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「小学校受験は早生まれだと不利なの?」に幼児教育のプロがお答え!

「小学校受験は早生まれだと不利なの?」に幼児教育のプロがお答え!

「うちの子は早生まれだから小学校受験は不利なのでは……」などと悩まれるご家庭は多いかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか?

今回は幼児教室 伸芽会で年中・年長児を長年指導されてきた大久保先生に、小学校受験における早生まれのメリット・デメリットや家庭で伸ばすコツについてお聞きしました。早生まれのお子さんがいるご家庭は必見です!


伸芽会 教務本部 大久保太郎先生
メリハリのある指導と、的確な分析をもとにしたご家庭への熱いアドバイスで信頼を集める。慶應義塾幼稚舎・横浜初等部、早稲田実業学校初等部、学習院初等科、青山学院初等部、暁星小学校など、毎年多くのお子さまを難関小学校合格へと導く。
日経DUAL記事

小学校受験は何月生まれが有利? 春夏秋冬生まれそれぞれの特徴

__小学校受験において、月齢別ではどのような特徴が見られますか?

年長になった4月の時点で6歳になった子もいれば、この前まで4歳で5歳になったばかりの子もいます。個人差はありますが、4月~夏生まれの子は何事も早く仕上がるように感じるので、早生まれを不安視される方もいらっしゃいますが、早生まれだから劣るということはありません。

私は「今は月齢差を感じることがあっても必ず追いつきますから大丈夫です」とお伝えしています。

伸芽会では授業を月齢で分けることはありませんが、シミュレーションテストと呼ばれる学校別の模試は月齢別で行います。その際、ペーパー試験よりも、年長の春頃の行動観察では顕著に違いが出ます。

まず、4月5月生まれの子は成長が早いぶん、空気を読んで周りを見すぎてしまい、頭ではすべきことがわかっているけれど行動できないことがあります。一方の早生まれの子は、やや幼いぶん無邪気に楽しめる傾向があります。夏~秋生まれの子は、話し合いも成立するし、いい意味で空気が読めない部分も。それぞれ違いがあるので見ていておもしろいですね。

とはいえ、どの子も春の時点ではグループで一つのことを成し遂げることはまだできないので、たとえば大きな模造紙に風景の絵を描く課題では、四方それぞれに座って自分から見て手前を地面にして絵を描きます。これが秋頃になると、お友達と相談しながらどこの辺を地面にするか決めて、1枚の風景を描き上げられるようになります。

年長児(5-6歳)における早生まれの能力差とは?

__年長児における早生まれの能力差とはどんなものがあるのでしょうか?

これも個人差はありますが、早生まれの子の能力差として言語と行動、巧緻性、体力の分野別で解説していきましょう。

【言語】
・会話が成立するのに時間がかかる
人は話す際に頭の中で言葉を考えて発しますが、早生まれの子は言葉を組み立てて話す経験が少ないため、会話が成立するのに時間がかかることがあります。

・語彙が乏しい
早生まれの子は発達上語彙が乏しい傾向があります。ですが、これから好きなことに興味関心を持ってボキャブラリー(語彙)が増えてくると、会話力も飛躍的にアップします。

【行動】
・行動が遅い

早生まれの子は物事の整理がまだつかないため、集団行動でも人よりやや行動が遅く、段取りが苦手なことがあります。

・視野が狭い
自分優位な傾向がまだ強いので、視野が狭い傾向があります。とはいえ、5~6歳児は大抵自分本位ですからさほど心配ありません。

【巧緻性】
巧緻性についても個人差はありますが、一般的に早生まれの子はまだイメージした通りに指先が動かず指の力が入らないため、絵を描いたり折り紙を折るのも上手くできないことが多いです。解消法については後程詳しくお伝えします。

【体力】
春の時点ではまだお昼寝がないと午後が持たない子もいるでしょう。幼児教室に来るだけでも疲れるはずです。日頃から意識的に歩くなど、体力をつける工夫をするといいでしょう。

早生まれならではの強みも!(メリット)

以上のことをお伝えすると、早生まれはデメリットばかりなのでは? と思われるかもしれませんがそんなことはありません。

早生まれならではの強み、それは「急ピッチな追い上げ力」です!!

大人だってインプットしたことをアウトプットするまでに時間を要しますよね。子どもだって同じです。私はよくそれを花火に例えますが、子どもたちの頭の中にさまざまな体験をして導火線をしこんでいきますが、早生まれの子はすぐに火がつきません。途切れ途切れの導火線が9月か10月にようやくつながって、最終的にはきれいな花火があがるのです。

逆に、なんでも他の子より先にできてしまっていた4月5月生まれの子が夏頃からスランプに陥ることもあります。心がさらに発達して周りを気にするあまり、行動や発言で迷いがでてしまうのです。早生まれの追い上げ力は目を見張るものがありますから、最終的には早生まれでもきっちりと志望校の合格を勝ち取っていきます。

早生まれの学校選びで注意したいこと

__早生まれの子の学校選びで注意すべきことはありますか?

まず、大前提として誕生月での有利不利はありません。

早生まれの子も、年齢なりの発達をその子なりにしていれば大丈夫。学校も受かる学校ではなくて行きたい学校を選ぶのが重要ですが、学校により考査の方法にいくつかの種類があることも知っておくとよいかもしれません。

それは、受験番号のつけ方と本番でのグループ分けが、願書出願順の学校と生年月日順の学校があるということ。生年月日順の学校は月齢別に試験が行われます。

一方の願書受付順や五十音順はさまざまな月齢のお子さんが混在しているということです。学校により公表していない学校もありますが、幼児教室ではすべて把握していますから気になる方はぜひお問い合わせください。

月齢考慮がある学校はある?

__小学校受験の考査で、月齢の考慮がある学校はありますか?

考査を生年月日順に行う私立小学校は意外と少なく、都内では約25%です。

代表的な学校としては青山学院初等部、学習院初等科、暁星小学校、慶應義塾幼稚舎、立教小学校、早稲田実業学校初等部などがあります。

とはいえ、願書で月齢考慮をしていない学校も、行動観察の際はそれぞれのお子さんの誕生日などは把握しながら見ていることが多いので、同じ早生まれの中で自立していればいいのです。

早生まれの子の運動や巧緻性、言語力を伸ばす3つの対策

__早生まれの子の能力をアップさせる家庭での取り組み方を教えてください!

その1 同じものを見て「見る力」を鍛える
プリントや行動観察で「できない」理由は、見てないか聞いてないことが多いです。

聞くことは意外と早くできますが、見る力(観察力や注意力)の習得は時間がかかります。「どこの何を見るか」まで意識してください。

子どもの視野は大人より狭く注意力も外を向いていないので、テレビや絵本、外出先での景色でもいいので、同じものを見て会話する習慣をつけましょう。

その2 「ひねる」「回す」「絞る」で指先の力を強くする
巧緻性を伸ばす方法のひとつに、慶應義塾幼稚舎でお馴染みの「模倣体操」という指折り運動があります。

親指から1,2,3,4,5と指を折ることはできても小指から開くことや両手でするのは案外難しいものです。これは心と体がつながっているかの指標にもなりますから、ぜひご家庭でもトレーニングされるといいでしょう。

また、最近は水筒を自分で開けられない子が多いです。普段から「ひねる」「回す」「絞る」などの動作をしながら指先の力を強くしていきましょう!

その3 日本昔話で「語彙力」と「情操面」がアップ
語彙力を増やすには絵本の読み聞かせも大事です。

感情移入も覚えますし情操面も育ちます。さまざまな種類の絵本に触れてほしいですが、特に日本昔話はプリントの常識課題でもよく出題されます。幼稚園によっては知らないままの子もいます。

日本昔話の多くは勧善懲悪。「悪いことはしちゃいけないよ」を教える意味合いもあります。

日々のお手伝いや運動はわが子の変化に気づくしかけを!

__日々のお手伝いではどんなことに意識すればよいでしょうか?

月齢を問わず、小学校受験では「自分のことは自分で」が基本です。またお手伝いをすることで誰かのために奉仕する気持ちを育むこともできます。

お手伝いは習慣化させるために、シールで可視化するのをおすすめします。その際に大事なのは、「自分からやった→金シール」「言われてやった→青シール」「いやいややった→緑シール」「やらなかった→黒シール」などシールの色を変えること。

はらないが数日続くとその習慣自体が風化してしまいますから、やらなかったときもシールを貼るのがポイントです。シールの色はお子さんと一緒に決めるとやる気がアップしますよ。

特に早生まれのお子さんをお持ちの親御さんは「〇〇が早くできるようにならなきゃ」などと焦りがちです。お手伝い以外にも上記の運動や巧緻性、プリントなどの課題もシールで可視化しながら、お子さんの変化に気づけるしかけをしてあげましょう。

早生まれよりも男女差の特性を意識しよう

__最後に早生まれのお子さんをお持ちの親御さんにメッセージをお願いします。

実は、月齢以上に大事なのが男女差です。特に、男の子のお母様は女の子と比べて落胆しがちです。早生まれの男の子の場合はなおのことでしょう。断言しますが、男の子と女の子はまったく別の生き物です。ほとんどの学校で入試は共学でも男女別で行われますから安心してください。

一般的に男の子は、何月生まれでもじっとしていられず注意力が散漫です。探し物(近くにある止まっているもの)が苦手ですが、遠くにある動いているものが大好きです。

毎日一緒にいると成長の変化に気づきにくいものですが、先述したような褒めるための仕掛けで、お子さんの成長をたくさん褒めながら、根気よく努力していけばきっといい結果が得られるはずです。

誰かと比べずわが子の過去と比べること。「できたからすごい」の結果主義ではでなくて、「がんばってできるようになったからすごい」とプロセス褒めを意識してみてください。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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