NHK Eテレの番組が初の絵本に! 『アイラブみー じぶんをたいせつにするえほん』

NHK Eテレの番組が初の絵本に! 『アイラブみー じぶんをたいせつにするえほん』

5歳の主人公「みー」の体験を通して、自分の心と体を知り、大切にすることを、一緒に学んでいく、NHK Eテレで放送中の番組『アイラブみー』が絵本になりました!『アイラブみー じぶんをたいせつにするえほん』には、東京大学名誉教授汐見稔幸先生をはじめ、番組監修の先生方による解説やQ&Aが入った保護者向けページも。この絵本の編集者である新潮社の川端優子さんにお話を伺いました。

日経DUAL記事

パンツのエピソードには、包括的性教育の根幹にある「じぶんを大事にする」というテーマも

__この本を出されることになった経緯を教えてください
Eテレの番組リリースを見て素敵なコンセプトだなと思ったのがきっかけです。プロデューサーさんに、最初は大人向けの本ができないかというご相談をさせていただきました。大人にとっても「自分を大事にする」のはすばらしいことですし、学校では習ってきていないことですから。その後、社内で話し合い、メインは子ども向けの絵本がいいのではという話になり、新潮社としては70年ぶり(!)の子ども向けの絵本を出すことになりました。
__この本を出されることになった経緯を教えてください

__この絵本のみどころを教えてください!
監修者の先生や番組の方たちのお話を伺う中で、Eテレの『アイラブみー』には性教育だけではなく、こどもの幸福、人権、人間関係、性の多様性、ジェンダーなど「包括的性教育」が含まれていることを知りました。その根っこには「自分を知り、大切にする」ということがあり、それが「アイラブみー」シリーズ全体を通貫しているテーマです。
なかでも、今回取り上げた「なんでパンツをはいてるんだろう」のエピソードは、「自分の心と体を自分で大事にする」というメッセージがいちばん端的に表れていると感じ、絵本でよりこどもたちに伝わるように描きました。
__この絵本のみどころを教えてください!

__とくにこだわったページはどんなところでしょうか?
番組の場面をただ切って絵本にしたのではなく、絵本ならではの動きや「ピロピロピローン」といったことばを交えて、子どもたちが読んで楽しめるようにしたところです。絵本の文を担当してくれた竹村武司さんからアイディアをいただきました。
あとは、教育学や発達心理学、性教育、ジェンダー論などさまざまな分野の監修者の先生に伺った、保護者向けのQ&Aページも見どころの一つです。先生の言うことはみなさん少し違うのも興味深くて、改めて正解はないんだなと感じました。保護者の方がご自身でいいなと思う答えを選んでいただけたら嬉しいです。
__とくにこだわったページはどんなところでしょうか?
__とくにこだわったページはどんなところでしょうか?

__それぞれの先生方の印象に残っている言葉を教えていただけますか?

「子どもは勝手に自分らしくなっていく力がある」
汐見稔幸先生(教育学・教育人間学・育児学)

「子どもは勝手に自分らしくなっていく力があるので、親は“こうあるべき”とわが子を作品のようにせず、その様子を応援し楽しむこと。この世に生まれたことは子ども自信に責任はないけれど、“生きてるってすばらしいし、生きることは幸せなんだよ”と示してあげることはとても大切。そのためには、大人自身も自分を大切に生きないといけない」という言葉が印象的でした。

「自分を大切にすることは、その人が大切にしている世界を大切にすること」
細田直哉先生(生態心理学)

「自分を大切にすることは、その人が大切にしている世界を大切にすること。そのためには何よりもその子の“好き”を否定しないこと。そして親は他人(横)と比べるのではなくて前と後ろを見るようにしてください」という言葉が印象的でした。
私自身5歳と9歳の子がいるのですが、子どもが幸せになってほしくてやっている習い事や勉強でも、「これを今やる意味はあるのだろうか……」などと悩むことがあります。そんなときに背中を押してくれる言葉だなと思いました。

「親が与えてあげられることは“安全な避難所”と“安心な基地”」
遠藤利彦先生(発達心理学・感情心理学)

「自分を好きになる=自分を大切にすることとリンクしていて、愛してもらえる価値があるという感覚が、自分を好きという感覚につながるから、親が与えてあげられることは“安全な避難所”と“安心な基地”を意識すること。これは年齢が高くなってもかわりません」という言葉が印象的でした。ちなみに、安全な避難所というのは、例えば転んで大泣きして自分のところに来たら、痛かったねと表情や言葉を通して子どもの感情を映す鏡になること(子どもは安心できるそう)。また、安心の基地とは、元気になったら背中を押して応援してあげること。そうすれば、子どもは自分の世界を広げて一人でいられる力を身に着けられるともおっしゃっていました。

「自分を大切にするためには、会話の中で感情について語ることも大事」
酒井厚先生(発達心理学)

「自分を大切にするためには、まず自分を知ることが必要。そのためには、会話の中で感情について語ることも非常に大事」という言葉が印象的でした。
小さい頃から、自分の感情を表現できるやりとりが多い子は自分に対する理解が進むという報告もあるそうです。親はつい「自分の言葉で話してほしい」と思いがちですが、先生曰く最初は「はい」「いいえ」でも理解が進めばOKなんだそう。親が「こんな感じ?」と補足しながら、自分への理解を促していけばいいのだそう。

「ジェンダーの理解は、“枠の外”もあると教えることから」
田中俊之先生(ジェンダー論・男性学)

「“みーはズボンをはいているから男の子なの?”という質問をされたら、ジェンダーについて一緒に考えるチャンス。理由を聞いて、たとえその考えが自分と違っていたとしても頭ごなしに否定せずに“枠の外”もあるということを教えること。“そうじゃない物語”を繰り返し聞くことで、女の子だって積極的でいいし、男の子だってかわいいが好きでいいと理解しやすくなる」というお話が印象的でした。
子どもは周囲から「女の子はこう、お母さんはこう、男の子はこう」というイメージを受け取ってくるかもしれないとも。子どもは少ないケースモデルから世界を理解しようとしている時期だということなので、まずは「そう思うんだね」と共感してあげたいですね。

「わが子のトイレやお風呂でもプライベートパーツを意識して」
北山ひと美先生(性教育)

「プライベートパーツ(水着で隠れるところとお口)は、男の子も女の子も自分だけが見たり触ったりしていい場所。例えば小さい時に親がトイレを手伝ったり、お風呂で洗ったりするときも、手伝うね、洗っていい? と意志確認をして、ダメと言われたらその気持ちを尊重してあげること。できれば、トイレも1回ドアを閉めてプライベートな空間にしてあげるといい」というお話が印象的でした。
残念ですが性被害は身近な人や家族からというケースも多いそうです。プライベートパーツが自分だけの場所とわからないとNOと思えるようにならないし、自分を守るためにも必要だということがわかりました。改めて肝に銘じたいと思います。

__この本をどのように活用してほしいですか?

あくまでお話として絵本を楽しみつつ、親子で楽しみながら自分を知り、好きになり、自己肯定感を育むための一冊になれば嬉しいです。監修の先生方によるQ&Aをつけたのは、わが子から聞かれるけれどちょっと答えにくい質問に対する答えの助けになればと考えたからです。年齢によって理解は違うと思うので、その子に応じて活用いただければと思います。
わが家の9歳の子どもも普通に楽しんで読んでいますし、5歳の子どもはおしりというフレーズやパンツをかぶるところで大笑いしています。まずはそれでいいと思います。性教育をすることに抵抗がある親御さんもいると思いますが、この絵本がその第一歩になることを願っています。

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SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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