オーストラリア人も絶賛!親子で再認識したい日本のマナーとは?

オーストラリア人も絶賛!親子で再認識したい日本のマナーとは?

海外に住んでいると、よく耳にするのが日本人のマナーの良さです。ここ、オーストラリアでも日本旅行の経験のある人から、そのマナーを絶賛する声が上がっています。

電車のなかや公共の場では大きな声で話さないなど、あらためて親子で認識しておきたい日本人として誇るべきマナーについて、海外からの声をまとめながら、ご紹介します。

日経DUAL記事

日本を旅行した人が絶賛する日本人のマナーとは

日本政府観光局が2019年1月に発表した「訪日外客数」によると、2017年と2018年を比較した場合、海外からの訪日客数は平均として4.4%伸びているそうです。

このなかでオーストラリアからの訪日客の増加率は11%で、ベトナム、インド、フィリピンについで、4位となっています。実際、オーストラリア在住の筆者の周りでも海外旅行先として日本を選ぶ知人が多くいます。

帰国後に日本の話をあれこれ聞いてみるのですが、どの人も旅の思い出を一通り語ったあとで必ずと言ってよいほど付け加えるのが、日本人のマナーの良さを絶賛するコメントです。

「日本はどこも掃除が行き届いていて、気持ちがいい」
「カメラを電車に置き忘れたが戻って来た!」
「電車のなかが静か。携帯電話で話している人がいない」
「道にごみを落とした人がいたが、少し離れたところにあるゴミ箱まで捨てに行った」
「店員の応対がとても丁寧」
「道路で道を聞くと確実にわかるまで案内してくれる」

このような感じで、おもてなしやマナーの良さを称賛するコメントをよく聞きます。

違いは何?オーストラリア人のマナーと比較すると?

日本人にとってはごく当たり前のことなのですが、オーストラリア人にとっては驚きの連続。このように書くと、オーストラリアはさぞかし秩序が乱れているのだろうと思われるかもしれませんが、オーストラリアもそれほど悪くはありません。

これまで10か国ほど旅行で訪ねたことがある筆者の経験からすると、オーストラリア人のマナーは、東南アジアの国々やヨーロッパなどと比較するとはるかに良いと感じます。

例えば、列を作って順番を待つところでは列を乱すことはないし、電車などでは高齢者や身体障害者に席を譲るのが普通。レストランでの食事のマナーは文句がつけられないほど立派です。つまり、基本的なマナーはしっかりしているのです。

ところが、街では一定量のごみは落ちているし、忘れ物が戻ってくることはまずありません。電車やバスのなかでも平気で携帯電話を使って大声で話したりします。そして、店員の応対やサービスは悪く、何度も確認や催促をしなければいけません。

道を聞けば教えてくれますが、わざわざわかるところまでついていき、案内してくれることはありません。

オーストラリアでは、基本的なマナーや食事など個人のレベルでのマナーはそれほど悪くありません。

日本との大きな違いは、周りの人に迷惑をかけないように気を配る、思いやりをもって行動するということがあまり強く意識されていないということです。そのためか、車上荒らしや置き引きなどの軽犯罪が多発しています。

比較してみると、日本では次のようなマナーがしつけとして子どもの頃から徹底されているといえるのではないでしょうか。

・電車のなかや公衆の場で大きな声で話さない(ほかの人の迷惑にならないように)
・ごみは指定のごみ箱に捨てる(ほかの人も気持ちよく過ごせるように)
・落とし物を見つけたら交番に届ける(落とし主の気持ちをおもんぱかって)
・人のものを壊したり盗んだりしない(持ち主が悲しんだり困ったりしないように)

日本では当たり前ですが、少なくともオーストラリアでは当たり前ではありません。ぜひ、このような日本人特有の思いやりや気配りといった性質をもとに、世界から称賛されるようなマナーが成立していることを親子で再認識したいものです。

自己評価が厳しい日本人

オーストラリアで高い評価を受けている日本人のマナーですが、肝心の日本人自身はその良さに気がついていない、もしくは、より厳しい目で自分たちのマナーを監視しているともいえるようです。このことを示す一つの調査結果があります。

2016年に「思いやりで東京をもっと心地よく」のミッションで立ち上がったマナー向上プロジェクトの推進母体「Tokyo Good Manners Project(略称:TGMP)」が行った調査によると、外国人の64.9%は東京の人のマナーが良いと答えているのに対し、東京都民で自分たちのマナーが良いと答えた人はわずか24.6%にすぎませんでした。

つまり、日本では決まりを守ること自体が目的になってしまっているのか、より自己評価が厳しくなりがちで、いつまでも自分のマナーに満足しない、そんな実態が浮かび上がってくるようにも推測できます。

自国の文化背景から生まれたマナーを大切に

マナーとは一つの社会に住む人々がお互いに気持ちよく生活するために決められたルール、または習慣化されたルールです。日本以外の諸外国ではそうした基本的なルールも十分に確立していないところがたくさんあります。

また、オーストラリアのように個人のレベルでは良いマナーが保たれていても、社会全体にまで気を配るような習慣がないところもあります。世界の国々と比較して、日本社会がどれほど秩序を持った社会であるかがわかると思います。

ただ、マナーに縛られがちで、人によっては窮屈な思いをしていることも確かです。理想とするマナーは、日本人らしくほかの人への配慮を十分に含めた行動が自然にできるようにすることですが、マナーとは、一人ひとりが豊かでいきいきとした生活を送るための手段でもあるべきではないでしょうか。

この2つをバランスよく保っていくこと、それが、幼少期に日本の親たちが伝えられる最高のマナー教育だといえるのではないでしょうか。

【参考サイト】
日本政府観光局
https://www.jnto.org.au/media-release/japan-attracts-record-number-australian-tourists-2018/
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/190116_monthly.pdf
「日本は地球上で最も礼儀正しい国」
http://www.traveller.com.au/japan-the-most-polite-nation-on-earth-gv1oyp
Tokyo Good Manners Project(略称TGMP)公式サイト
https://goodmanners.tokyo/

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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