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子どものなりたい将来の道筋が5分でわかる!「2030年のハローワーク」著者、図子慧さんにインタビュー

子どものなりたい将来の道筋が5分でわかる!「2030年のハローワーク」著者、図子慧さんにインタビュー

2030年。皆さんはどんな未来を想像しますか? AIがもっと身近になり、今ある仕事がなくなっているかもしれません。ただ間違いなく言えることは、あなたにもお子さんにも+10歳加算されていること。「お子さんが10年後、進路に迷う時期がきたらぜひ読ませたい!」そんな本がこの『2030年のハローワーク』。今から読んでおくと、ちょっと先の未来がリアルにイメージできるはずです。今回は、SF作家でもある著書の図子さんにお話しを伺いました。

図子慧さん
1986年『クルトフォルケンの神話』で集英社コバルトノベル大賞を受賞し、作家デビュー。少女小説やファンタジー、ホラーと幅広いジャンルを手掛ける。SF小説『アンドロギュヌスの皮膚』(河出書房新社)、『ラザロ・ラザロ』(早川書房)など。人工知能学会監修の『人工知能の見る夢はAIショートショート集』(文藝春秋)にも寄稿。
日経DUAL記事

理系の子どもの進路をアドバイスできなかった実体験も

__SF作家さんである図子さんが、このテーマで本を執筆された経緯を教えてください

子どもが大学を選ぶ際に、文系の私には理系の将来がイメージできなかったこと。また、SF作家なので「こんな未来があったら面白い」というテーマでは過去に執筆をしていたことが主な理由です。最先端の分野を研究するコンピューターサイエンティストで、SF作家の山口優さんに監修していただきながら、わかりやすさを第一に執筆しました。

__本の中で特に気に入っているキャラクターがあれば教えてください

マンガとアニメが大好きな普通の中学生ミーンさん。優良中堅メーカーに就職するも、大手メーカーに買収されて工場が機械化されて仕事がなくなる…はたまた、IT関連の会社でロボットの注釈をするアノテーターになり、週3の在宅勤務をしながら充実した毎日を過ごす…。ミーンさんのような安全志向の人は、「安全にみえる進路」を選びがちなのですが、そうした仕事は近い将来消えてしまう可能性が高いのです。仕事選びはちょっと背伸びしたぐらいが丁度よいことを、伝えたいと思いました。

一方、ミーンさんの友人のアートさんは、絵が得意。そんな彼女が未来予想図のVRを覗くと、CGグラフィックのような専門学校に行くと収入が伸びず、美大を出ても就職先は普通の会社が多いと知ります。ですが、工学部のデザイン科で工業プロダクトデザイナーになれば、海外の有名企業への就職の道も開けることが分かりました。それには英語や数学も必要になってきますよね。

こんな感じで、なりたい将来から逆算して進学する学校や今するべき勉強を自分で考えることはとても大事なんです。大学入試目前の時期に、行きたい大学がみつかっても、受験に必要な教科を取ってなくて受けることができなかったこともあるのです。

__ズバリ、これから強いと予想される分野は何でしょう?

これからの仕事は文系・理系ともにITとは無縁ではいられません。文系の中でもデータを扱う経済学・社会学などの社会系学部の人は、今まで通り金融やマーケティングの分野で求められるでしょう。人気の心理学部は、2016年に公認心理士が国家資格として定められて以来、活躍できる分野が広がりました。カウンセラーという職業はAIには簡単にとってかわれない人間ならではの仕事と言えます。

理系なら情報工学と化学がおすすめです。どちらも力をいれるべき分野ですから、優秀な人材は引く手あまたと言えます。また工業・商業の発明品や意匠に関わる知的財産管理は、高度な知識を必要とする専門分野です。何年にもわたる訓練期間が必要ですが、高収入が見込めます。

幼少期の今、伸ばしておくべきは「読解力」「集中力」「説明力」!

子どもは理系の大学に進み研究職になりましたが、仕事をする上で理系でも国語力やコミュニケーション力はとても問われると実感しているそうです。私は文系理系問わず、必要な力は「読解力」「集中力」「説明力」ではないかと感じています。

__幼少期に伸ばしておくべき力とは?
その1 読解力

理系も文系も読解力がすべての勉強の基礎であり土台です。書いてあることが理解できないと勉強にもついていけなくなってしまいます。そのために必要なのは、幼少期の読み聞かせや家族でのたくさんの会話です。そういうとき親はつい先回りして、あれこれ説明してしまい、子どもが発言する機会を奪っていることがあります。親がじっと子どもの言葉を待つことが、子ども自身の一番語彙力を伸ばす近道です。

その2 集中力

本を読んだりゲームをしたり、何でも好きなことに没頭できる力を幼少期に養うことで、受験期でも忍耐力がアップします。

その3 説明力(プレゼン力)

最近の小中学生は、書くことや話すことが苦手な子が多いと感じます。ネットやSNSがありしゃべらなくてもなんとかなる時代だからこそ、あえて身につけなくてはいけない力なのです。家族での会話もそうですが、たとえば家庭学習の際に、親が教えるのではなく、子どもに教えてもらうことで自然と説明力が身に付くはずです。

余談ですが、私がやらせておけばよかったと思う習い事はピアノです。開成中学などでもピアノは必修だそうですが、耳と目と手を同時に動かしながら楽譜という記号を読み解くピアノは理系脳を鍛える習い事なのかもしれませんね。

子どもの学校選び、どう選ぶべき?

__2020年教育改革をどう見ていますか?

子どもは、ゆとり教育時期に小学校で学級崩壊を経験し、慌てて塾に通い何とか中学受験をしました。そこから学ぶことが楽しいと知り、性格も明るくなり、多くの友人にも出会えました。

もちろん、高い意識をもって取り組む公立校もあるので一概には言えませんが、私立と公立の教育格差はさらに開いてくるのではないかと感じます。私立の特徴の一つは、先生たちが定年までその学校にいることですね。子どもが卒業時お世話になった私学の先生に「ずっとこの学校にいるからいつでも来てね」と言われ、実際に進路相談などで母校を訪れる卒業生が毎年いるそうです。そんな先生に多感な時期に出会えるかどうかも、子どもの将来には大きく影響してくるのではないかと感じます。

公立の場合は、教育と地価は大きく関わってくるので、転居を考える場合は参考までにチェックしておくとよいうでしょう。また、私立公立問わず、親が学校に子どもの教育を丸投げすることは危険ですので、積極的に学校に関わるようにしましょう。

2020年教育改革は、子どもたちの論理的読解力を伸ばすためのプログラミング教育がはじまったと考えています。自分で実際に試してみましたが、面白かったです。あとは、学校のテストは早くwebテストになってほしいですね。採点は楽になるでしょうしし結果は瞬時に管理分析できるようになるはずですから、そうした方が絶対いいと思うのですが……。

AIは怖くない。向こうからやってきます!

__AIが台頭し、刻々と変化する時代での子育て。私たち大人はどうすればいいでしょうか?

AIは怖いとか言う前に、当たり前に向こうから確実にやってきますから心配ご無用です(笑)。分かりやすく言うと、全自動洗濯機もプログラミングですし、炊飯器もロボット家電ですよね。主婦は家電で既に立派にAIを実は使いこなしているんです。何も恐れることはありません。

スマホは指先ではなく音声入力が主流になるでしょう。子どもたちにとってSNSは、ツールというよりも感覚の延長と考えた方が分かりやすいかもしれません。それくらい当たり前なものになると思います。


__現在子育て中の親御さんに、メッセージを!

これからの時代の子育ては情報戦です。どう正しい情報を先取りするかで子どもの人生も大きく変わってきます。親としては、社会の動きや事情通な先輩ママ友にアンテナを張るなどして、情報入手先を確保していきましょう。

一方で、10代前半(小学校4年生以降)は仲間意識が強くなる時期。良くも悪くも周りに影響されます。親は「もう大丈夫でしょ」ではなく、積極的に子どもと関わってください。TVでもゲームでもアイドルでも何でもいいので、親子で共有できる時間を少しでも持つようにしておきましょう。幼少期から家族で話す習慣が多い家庭は、反抗期も思春期も上手に乗り越えられると思います。

気になった方は図子さんの『2030年のハローワーク』(KADOKAWA)をチェックしてみてください。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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