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ゲームは教育になるか!? 品川女子学院×DeNA Games Tokyoゲームクリエーター授業に潜入!

ゲームは教育になるか!? 品川女子学院×DeNA Games Tokyoゲームクリエーター授業に潜入!

“将来世界で活躍できるような学び”をコンセプトに、さまざまな先進的な教育を行う品川女子学院

今回は、アプリやブラウザ向けゲームの運営を手掛けるDeNA Games Tokyoとコラボした「デコゲー」のデコアイテムの企画開発をする特別授業に潜入してきました。ゲームは教育になるか、必見です!

日経DUAL記事

なぜ学校でゲームを題材にした講座を?

まずは、この講座の企画者のひとりである、品川女子学院の竹内先生と、DeNA Games Tokyo企画部プロデューサーの水野さんにお話を伺いました。

「ゲームの開発者の方に直に話を聞き、実際に自分たちでも企画を考えることで、“ゲーム=遊ぶもの”という見方を変えてほしくてこの講座を企画しました。いつもは学校で禁止されていて家でも制限され、これまで何気なく見ていたゲームのCMも、見方も変わってくれたらといいなと思っています。また、実際にコンペで競ってDeNA Games Tokyoのプロの方に審査していただき、上位2チームの企画をリリースしていただく予定です。もちろん、ただリリースするだけではなく、その結果どちらがどのくらい売れたのか、どんな人たちが買ってくれたのか、といった結果も生徒へリアルに見せていきたいと考えています」(品川女子学院情報科の竹内先生)

「はじめにこのお話をいただいたときに、ゲームは教育になるの?と少し不安になりましたが、私たちが普段行っているペルソナなどのターゲット設定やリサーチ、商品の企画力やデザイン力、プレゼン力を高められる授業が一緒にできたらなと思って企画しました。ものづくりは思考力とセンスがとても重要です。どんなアイデアが出てくるのか、私たちも楽しみにしています」(DeNA Games Tokyo水野さん)

ずばり、いいデザインを生み出すコツとは?

デコアイテムを企画する際に大事なのは

その1 世の中、ユーザー、個人の3つを常に意識すること
その2 かわいいを言葉にすること
その3 憧れをアイテムに盛り込むこと

の3つであると水野さん。他にも「楽しい、可愛い、幸せ+売れるかどうか」、「どれだけ心に残るか」も大きなポイントになるそう。限られた条件の中でこれらをどう表現するかがカギとなります。

今回のコンペのルールとしては、「30~50代の宇宙が好き」というユーザーの特長を踏まえた人気モバイルゲーム「スペースデブリーズ」の新しいデコアイテムを企画します。

「宇宙×〇〇」というテーマで新たなターゲットを設定し、コンセプトとともに5分間でプレゼンしていきます。

初回はペルソナ作成、2日目はテーマに基づいたデコアイテム考案、3日目がプレゼンテーションという流れです。

なぜこの授業に参加したの?

今回参加したのは中1~高1年生の約25名。参加理由をたずねると

「何かを企画したり考えることが好きだから(中2)」
「デザインに興味があるから(中1)」
「家でゲームはさせてもらえないから、面白そうだなと思って参加した(中1)」

といった声が多くあがりました。

こちらが初回のペルソナシート。中学生が考えたとは思えない観察力&想像力です。

品川女子学院では授業でも中学1年生からiPadを駆使するだけあって、皆さん操作はお手のもの。イメージをgoogle検索して集めて、手書きのコンセプトボードができあがったら、iPadを使ってプレゼン資料を製作していきます。

イラストもソフトを使って「こんなイメージ?」と話し合うあたり、さすがです。

付箋を使ってペルソナのディテールを絞り込んでいきます。

iPadを使ってイメージを膨らませイラスト化していくチーム。

各チームのプレゼンはこんな感じ!

3~4名のチームに分かれて企画を考え、プレゼンを行っていきました。どれもよく考えられている面白いアイデアばかり。一例をご紹介しましょう。

「いつでもライブ感覚パック」

ターゲットはアイドルやライブが好きな人。

星をイメージして真っ黒な背景にし、実際のアイドルが着ていそうな服やスタンドマイク、客席に行けるトロッコをデコアイテムにしました。

(DeNAGames Tokyo側のコメント)
「ライブというテーマは実は過去にやったことがあって、とても評判がよかったテーマ。しっかりと考えられているなと思いました。また、コンセプトと各アイテムのイメージが明確でわかりやすいですね」

「スノーフラワー」

ターゲットはフィギュアスケートや冬が好きな人。羽生結弦選手が好き。

雪の結晶、すべる床、ボアのついたポンチョ、スケート靴、雪の結晶をちりばめたオブジェなどをデコアイテムにしました。

(DeNAGames Tokyo側のコメント)
「ターゲットの絞り込みがよく研究されていますね。アイテムのストーリー性がしっかりできていて、作ってみたくなりました。現実っぽいモチーフを使いながらファンタジックな世界観に仕上がっているのがすごいと思います」

実際に選ばれた2チームがこちら!

「宇宙×学校」(中学2年生)

ターゲットは井上和子42歳。高校1男の子(野球部)と中学1女の子(ダンス部)のママ。夫は公務員で家族の帰りが遅く寂しい。

ユーザーの懐かしい青春時代をコンセプトに、「星空+黒板」で宇宙に教室が浮かんでいるイメージや、教室の床、星がちりばめられている「思い出のかけら」シートと教室全体が金魚ばちのシート(学校にある水槽がイメージ)、服装は当時流行した制服を再現しました。

(DeNA Games Tokyo側のコメント)
「企画がよく練られていますね。そしてプレゼンがめちゃくちゃうまい! ターゲットを背景まで細かく設定をしている点に感心しましたし、アイテムのディテールも上手。何より楽しんで考えているのが伝わります。笑顔のプレゼンは聞いている人にも伝わりやすいですね」

「宇宙×学校」(中学3年生)

ターゲットは36~37歳の独身女性。ネットサーフィンが好きであまり外に出ないからアマゾンで買い物をする。いい家具を集めたい。好きな芸能人は斎藤工。

「教室×宇宙」はネオンカラーをちりばめて表現し、床はガラス張りで下が月面、アイテムは天体望遠鏡、観測機、制服(リボンがネオンカラー)にしました。




(DeNAGames Tokyo側のコメント)
「しっかりとイラストも描いていてあって伝わりやすいプレゼンでした。近未来という設定が各アイテムにきちんとあって統一感が出ていいなと思いました。全体に表現力が素晴らしいですね」

「将来やりたいことが見えてきた!」授業を受けた生徒たちの声

実際に3日間の授業を受けた生徒さんたちの声をまとめると、

・普段知らないゲームの製作者側の体験は興味深かった
・内容が学校では扱えない範囲だったので、それらを知ることができ楽しかった
・具体的なペルソナを考える事で、デコアイテムが作りやすかった
・ゲームのことをたくさん学べて私が将来やりたいことに繋がった気がする
・自分の友達と一緒にできる点や、本格的なデザイナーさんに指導して頂けた点がとても良かった
・デザインする上での発想の転換の仕方がまた分かった

など。みなさん、自分の将来や好きなことに繋がるきっかけになりそうですね。

最後に、先生からもコメントをいただきました。

「生徒たちがペルソナ、デコアイテムデザインのアイデアを考えるときの生き生きとした様子が印象的でした。普段は座学でインプットすることが多い生徒たちに、アウトプットをする機会を作ると積極性を発揮すると感じました。
ペルソナの設定や、狙いを持ったデザインは難易度としては高い内容ですが、“ゲーム”という生徒の身近なテーマであったことや、DeNA Games Tokyoさんのワークショップ設計とファシリテートのおかげで生徒たちが積極的にアウトプットする機会を作って頂けたと思います。この講座を機に、ゲームをはじめ普段何気なく触れているさまざまなものに対し、作る側の目線で接し、将来その技術や社会を担ってくれたらと思います」(品川女子学院情報科の竹内先生)

上位2チームの作品は、実際に6月から「スペースデブリーズ」よりリリース予定だそう!

一般的には娯楽の位置づけであるゲームを「企画しプレゼンする」という面白い角度から切り取った授業、見ていてとてもワクワクしました。皆さんプレゼン後は充実感でいっぱいな顔をされていました。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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