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小学校受験はいつから? 年長からでも間に合う!?

小学校受験はいつから? 年長からでも間に合う!?

少子化やコロナ禍でも、ここ数年小学校受験者数は増加傾向にあります。そこで小学校受験準備のベストな時期について、伸芽会教務本部の中西亜希子先生にお話を伺いました。

気になる「年長からの対策でも間に合うのか?」についてもまとめていますのでぜひチェックしてみてください。


中西 亜希子
伸芽会 銀座教室・自由が丘教室・渋谷教室・広尾教室・浅草教室・二子玉川教室・市川教室・千葉教室 統括責任者。

 

日経DUAL記事

遅くとも年中の11月(新年長)からが望ましい理由

一般的には、試験本番の1年前である新年長の11月からのお教室通いが主流ですが、最近は年中(3歳)からお教室に通うご家庭が増えており、早くから準備をしたご家庭の多くは難関校に合格されています。正直、私は新年長の11月という時期が「小学校受験をする上での最後のタイミング」だと思っています。

理由としては、
・四季が一巡することで季節の知識が定着するため
・学校説明会が行われる年長の春までに志望校や家庭の教育方針を固めるため

などがあげられます。

季節に関する問題は小学校受験でよく出題されますが、子どもにとって秋は春との差別化が難しく、知識として詰め込んでも抜けてしまうので、年中の秋に実体験を通した学びができないと、本番の試験までに秋が定着できない恐れがあるからです。

また、年長の春に行われる学校説明会までに志望校をある程度絞る必要があり、そのためには冬の間にご家庭の教育方針を固める時間が必要だからです。できれば年中のうちに余裕を持ってたくさんの学校を見ておくといいでしょう。

受験に必要な「体験の絶対量」の目安

月齢や発達の度合いで個人差はあるものの「これはできてほしい」という受験に必要な体験の絶対量の目安があります。

【集団行動課題】

・集団の指示を自分ごとに捉えられること
・自己中心的でないこと
・一度の注意に従えること

集団の指示であっても「自分に言われている」と捉えられるかはとても重要です。たとえば、運動課題で前のお友達の真似をして一緒に間違えてしまうことはよくありますが、そうならないためには、「自分はこう聞いた」と自信が不可欠です。

また、特に男子は「楽しくなりすぎて周りが見えなくなってしまう」ことがありますが、そんなときに先生からの一度の注意で我にかえり指示に従えるかも大きなポイントです。

【ペーパー試験】

・1回聞いたお話で問題が解けること
・親御さんに問題を出せるレベルまで理解できていること

小学校入試では文字を読まず問題を聞いて解きますから、1度聞いたお話の内容を正しく理解して行動に移す力は不可欠です。

ペーパーでは「1日何枚」ではなく、志望校のレベルに応じた対策ができれば問題ありません。ただ、自宅でのペーパー学習は、できたできない(〇か×)の成果が子どもでもわかるため、自信をつけやすいのは事実です。その際、お子さんが先生になって親御さんに問題を出せたり、自分で問題が作れたら理解度は完璧です!

ちなみに、最難関と言われる慶應幼稚舎ではペーパー試験はありませんが、合格する子たちは、ご家庭で色々な力をバランスよく学んでいるため、ペーパーをさせれば解ける実力を備えています。また、慶應横浜初等部では、「お友達が作った作品のいいところを言葉にする」といった「自信」や「聞く力」に加えて「相手が認められる」力も求められます。

このように、小学校入試において知識や体験の「バランス」はとても大事です。いくらペーパーがよくできても行動観察で「協調性がない」「人の嫌がることをする」場合は合格できないのです。

年長の春以降の対策でも合格した事例

中には、年長の春以降からの対策でも合格したという事例はあります。代表的な4つのタイプをお伝えしましょう。

タイプ1:話を聞く土壌が育っている素直なAちゃん

話を聞けるAちゃんは親御さんに話を聞いてもらって心が満たされている状態でした。親御さんがお子さんにちゃんと向き合っているとも言えます。そんなAちゃんは、新しいことを学び始めても吸収する力が高く覚えも早かったので、結果的に雙葉小学校に合格しました。

タイプ2:試行錯誤して失敗から学んだ経験が多いBちゃん

失敗から学んだ経験が多い子も強いです。たとえばご家庭で何かお手伝いをお願いして失敗しそうなかったときも、親御さんは途中で口出しせず見守り、失敗した結果を「どうしたら次からできると思う?」と考えさせていました。試行錯誤した経験が多いBちゃんは、試験でも粘り強く力を発揮することができ、早稲田実業学校初等部に合格しました。

タイプ3:並んだときに目立つほど姿勢がいいC君

男の子の場合は女の子に比べて幼いため、立ち姿や待つ姿勢が並んだときに目立つくらい素晴らしいことも大きな武器となります。体操とサッカーの習い事を頑張っていたC君は、体幹が鍛えられていて姿勢がよく、順番が待て、我慢もでき、勝ち負けにこだわる部分と相手を称えられる力がありました。結果的に暁星小学校に合格しました。

タイプ4:好きなことを突き詰める力があるD君

お子さんの何気ない一言から親子で一緒に楽しめるご家庭も小学校受験をする上では大きな力を発揮します。「恐竜は日本にもいたの?」というD君の何気ない一言から図鑑で一緒に調べたり恐竜博物館に行くうちに、化石や歴史にも興味を持つようになったD君。こうした学びを深める力は小学校以降も役立つ力です。D君は結果的に慶應義塾幼稚舎に合格しました。

幼児教室に早く通えば有利ではない

3歳からお教室に通うお子さんが増えていると言いましたが、早めに幼児教室に通わせているだけでは合格は難しいもの。やはり重要なのは「家庭で復習し知識を定着できるか」です。ご家庭で復習する際の男女の注意点をお伝えしますと、

女の子
女子はぱっと見て理解できる子が多いですが、表面しか理解していないため、その時はできても次にやると忘れていることがよくあります。問題をコピーするなどして、2~3週間後に解き直すことで定着させましょう。

男の子
男子は理解するのに時間がかかる子が多いですが、これは自分の中でしっかりと納得している証拠。このタイプの子は一度習得すると抜けないことが多いですが、定期的に復習をしていきましょう。

幼児教室に行かなくても受かる子はいるのか

完全にご家庭のみというのは難しいと思います。ご家庭でペーパー対策をしながら幼児教室の模擬試験を活用する、習い事で集団の学びを体験するなどをして合格される方はいらっしゃいます。ですが、小学校受験では願書や面接など親御さんの対策も必要不可欠です。特に、お仕事で普段面接をする側のお父様は面接されることには不慣れです。志望校にあった最新の情報を得て適切な対策をするという意味でも、上手に幼児教室を活用されるといいでしょう。

わが子の今足りない部分をプロはどうアプローチするのか

幼児教室の先生たちは、その子に足りない部分をアプローチするプロならではのテクニックがあるもの。中西先生にその手法を5つ伺いました。

手法1 「その場のタイミング」を逃さない

幼児は「あのときはこうしたほうがよかったね」と伝えても「あのとき?」と忘れてしまいます。ですから、お友達との関わりや行動でその子に何か伝えたい場合は「その場ですぐ」を逃さないようにしています。授業では先生が2人以上いる方がそうした対応がとりやすいでしょう。

手法2 好きな課題で気持ちを乗せて苦手をサンドイッチする

大人でも苦手なことばかりやらされたら辛いですよね。子どもも同じです。親はつい苦手なプリントばかり大量にやらせたくなりますが、子どもがやりたいものを最初に数枚させて気持ちを盛り上げてから苦手な課題を行い、最後はまた得意な課題で楽しく終えられるサンドイッチ方式がおすすめです。

手法3 控えめな子たちには真のリーダーの可能性大!

控えめなお子さんを「人前で自分の意見を主張できる子に」と悩む親御さんは多いですが、無理強いは逆効果です。私は、控えめな子はみんなの意見を聞いてまとめる力があり、真のリーダーの素質があると思っています。最初から意見は言えなくても、その子に合ったリーダーシップを習得していけばいいのです。

手法4 大人とうまく話せない子には2つの原因がある

「大人とうまく話せない子」には2つの原因があります。1つ目は経験の少なさ。これはスーパーでお使いをするなど家族以外の大人と話す経験を積むことが大切です。2つ目は月齢が高い女子に多い「正解を言わなきゃ」というプレッシャーや、「人に譲らなきゃ」と黙るケースです。クラス全員が譲り合い誰も手が上がらないということも……。

譲り合いと積極性を状況に応じて判断できるよう、体験を重ねていきましょう。

手法5 「ですます」よりも自分の言葉で考えが言えるようにする

「だまってしまう」男の子は、恥ずかしがりや経験の少なさが原因であることが多いですが、まれに、親御さんに丁寧語を注意され過ぎて話せなくなっているケースも。行儀作法などのマナーは大切ですが、「子どもらしさ」も忘れてはいけません。小学校入試の受け答えでは「はい」のお返事は求められますが、「ですます」はできなくて大丈夫。それよりも自分の言葉で考えを言える方が大切です。

__最後に中西先生から新年長の保護者の方へメッセージをお願いします

受験は一つの関門にすぎません。余裕などないかもしれませんが、お子さんが成長する上での通過点と捉え、できるだけゆったりと構えてください。

そして、「この学校に絶対合格しないとダメ」ではなく、早いうちからさまざまな学校の良さを知っておくといいでしょう。結果的にご縁があった学校が、お子さんが伸びる学校です。

たとえ第三志望になったとしても、数年経つと「間違っていなかった」と思えるはずです。また、新年長からお教室に入る際に、他の子の様子や教室の雰囲気を見て「うちの子には無理」などと思わずに、「わが子が楽しめそうか」という視点や先生やお教室との相性で選ぶことをおすすめします。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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