幼児脳をぐんと伸ばす! アメリカで話題の読み聞かせ方法「対話型リーディング」とは?

幼児脳をぐんと伸ばす! アメリカで話題の読み聞かせ方法「対話型リーディング」とは?

本の読み聞かせには多くのメリットがあり、子どもはさまざまなお話に耳を傾けることで脳が刺激され、語彙力や想像力が向上します。「ハーバード式読み聞かせ」としても知られる「対話型リーディング」は、読み聞かせ方を少し変えるだけで子どもへの知的刺激をアップさせ、能力を引き出せるテクニックです。今回は、アメリカをはじめ海外の多くの幼稚園や小学校が取り入れているこの読み聞かせ手法について紹介します。

日経DUAL記事

対話型リーディングと一般的な読み聞かせとはどう違う?メリットは?

本の読み聞かせは、「大人が本を声に出して読み、子どもは横でお話を聞いている」というスタイルが一般的です。もちろん、聞いているだけでも子どもは好奇心、想像力、語彙力などを刺激されます。しかし、「外部から刺激を受けている一方通行な交流」であり、子どもは主にインプットのみを受けている状態です。

一方、対話型リーディングは読み手と聞き手がお互いに会話しながら進めます。子どもはインプットだけでなくアウトプットも積極的に行いますから、主体的に考える力がつき、脳への刺激も格段にアップします。

セントラルフロリダ大学で言語学習や幼児教育に取り組むジャクリーン・トウセン教授は、読み聞かせは聞き手がもっと参加することが望ましいとし、「対話型リーディングは、親しんでいる絵本を通して子どもたちが語学力を習得できる手法である」と述べています。

このテクニックについては、ごく幼い頃から取り組めます。1993年から長期にわたって行われている研究では、対話型リーディングによって子どもはより高度かつ表現力のある語彙が増え、使い方も習得できるとしています。さらに自分で文章を読み取る力や外国語の習得にも効果的であるなど、多くのメリットが挙げられています。

対話型リーディングで押さえておくべき4つのポイント

幼児への絵本読み聞かせに関する有名な論文では、以下の4つが対話型リーディングにおいて重要であるとしています。

1.本のなかで何が起こっているか問いかける

「男の子がびっくりしているね、どうしたのかな?」など、お話のなかの出来事について問いかけます。子どもが自分で考え、ストーリーを解釈し、自分の言葉で文章を組み立てる練習になります。

2.子どもが話したことを繰り返す

子どもが感想や意見を言ったら、親がその言葉を繰り返します。子どもはちゃんと話を聞いてもらえていると感じ、話が広がりやすくなります。

3. 子どもが意見を言いたくなるような言葉がけを意識する

子どもの話がとんちんかんでも、否定してはいけません。否定されると、誰でもやる気をなくします。「面白いね! それでどうなるの?」「もっと聞きたいな」など、子どものモチベーションが上がる言葉がけを心がけます。

4.本を通して、今子どもが何に夢中なのかを探る

対話型リーディングを続けていくと、本の選び方や子どもの発言から、今わが子が何に興味を持っているかが見えてきます。ストーリーから外れても構わないので、さらに興味を掘り下げられるような質問をします。

さっそくチャレンジ! 対話型リーディング実践の4ステップ

いよいよ実践編です。基本は、「促進、評価、展開、反復」の4ステップです。

1.【促進】子どもの意見を引き出し、発言を促す
2.【評価】子どもの発言を受け、親が返答する
3.【展開】子どもの発言を言い換える・情報を付け加えるなどして、話題を広げる
4.【反復】最初の子どもの発言を繰り返させ、復習する

実際の対話式リーディングを例に見てみましょう。

ママ「このブタさん、何しているのかな?(促進)
子ども「おうちを作っている」
ママ「そうだね、おうちを作っているんだね。(評価)これはワラを使っておうちを作っているよ。(展開)
子ども「ワラって、なあに?」
ママ「ワラっていうのはね…」
~中略~
ママ「このブタさん、何していたんだっけ?(反復)
子ども「ワラのおうちを作っているの」

何を聞けばいいか思い浮かばない…。 困った時に使える5つのヒント

「どんな質問をすればいいのか分からない」という人のために、5つのヒントを用意しました。活用してみてください。

1.子どもに文章を完成させる

幼いお子さんにおすすめの方法です。本人に文章を完成させてもらうことで、お話にしっかり入り込ませると同時に、文章構造の理解を深めてもらいます。

例)ママ「大変! おばあさんのふりをしているのは…(絵を指さすなどして、続きを促す)
  子ども「オオカミさんだ!」

2.話をさかのぼって質問する

読み終わった部分にさかのぼって質問することで、内容を思い出させ、記憶力を強化します。

例)ママ「あれ、最初のブタさんはどんな家だったっけ?」
  子ども「ワラでできたおうち!」

3.オープン・クエスチョンを意識する

「はい、いいえ」で答えられる質問より、子どもが自由に表現できる質問をしましょう。

例)ママ「オオカミが来たね。どうなると思う?」

4.「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」を質問する

ストーリーの細部まで読み取る力がつきます。また説明するときに、どのような要素を含めれば分かりやすいかということを体感できます。

例)ママ「ブタさん、今どこにいるのかな?」
  子ども「レンガのおうちのなか!」

5.「あなたならどうする?」と聞く

お話の世界と現実の世界をリンクさせ、自分自身のこととして考えるきっかけを作ります。

例)ママ「〇〇ちゃんなら、どんな家を作る?」

おわりに

対話型リーディングの魅力は、子どもの興味を広く深く掘り下げると同時に、子どものアウトプット力を繰り返し鍛えられる点です。自分の意見をしっかりと表現することは、これからのグローバル社会において重要なスキルになります。親子のコミュニケーションを楽しみながら、わが子の能力をぐんと伸ばす対話型リーディング。ぜひチャレンジしてみてください。

参考URL
https://healthprofessions.ucf.edu/person/jacqueline-towson/
https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-child-language/article/abs/joint-picturebook-reading-correlates-of-early-oral-language-skill/971A68811E86D18121654E4A9F85F664
https://www.semanticscholar.org/paper/Accelerating-Language-Development-through-Picture-Whitehurst-Falco/25c4989f95f1e638fbf89fa836b75280685be398

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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