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3歳までに子どもは風邪を100回ひく! 繰り返しひくことで免疫アップ

3歳までに子どもは風邪を100回ひく! 繰り返しひくことで免疫アップ

気温が下がり空気も乾燥してくるこれからの季節、インフルエンザなどの風邪が流行してきます。流行のピークを迎える前に、風邪についての知識を深めておきましょう。

今回は、西荻窪で“家庭医”として地域のママたちに信頼されている「ちぎら医院」の千木良まこと院長に、子どもと風邪の関係について伺ってきました。

千木良まこと 院長
1986年帝京大学医学部卒業。市原病院、社会保険中央総合病院などに勤務した後、
1997年に西荻窪の「ちぎら医院」の3代目医院長に。赤ちゃんからお年寄りまで、幅広く診る地域密着の“家庭医”。病児保育室「ラビットルーム」も併設しており、働くママたちの力強い味方にもなっている。

 

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子どもの風邪は、繰り返しひくことで免疫がついていくもの

赤ちゃんはお母さんの胎盤からの免疫と初乳から免疫があり、生後6ヶ月ぐらいまで守られています。その後、徐々に免疫が切れはじめ、1歳前になるとまったく免疫がない状態になります。

免疫が切れた後は、身体に吸い込んだ風邪のウイルスは基本的にすべてひくことになります。ひいた風邪は自分でやっつけるしかありません。やっつける方法は、熱を出したり、鼻水を出したり、咳をしたり、お腹を下したり、吐いたり、いろんなパターンがあります。

ひとつの風邪をだいたい4~5日でやっつけて、そのウイルスに対する抗体を作ります。その後、同じウイルスや似たようなウイルスが体に入ってきても、その抗体でやっつけられます。

風邪のウイルスは100種類ぐらいあり、春夏秋冬で流行るものが変わります。ひとつの風邪が終わると次の風邪をひき、だいたい1週間に1回、1年で50回ぐらい風邪にかかることになります。その次の年は、前年にひかなかった残りのウイルスの風邪をひいていくことになるので、また50回ぐらい風邪をひきます。

つまり、お母さんの免疫が切れた1歳から3歳までの間に、約100回風邪をひくことになります。一通りの風邪をひき終った3歳ぐらいになると、あまり風邪をひかない強い体になります。

私もよく、「先生は風邪をひかないんですか?」と聞かれますが、ひかないんですよ~(笑)。研修医の頃はすごく風邪ひいたんですけど、いまはもうすべての風邪のウイルスに対して免疫ができてるんですよね。

風邪に直接効く薬はない! 基本的には自分でやっつける

風邪をひくと薬を飲んで治すというイメージですが、実は、風邪のウイルス自体をやっつける薬はありません。基本的には自分で戦ってやっつけるしかないのです。

咳止め、熱さましなど、対症療法としての薬はあるので、症状がきついときは飲むと良いと思いますが、症状がそこまできつくなければ、薬を飲まずにそのまま過ごすほうがいいですね。風邪のウイルスをやっつけようとして、熱を出したり、鼻水を出したりして自分の体が戦っているのだから、自然に任せてそのままでいいんですよ

ただし、熱で寝られなくて体力が落ちたり、食事が食べられなかったりしたらウイルスをやっつけにくくなるので、そんなときは薬に頼りましょう。症状を楽にして、体力勝負にするための薬は使えばいいと思います。

早く抗生物質を出してくれる=いい医者ではない!

よく、お母さんたちの間で、「あの病院はすぐに抗生物質を出してくれるからいい病院よ!」などという話を聞くことがあります。

風邪の原因はほとんどがウイルスです。抗生物質は風邪のウイルスをやっつける薬ではなく細菌を殺す薬で、本来なら体を守ってくれる雑菌まで殺してしまいます。そうすると、別の変な菌がついてしまう可能性もでてきますし、逆に耐性菌を作ってしまって治りにくくなってしまう場合も。

私の患者さんでは、小学生まで一度も抗生物質使わない子もザラです。むしろ、そういう子のほうが、風邪に限らず世の中のいろんな攻撃にも強い気がします(笑)。

とはいえ、ちょっと風邪が長引いているときや、肺炎を起こしかけているときなどは、抗生物質を使ったほうがいいこともありますので、お医者さんの判断に従いましょう。

インフルエンザは予防接種を! 偽物+本物のウイルスでブースター効果が期待できる

インフルエンザに関しては、重症化すると危ない風邪なので、予防接種をしておくほうがいいですね。偽物のウイルスを体に入れておくことで、本物のウイルスが入ってくることを予防したり、かかっても症状を軽くしたりできます。

また、予防接種を打った後に、本物のウイルスにかかると、ブースター効果といってよりしっかりとした免疫が出来上がります。ブースター効果を繰り返すことで、インフルエンザに対する免疫もより強くなっていくのです。

インフルエンザのウイルスはそこら中にウヨウヨ飛んでいるので、インフルエンザにかからない年があったとしても、ウイルスに曝露されてなかったからとは考えづらいですね。どこかでウイルスは体に入ってきているけど、やっつけることに成功しているのです。

風邪の予防に、手洗い・うがい・食事・睡眠

これからの季節、風邪予防にどうすればいいかというと、まずは、手洗いうがいをしっかりすることです。

ウイルスはそこら中にいるので、絶対に吸い込んでしまいます。吸い込んだときにのどの粘膜が渇いていると、ウイルスが付着し増殖しやすいです

外から家に帰ってきたときは、必ず、手洗い・うがいで付着しているウイルスの数を減らしましょう。そして、のどの粘膜が乾燥しないように、水分を良く取ってください。

ちょっとゾクゾクしてきて、“あ、風邪ひいたかも”と思ったときは、自分でやっつけるしかないので、食事をきちんと食べ、しっかり睡眠をとりましょう。風邪をひいたときに悪化させないようにしたり、入ってきたウイルスを減らしたりすることが大切です。

風邪はみんなが通る道です。集団生活をする中で、風邪をひかないのは無理なこと。どこかで風邪をひいて免疫をつけていかなくちゃいけないものです。

小さい頃からいろんなウイルスに曝露されて、繰り返し風邪をひいてしっかりと強い抗体を作っておくと、やがて風邪をひかない子になりますよ。

子どもは風邪をひくもの、薬とは上手に付き合うもの、ということがよくわかりました。“また風邪ひいて嫌だわ…”とネガティブに考えるのではなく、“また風邪ひいて免疫がついた! 強い子になれる!”とポジティブにとらえれば、ママの気持ちも楽になりますね。

風邪の予防、重症化させないために、手洗い、うがい、食事、睡眠を心がけましょう。

著者プロフィール

大学生の頃よりファッション誌のライターとして活動し、主にインタビューページなどを担当。現在はママ向けライフスタイル誌やWEBに執筆中。小学生と保育園児の男子2人の母。

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