わらぬまま、関わり方が変わっているという意味です。

次に、大人の場合はというと……。海外の研究で、移行対象と境界性パーソナリティ障害との関係性が言われていますが、それは非常に強い執着があるケースです。移行対象の存在が、この障害の特徴である「非常に不安定な自己」をなだめる役割を担っていると思われます。

すっかりよれよれになったクーちゃんを、ていねいに洗って、部屋に飾っているのは、その人の優しさや物を大切にする思いの表れ。年齢相応の関わり方をしていれば、幼い頃の移行対象はずっと宝物であっていいのです。

著者プロフィール

ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰。
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:http://megumi-sato.com/

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